【コラム】

自作パーツ実験室

33 動くといいなATOP - Albatron ATOPにバルクQuadroをおんぶさせてみた

    石川ひさよし  [2005/10/03]

    なんとなくパーソナルユースの新提案にはサーバ・ワークステーションの技術が取り入れられていくのだな、などと考えている。考えてみれば"ネットワーク"という言葉も15年前のパーソナルユースでは使わなかった。インターネットというLANを超えた世界を手にした今は、セキュリティにしてもサーバと同じような機能が必要とされる。ファイアウォールは当たり前だし、ルータもかなりの普及率だろう。最近では簡易NASがパーソナル向けにもある。ただしパーソナル向けのインタフェースはプロフェッショナル向けと比べ格段に簡素化され分かりやすいものになっている。いや、これでもまだ難しいと敬遠する人も事実いるわけだが……。そのような簡素化されたインタフェースに囲まれた時、そのインタフェースに隠された自分でもまだ分かっていないところに不安を覚えることもある……とふと思った。

    ATOPはAGP GeForceの救世主か!?

    久しぶりに今回のネタはいわゆる"人柱"パーツ。自然とテンションも上がるわけだが、自作ユーザーとして重傷だなと思いつつご紹介したい。今回試したいパーツはAlbatronの「ATOP」。AGPグラフィックスカードをPCI Express x16スロットで活用できるという製品である。発表後はその可能性に思いを馳せてみたものの、いざ店頭に並んだら動作保証はAlbatron製のGeForce系カード(の一部)ということで、購入をためらっていた方も居るのではないだろうか。とにかく筆者所有のGeForce(系)VGAで動くかどうか試してみたい。

    Albatron ATOP+AGP6200AL

    ATOP単体ではこのような形状

    今回用意したのは"いちおう"GeForce系のグラフィックチップである「Quadro NVS 280」を搭載しているとされるメーカー不明のカード。この製品、一時期秋葉原でジャンク扱いで流れた3,000円程度のカードだ。Quadro NVSシリーズではQuadro NVS 280は最エントリー。同じQuadroでもOpenGLがメインとなる本流Quadroとは少々違い、ファンレス設計でのSFF(スモールフォームファクタ)対応やデジタル/アナログでの高解像度マルチディスプレイ出力が主な用途となる。ただし、製造メーカー(不明)や、いちおう厳密にはGeForceで無いことからATOPで動けばラッキー程度と思っていた。

    とりあえずネタとして入手した、「Quadro NVS 280」とされるカードが役立つ日が来た

    さて、ATOPの各部から紹介しよう。ATOPは下にPCI Expressのオス、上にAGPのメスのコネクタを持つ変換アダプタだ。構造はというと、PCI ExpressとAGPインタフェースのちょうど間にヒートシンクに隠れたNVIDIAのPCIe⇔AGP変換チップHSI、その右には計6つのジャンパ、ブラケット側には単に信号をスルーさせるだけと思われるD-Sub15ピンコネクタが搭載されている。なお、おんぶするAGPカードによってジャンパを切り替える必要がある。同社はこのメカニズムにより、MX4400シリーズ、FXシリーズ、6x00シリーズなど各世代の幅広いGeForceカードに対応しているとする。

    ヒートシンク下に隠れているHSIチップ

    もちろんQuadro NVS 280用のジャンパ設定は無いので、とりあえず標準のままおんぶさせてみることにした。そして最初の問題に突き当たることとなる。その問題とはブラケットが合わないことだ。標準で付属するブラケットはS出力+DVI出力(+ATOP側のD-Sub)というもので、確かに標準的と言えるレイアウトだ。そのため多くのカードでは問題ないと思われる。しかしQuadro NVS 280はDVI形状に似た特殊コネクタ1ポートというブラケット。このあたりは専用ブラケットを自力で工作する必要があるかもしれない。ちなみに、Albatron製のGeForce 6200カード「AGP6200AL」などでは、D-Sub / DVI / S-Videoといった全てのインタフェースがばっちり対応する。

    とりあえずATOPにおんぶしたQuadro NVS 280

    下がATOP、上は別のGeForceカードのものでレイアウトは同じ

    これが問題のQuadro NVS 280のブラケット

    インタフェースの問題は放置して先に進む。つぎはジャンパの問題。サポートに無いカードを用いるのだから設定は全くの不明。標準のまま進めるとWindowsのインストールまでは可能だった。つまり「標準VGAカード」として認識するようだ。ATOP自体にはドライバも不要だ。ただしドライバのインストールとなると、対応したジャンパ設定でないと対応するカード・ドライバが検出できないとのエラーが発生しインストール作業は中断してしまう。とりあえずいくつかジャンパを変えたところでインストールが可能な設定を見つける事が出来た。また、いくつかのジャンパ設定ではVGA出力さえもされないことも分かってきた。

    最初に認識した際のドライバ設定のスクリーンショットでは、上にQuadro NVS、下にQuadro3400 / 4400(?)というおかしな認識。解像度の変更などは可能であり、サポート外のGPUを使用することが可能となったわけだがどうもしっくり来ない。

    標準VGAで認識されてもジャンパが合わないとドライバインストールでエラーが

    これが最初に認識した際のスクリーンショット

    さらにジャンパ設定を練ってみると、ジャンパを変える事でGPUコアの認識のされ方も変わってしまうことが分かってきた。全てを網羅したワケではないが、例えばGeForce PCX5300と認識されたり、GeForce 6800シリーズと認識されたりといろいろ。GeForce 6800シリーズと認識されたからと行って6800シリーズのファンクションは利用できないと思うが、気持ちはイイ気分と不安の半々である。

    さらにいじるとこんな認識のされ方や

    こんな認識のされ方も

    とりあえず認識されることが価値というか勝ちでは?

    Quadro 3400 / 4400として認識された際のジャンパ(ただし筆者の環境においてであり、この設定での動作を保証するものではありません)

    このように動く事もあると確認できたATOP+サポート外のGeForce系GPUの組み合わせ。正常認識されなかったため、このようなサポート外GPUで動作させることの価値は疑問が残るが、例えばリユース(再生)PC的に使えば3D性能はさほど問題になるわけでもないだろう。とりあえずドライバが入るジャンパ設定を見つけてしまえば解像度の変更等は問題ない。愛着あるカードを末永く使うためにはこのATOPも有効ではないだろうか。

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