【コラム】

Java API、使ってますか?

41 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その1

41/60

JSR 271: Mobile Information Device Profile 3

携帯電話をはじめとした携帯端末でJavaを使用する場合、ベースとなる仕様はCLDC(Connected Limited Device Configuration)向けのプロファイルであるMIDP(Mobile Information Device Profile)である。MIDPの現行バージョンはMIDP 2.0で、その仕様はJSR 118として標準化されている。

JCPでは現在、次期バージョンのMIDPとなるMIDP 3.0の仕様策定が進められていて、これがJSR 271として登録され、Public Reviewが実施されている最中だ。今回は公開されたドラフトを元に、MIDP 3.0の概要を追ってみたい。

まず、MIDP 3.0では次のようなエリアを対象として機能拡張が実施される。

  • プラットフォーム…CLDCとCDCの双方でMIDletを正しく動作させる
  • 共有コンポーネント…静的な共有ライブラリをサポートする
  • アプリケーションライフサイクル…複数のMIDletの並列実行時の振る舞いを明確にする
  • セキュリティ… セキュリティ・フレームワークおよびセキュリティ・ポリシーをサポートする
  • ネットワーク…接続のプレファレンス
  • 永続化ストレージ…レコードストアのための安全なバイナリ転送フォーマットを定義する
  • ユーザインタフェース…ゲームのためのもののような、ユニークな入力や表示をサポートする

逆に、次のエリアについてはMIDP 3.0のスコープに含まないとされている。

  • システムレベルAPI…MIDPの主な目的が(システムプログラミングでなく)アプリケーションプログラミングを可能にすることであるため
  • 低レベルのセキュリティ…コンフィギュレーションに依存する部分であるため
  • SOA(Service Oriented Architecture)…MIDPでは必要とされる項目ではない

以下では、MIDP 3.0における主な新機能や改良点について紹介する。

MIDP 3.0の新機能 その1

MIDletのための共有ライブラリ「LIBlet」

MIDP 3.0における非常に大きな変更点のひとつに、複数のMIDletから利用可能な「LIBlet」と呼ばれるソフトウェア部品の導入がある。LIBletはMIDletのための共有ライブラリのようなもので、それ単体で実行することはできず、またLIBlet内で定義されたクラスはMIDlet実行環境以外のコンテキストから利用することができない。LIBletはMIDletスイートと同様に、クラスファイル、リソース、永続化されたデータ、マニフェストファイルなどをまとめてJAR (Jaca ARchive) 形式でパッケージングされる。

MIDletスイートがLIBletを利用する場合や、LIBletが他のLIBletを利用する場合は、その依存関係をマニフェスト・ファイルやJAD (Java Application Descriptor) ファイルに記述しなければならない。MIDP 3.0にはそのために新しくDependency-n属性 (nはエントリの番号) が追加されており、ここで依存するLIBletの名前やバージョン、ベンダー名などを指定できるようになっている。

MIDletスイートをインストールする際に依存するLIBletがある場合には、それを取得するかユーザに確認し、許可されればMIDletスイートと共にインストールされる。MIDletとLIBletは別のサーバ上に置かれていてもよい。MIDletスイートをアンインストールした場合には、依存関係が解消されて不要になるLIBletが出てくるかもしれない。その場合にはユーザはアプリケーション管理ソフトウェアによって不要なLIBletを削除することができる。

CLDCだけでなくCDCもサポート

従来のMIDPはCLDCを前提として設計されており、MIDP 2.0ではCLDC 1.0とCLDC 1.1が対応するプラットフォームとなっていた。MIDP 3.0ではCLDCだけでなくCDCが加わり、対応プラットフォームはCLDC 1.1とCDC 1.1の2種類になる。これはデバイスの性能向上にともなってCDCの要件を満たすモバイル機器の割合が増えたからとのことだ。ただし、MIDP 3.0の必須要件はあくまでもCLDC 1.1であって、CDC 1.1はオプションの要件になるとのこと。MIDletがどちらの構成で動作するかは、MIDletスイートのJADファイルに用意されたMicroEdition-Configuration属性によって指定する。

ただし、CLDCとCDCではMIDletの振る舞いが異なる部分や、機能が重複している部分などがある。それらの問題に関する開発者のためのガイドラインが必要となる。

41/60

インデックス

連載目次
第60回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java SE編)
第59回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java EE編)
第58回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その6
第57回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その5
第56回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その4
第55回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その3
第54回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その2
第53回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか
第52回 Early Draftが公開されたJSF 2.0
第51回 EJBから独立したJava Persistence 2.0
第50回 モバイルJavaの新しい潮流となるか - MSA 2.0のドラフト公開
第49回 やっぱり基本はServlet - Servlet 3.0のEarly Draftを読む
第48回 JOGLで3Dプログラミング その4
第47回 JOGLで3Dプログラミング その3
第46回 JOGLで3Dプログラミング その2
第45回 JOGLで3Dプログラミング
第44回 JARファイルを効率的にネットワーク転送するためのPack200形式
第43回 Early Draftで把握するEJB 3.1の新機能
第42回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その2
第41回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その1
第40回 リソースアダプタによる接続の仕組み
第39回 JCAを利用したシステム間接続
第38回 Java EEと外部システムの接続性を支えるJCAがバージョンアップ
第37回 Javaのモジュラリティ強化を担う"スーパーパッケージ"とは
第36回 JSR 308対応のコンパイラを試す
第35回 公開されたJSR 308のEarly Draftを検証する
第34回 スクリプト言語とJavaを結びつけるJSR 223
第33回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その2
第32回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その1
第31回 Javaの文法がそのまま使えるスクリプト言語"BeanShell"
第30回 Javaアプリケーションにオブジェクトのキャッシュ機構を提供するJCache API
第29回 Javaアプリケーションからのリソース管理を可能にするJSR 284
第28回 XMLデータソースへの問い合わせはJSR 225で
第27回 Portlet Specification 2.0をもっと手軽に利用する
第26回 次期Javaポートレット仕様となるJSR 286
第25回 JSFとポートレットをつなげるJSR 301
第24回 Webサービス向けのポートレット仕様「WSRP」
第23回 高い相互運用性を実現するポートレットAPI - JSR 168
第22回 Java EE環境でタスクのスケジューリングを可能にするJSR 236
第21回 Java EE環境でのスレッドプログラミングを可能にするJSR 237
第20回 音声認識/合成のためのAPI - Java Speech APIとJSR 113
第19回 JSR 291でJavaプラットフォームにダイナミックコンポーネントモデルを導入
第18回 JAX-RSで簡単RESTful - JSR 311
第17回 待望のServlet 3.0がJSRに登場 - JSR 315
第16回 アノテーションを使ってバグ退治 - JSR 305
第15回 アノテーションをさらに広い範囲で利用可能にするJSR 308
第14回 Webアプリケーション開発の要となるか - JSF 2.0がJSRに登場
第13回 Webサービス経由でのJMX Agentへの接続を可能にするJSR 262
第12回 Javaアプリケーションのモジュール化をサポートするJava Module System
第11回 "NIO.2"がやってきた - JSR 203: More New I/O APIs for the Java Platform
第10回 JSR 295: Beans Bindingの参照実装を試す
第9回 けっこう便利! 単位を扱うAPI -- JSR 275: Units Specification
第8回 アノテーションでバリデーション - JSR 303: Bean Validator
第7回 Swing開発の救世主となるか - Swing Application Framework
第6回 JavaBeansのプロパティを同期させるバインディングAPI
第5回 誰よりも早く"Java SE 7"を睨む
第4回 日時情報の取り扱いを改善する JSR 310: Date and Time API
第3回 古いAPIも進化している!? - JSR 919: JavaMail 1.4
第2回 JSR 1 リアルタイムJava仕様
第1回 JCPによって進められるJava関連技術の標準化

もっと見る

提供:マイナビ

会員登録はこちら

大学・大学院・短大・専門学生向けの就職情報サイト「マイナビ2010」「マイナビ2009」に今すぐ登録しよう!  大手企業からベンチャー企業までの約13,000社の企業情報を公開、エントリーが可能です。2010年卒予定の方は「マイナビ2010」に、2009年卒予定の方は「マイナビ2009」に登録してください。

毎日コミュニケーションズはプライバシーマークを取得しています。

関連キーワード


人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事