【コラム】

自作パーツ実験室

35 AOpen MINI PC - "mini"のサイズ・デザイン・高性能がついにDOS/Vでも(2)

    石川ひさよし  [2005/10/25]

    VIAのNano-ITXマザーボードが登場しそうな雰囲気だ。かれこれ2年以上前に発表されたものだが、「ようやくここまで来たか」という感想とともに、今となってはMini-ITXも一般的になってきたうえにGeodeシリーズのようなライバルも登場しているので、小型のx86という面ではややインパクトが薄い。ただ、そんな事もなんのその。新製品とくれば胸が騒ぐのがVIA好き、ちっちゃいもの好きと呼ばれる人たちである。

    前回から紹介しているMINI PCのように、小型化が可能ということは置き方やデザインにも自由度が増す。多少非力であったとしてもEdenの時の「それじゃ自宅サーバにしちゃおうか」という具合にユーザーが自分たちで楽しみ方を見つけていくわけである。さて、より小さくなったNano-ITXでどのようなPCが作れるようになるのか、今から楽しみである。

    中身を見た次は実際に動かしてチェックしよう

    前回の予告通り、今回はAOpen「MINI PC MP915-C」の電源投入以降の話を中心に進めよう。当たり前の話だが、小型化すればするほど問題となるのは効率的な排熱とその際のファンの動作音だと思う。サンプル機ということもあり、実際の製品では多少の仕様変更もあると思うが、前回の分解レビューでどのような冷却システムを用いているかを見てみた。アルミ材と思われるヒートシンクと薄型ブロワーファン、そしてガイドによるエアフローの制御など、メカニカル的な仕組みはご理解頂けたと思う。たしかによく考えられた仕組みだったが、実際に動かしてみての性能をチェックしたい。

    サンプル機にはCPUにCeleron M 350(1.30GHz)、メモリは256MBのPC4200 DDR2 SO-DIMM、Seagate製「Momentus 4200.2」2.5インチ40GBハードディスク、松下製のスリムコンボドライブ「CW-8124-B」、そしてOSにWindows XP Home Edition(日本語版)が搭載されていた。サンプル機の標準状態は、基本的にエントリー向けレベルといえる構成だ。本来、性能を測定するのであればPentium Mや最低でも512MB以上のメモリ、2.5インチでも7200rpmのHDDといった構成が望ましいが、デスクトップ向けパーツよりも値が張るモバイル向けパーツという事で、そこまでの機材を揃えることはできなかった。とりあえずハードディスクだけは自前のMomentus 40GBに換装し、Windows XP Professional(英語版)をインストールした環境でFuturemarkのベンチマークである3DMark03、PCMark04/05をテストしてみた。

    基本的にこのくらいが妥当だろうかという結果。3DMark03はもとよりPCMarksも3Dグラフィック性能がスコアに関係してくるという少々不利な条件の下で、3DMark03は730、PCMark04は2304、PCMark05は1549。スコアとしてみれば、ノート向けの部材を使っているだけあってノート並みの性能という事になる。しかし普段ノートブックを使っているユーザーにはわかっていただけると思うが、1GHz超のPentium M/Celeron Mであればインターネットやメール、表計算などのデスクトップ用途では十分な性能だろう。3Dグラフィック性能以外のもうひとつのネックと言えばHDDのアクセス速度だろうか。より高回転でキャッシュ容量も多いハードディスクを選びたいところだが、このあたりのバランスは発熱量にも関わってくる。

    パーツ選びはノートブックの要領で

    動作音と排熱についてコメントしておこう。まず動作音は、起動時に一旦ファンが高速回転するものの、しばらくしてファンコントロールが働くようになればかなり静かになる。高負荷時にファンの回転速度が引き上げられるのはもちろんだが、このサイズ、そして小型ファン1基のみの搭載として考えれば静かに抑えた部類ではないだろうか。全体的に静音性は評価できるし、やはり小型きょう体に機能を詰め込んだだけあって、これ以上の静かさを求めるのは難しいと思う。もしこれ以上の何かが可能だとしたら、ヒートシンクの材質をより熱伝導率の高い銅にするとか、より静音なタイプのブロワーファンを期待する、というくらいではないだろうか。

    本体内部

    排熱に関しても、かなり効率よく出来ているように思うが、背面のスリットからは暖かいというよりはやや熱風に近い風が排出されている。その割に、ケース自体は触ってみてもほのかに暖かい程度だ。気になるところでは、CPUクーラーにも近いハードディスクの動作温度だろうか。ベンチマーク終了後に再度ケースを開け、ハードディスクを触ってみたところ、(一般的に動作後のHDDはこのようなものだが……)かなり熱さを感じる温度になっていた。考えてみれば、MINI PC内の風は、ガイドによりCPU側に優先的に流れる仕組みとなっている。そのためハードディスク側は風の通り道からはやや外れた格好。となると、無為に7200rpmの高速回転ハードディスクを搭載するよりは、より発熱の少ない低速回転タイプに抑えたり、高温環境下での動作に対応したハードディスクを選ぶなど、信頼性を高めた方が無難という気がしないでもない。要はノートブックを扱っているという感覚でパーツを選ぶのが適していると思う。なお、サンプル機がSpeedStepが利用できないCeleron Mだったため、これがPentium Mを搭載した場合となるとさらにクールで静かな環境にすることは可能だと思われる。

    ホビーPCとしてもかわいい1台

    Vine Linux 3.2

    CentOS 4.2

    さて、MINI PCは小型でお洒落ということで、女性・子供向けの1台目としても最適といえるかもしれないが、もうひとつ、セカンドPC・ホビーPCとしての興味もあるのではないだろうか。そこでWindowsを離れ、Linux OSを2つインストールしてみた。ひとつはVine Linux 3.2、そしてもうひとつはCentOS 4.2。時間が無かったためインストールといくつかの操作を試しただけだが、どちらも何の問題もなく成功している。筆者もずっと利用してきたEdenにデスクトップLinuxというのも悪くはないのだが、コチラの方がX-Window環境は格段に快適である。ハードウェアの拡張が限られているため、ホビーPCと言ってもOSやソフトウェア中心の楽しみ方になると思われるが、オーソドックスなチップ・パーツ構成のMINI PCなのでいろいろな活用法が見つかることと思う。販売開始が待ち遠しいところだが、それまでの間にじっくりと構想を練っておくのも楽しいだろう。

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