【コラム】

Java API、使ってますか?

40 リソースアダプタによる接続の仕組み

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JCAによる接続の仕組み

今回はJCAを用いてJavaアプリケーションからエンタープライズシステムに接続する際に、アプリケーションサーバやリソースアダプタの内部で何が起こっているかを説明する。とくにリソースアダプタの中身を理解することは、独自のリソースアダプタを作成する上で必要不可欠である。実際に実用的なリソースアダプタを作成する際には、このほかにトランザクション管理やセキュリティ、インバウンドコミュニケーションなどに対する理解が必要となるが、誌面の都合もあるため、今回は接続管理の部分のみに的を絞って紹介したい。

JCA 1.5のコネクション管理のアーキテクチャは図1のようになっている。この図はJCA 1.5の仕様書より引用したものである。このうち、灰色で囲まれたPoolManagerやTransactionManagerなどはアプリケーションサーバの持つ機能であり、その他がJCAで定義されたインタフェースだ。各インタフェースどうしの関係は、太い線が仕様で定められたコントラクトであり、細い線が実装依存であることを示している。

図1 コネクション管理のアーキテクチャ(JCA 1.5のSpecificationより引用)

図に示されたインタフェースは、それぞれ次のような機能を定義している。より詳細な説明はJava EE 5のAPIドキュメントを参照していただきたい。

javax.resource.spi.ConnectionManager アプリケーションサーバとリソースアダプタとの接続を管理する
javax.resource.spi.ManagedConnectionFactor ManagedConnectionおよびEIS固有のConnectionのファクトリインタフェース
javax.resource.spi.ManagedConnection EISとの物理的な接続を仲介する
javax.resource.spi.ConnectionEventListener ManagedConnectionによってアプリケーションサーバとの接続中に発生したイベントを受け取るリスナ
javax.resource.spi.LocalTransaction EISトランザクションマネージャに管理されたトランザクションをサポートする
javax.transaction.xa.XAResource リソースマネージャとトランザクションマネージャ間の標準的なコントラクトを定義する
javax.resource.cci.ConnectionFactory Connectionのためファクトリインタフェース
javax.resource.cci.Connection EISとの接続を仲介するアプリケーションレベルのインタフェース

これを見てわかるように、アプリケーションから接続に利用するインタフェースはConnectionFactoryやConnectionだが、実際にEISとの接続を確立するのはManagedConnectionFactoryやManagedConnectionが行うことになる。ConnectionEventListenerはManagedConnectionに対して登録する。また、トランザクションをサポートする場合にはXAResourceやLocalTransactionを実装しておく必要がある。

リソースアダプタを自前で作成する場合には、これらインタフェースん実装クラスを用意に、デプロイメントデスクリプタと共にRARとしてパッケージングすればよい。

リソースアダプタによるコネクション確立までの流れ

では、実際にリソースアダプタがデプロイされてからそれがアプリケーションから利用されるまでの一連の動作を追ってみよう。

まずリソースアダプタがデプロイされた段階で、ManagedConnectionFactoryのインスタンスが生成され、さらにそこからcreateManagedConnection()メソッドでManagedConnectionインスタンスが生成される。

アプリケーションからJNDI経由でConnectionFactoryをLookupされた場合には、まずManagedConnectionFactoryのcreateConnectionFactory()メソッドが呼ばれる。このメソッドはConnectionFactoryインスタンスを生成してを返す。

アプリケーション側では、前回示したようにConnectionFactoryのcreateConnection()メソッドを用いてConnectionインスタンスの生成を試みる。実際にはConnectionManagerのallocateConnection()メソッドを呼び出す。このメソッドにはManagedConnectionFactoryとコネクションリソースの情報を持ったConnectionRequestInfoの両インスタンスが渡される。ここで2つのパターンが考えられる。ひとつはリソースアダプタがアプリケーションサーバのコネクションプールを利用しているケースで、この場合はプールに既存のManagedConnectionがあるかどうかを調べ (ManagedConnectionFactory.matchManagedConnection()メソッド)、あればそれを返す。

プールにManagedConnectionが存在しない場合や、プールを利用しておらずConnactionManagerがリソースアダプタによって独自に提供されている場合には、まずManagedConnectionFactoryのcreateManagedConnection()メソッドにより渡されたConnectionRequestInfoの情報を持つManagedConnectionインスタンスを生成し、そこからgetConnection()メソッドでConnectionインスタンスを取得して返すといった手順になっている。

上記の手順を図で示すと図2のようになる。

図2 コネクションが確立するまでの流れ (JCA 1.5のSpecificationより引用)

各メソッドの具体的な実装方法については、前回使用した「Generic Resource Adapter for JMS」のソースコードが参考になるだろう。Generic Resource Adapter for JMSのソースコードはプロジェクトサイトのCVSリポジトリより取得することができる。今回取り扱わなかったインバウンドコミュニケーション部分も実装されているので、興味のある人は目を通してみるといいだろう。

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インデックス

連載目次
第60回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java SE編)
第59回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java EE編)
第58回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その6
第57回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その5
第56回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その4
第55回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その3
第54回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その2
第53回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか
第52回 Early Draftが公開されたJSF 2.0
第51回 EJBから独立したJava Persistence 2.0
第50回 モバイルJavaの新しい潮流となるか - MSA 2.0のドラフト公開
第49回 やっぱり基本はServlet - Servlet 3.0のEarly Draftを読む
第48回 JOGLで3Dプログラミング その4
第47回 JOGLで3Dプログラミング その3
第46回 JOGLで3Dプログラミング その2
第45回 JOGLで3Dプログラミング
第44回 JARファイルを効率的にネットワーク転送するためのPack200形式
第43回 Early Draftで把握するEJB 3.1の新機能
第42回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その2
第41回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その1
第40回 リソースアダプタによる接続の仕組み
第39回 JCAを利用したシステム間接続
第38回 Java EEと外部システムの接続性を支えるJCAがバージョンアップ
第37回 Javaのモジュラリティ強化を担う"スーパーパッケージ"とは
第36回 JSR 308対応のコンパイラを試す
第35回 公開されたJSR 308のEarly Draftを検証する
第34回 スクリプト言語とJavaを結びつけるJSR 223
第33回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その2
第32回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その1
第31回 Javaの文法がそのまま使えるスクリプト言語"BeanShell"
第30回 Javaアプリケーションにオブジェクトのキャッシュ機構を提供するJCache API
第29回 Javaアプリケーションからのリソース管理を可能にするJSR 284
第28回 XMLデータソースへの問い合わせはJSR 225で
第27回 Portlet Specification 2.0をもっと手軽に利用する
第26回 次期Javaポートレット仕様となるJSR 286
第25回 JSFとポートレットをつなげるJSR 301
第24回 Webサービス向けのポートレット仕様「WSRP」
第23回 高い相互運用性を実現するポートレットAPI - JSR 168
第22回 Java EE環境でタスクのスケジューリングを可能にするJSR 236
第21回 Java EE環境でのスレッドプログラミングを可能にするJSR 237
第20回 音声認識/合成のためのAPI - Java Speech APIとJSR 113
第19回 JSR 291でJavaプラットフォームにダイナミックコンポーネントモデルを導入
第18回 JAX-RSで簡単RESTful - JSR 311
第17回 待望のServlet 3.0がJSRに登場 - JSR 315
第16回 アノテーションを使ってバグ退治 - JSR 305
第15回 アノテーションをさらに広い範囲で利用可能にするJSR 308
第14回 Webアプリケーション開発の要となるか - JSF 2.0がJSRに登場
第13回 Webサービス経由でのJMX Agentへの接続を可能にするJSR 262
第12回 Javaアプリケーションのモジュール化をサポートするJava Module System
第11回 "NIO.2"がやってきた - JSR 203: More New I/O APIs for the Java Platform
第10回 JSR 295: Beans Bindingの参照実装を試す
第9回 けっこう便利! 単位を扱うAPI -- JSR 275: Units Specification
第8回 アノテーションでバリデーション - JSR 303: Bean Validator
第7回 Swing開発の救世主となるか - Swing Application Framework
第6回 JavaBeansのプロパティを同期させるバインディングAPI
第5回 誰よりも早く"Java SE 7"を睨む
第4回 日時情報の取り扱いを改善する JSR 310: Date and Time API
第3回 古いAPIも進化している!? - JSR 919: JavaMail 1.4
第2回 JSR 1 リアルタイムJava仕様
第1回 JCPによって進められるJava関連技術の標準化

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