【コラム】

自作パーツ実験室

23 挑戦者の自作NASキット「LAN Tank」の組み立てに挑戦してみる

    石川ひさよし  [2005/06/24]

    先週末、AMD Athlon 64 X2のローンチイベントが秋葉原・大須・日本橋で開催された。新社長自ら登場するという力の入れよう。こういった"顔の見える"活動を通じてメーカーを身近に感じられるようになるというのは良いことだと思う。ほかにも普段仕様表だけでは見えてこない製品コンセプトなどがこうしたイベントで紹介され、ユーザー同士が意見を交換することで新しい活用法が見えてくることもある。

    この種のイベントだが、秋葉原では頻繁に開催されるものの、大須、日本橋、そして各地方都市ではやや少ないのも実情だ。その開催状況を伝えるニュースの仕事に責任を感じると共に、メーカーや販売代理店、ショップなどには(みんな休日返上で大変なんだろうけれど……)がんばって頂きたい。

    とりあえず白箱を組んでみた - 素組み段階での玄箱との違い

    玄人志向の「玄箱」はなかなか人気だ。ふつうに組めば誰にでも余ったHDDをNAS化できるし、Debian化・Vine化なんて荒技も用意されていて奥が深い。まだまだ”素人”な筆者もいじっているのは以前紹介した。この自作NAS分野に、ライバルからは少々出遅れたが、アイ・オー・データ機器の「挑戦者」ブランドより「LAN Tank」が登場した。玄箱に対して「白箱」とも呼ばれている。

    玄箱はどちらかというとオーソドックスな組み込みLinuxベースの簡易NASであり、腕に自信があればどんどん拡張できるものの、基本はシンプルな製品だった。しかし、LAN Tankは2台のHDDを搭載でき、しかもメディアサーバ機能まで搭載されたちょっと変化球勝負の製品だ。OSも当初よりDebian GNU/Linuxベースということで、そのあたりマニア心もくすぐられる製品だ。今回はこのLAN Tankをさっくり組み立てて、ハードウェア面をチェックしてみよう。

    パッケージにはきょう体、サイドカバー、上部カバー、全面カバーなどがバラされた状態の本体と、CD-ROMなどが同梱されている。ちなみに説明書は入っていない。組み立て方は同社サイトの製品ページから参照する仕組みだ。これがHTMLベースのもので、結構ページが分かれているので、どうせならPDF形式での配布を希望したい。では気を取り直してまずは本体を眺めてみよう。

    LAN Tankのきょう体

    本体背面のインタフェースとファン

    外板などバラで同梱されている

    本体背面には100BASE-TXインタフェースにUSB 2.0×2、MDI/MDI-X切替スイッチに電源スイッチがある。また、冷却用のファンは小型ファン×2が用意されている。きょう体の前部に電源ユニットを搭載しており、その後ろにHDD×2台を格納するとぎっちりだ。昨今のHDDの発熱増大を考えるともう少し余裕があってもいいような気がするが、省スペースという点ではかなりがんばっていると言えるだろう。基板はHDDと並列にレイアウトされており、きょう体奥行きの2/3ほどの大きさだ。

    搭載されているCPUは仕様によれば266MHzのSH-4、チップ上には6417380・BP267等のプリントがあるもののちょっと詳細は分からない。が、ルネサスのサイトによれば、アイ・オー・データ機器の「LANDISK」向けにSH-4を240MHzから266MHzにクロックアップしたバージョンが提供されているとのことで、おそらく同じ物ではないだろうか。このSH-4用と見られるメモリにはHynix製のPC133メモリチップ「HY57V561620CTP-H」、そしてSTマイクロエレクトロニクスのフラッシュメモリ「M29W400DB」、そのほかインタフェース向けにはNEC製のUSBコントローラチップ「D720101GJ」、Realtekのイーサネットコントローラ「RTL8139C+」、ACARD製IDEコントローラチップ「ATP865-A」などが搭載されている。

    LAN Tankのメイン基板

    266MHz動作のSH-4

    STマイクロのフラッシュメモリ

    HynixのPC133メモリ

    NECのUSBコントローラチップ

    Realtekのイーサネットコントローラチップ

    ACARDのIDEコントローラチップ

    では組み立てに入ろう。といってもまずは、LAN Tankのきょう体とは関係無しに"既存のPCにLAN Tank用のHDDを接続してOSをインストールする"作業から開始することとなる。具体的には、既存のPCから普段利用しているHDDを外し、LAN Tank用のHDDを接続、CD-ROMブートを利用しLAN Tank付属のCD-ROMからLAN Tank用のHDDへインストール作業を行う。これらの手順は、ネットワーク経由でセットアップができる玄箱よりも微妙に敷居が高い気がするとともに、利用するPCがメーカー製PCの場合、ケースを開いてHDDを接続し直すなんてことは面倒くさいので、必然的に自作ユーザー向けな印象だ。VIAのEPIAのようなオールインワンマザーが余らせてあると便利かもしれない(実感)。ところでこの作業時の注意だが、BIOSからブート順をCD-ROM→HDDに設定しておくことと、FDDが搭載されていないPCの場合にはBIOSからFDDをNoneに設定しておかないと途中でエラーが出て続行できない。無事インストーラが起動すると、ライセンスの承諾などを経て、パーティション作成とフォーマットが行われる。

    付属CD-ROMからインストーラを起動

    インストールするHDDを選択

    パーティション作成やフォーマットなどの作業が続く

    無事完了すると「おめでとうございます」と祝ってくれる

    今回はMaxtorのMaXLine II 250GB HDD×2台を用いる

    OSのインストール作業が完了したらLAN TankにHDDを搭載する。2台のHDDを搭載する場合は、OSをインストールした方のHDDをマスターに、もう一方をスレーブにジャンパ設定し、組み付けはきょう体奥がスレーブ、手前がマスターといった順だ。あとは外板を取り付けて完成だが、できれば先に動作確認をしておくのが良いだろう。

    ハードディスクのジャンパと組み込み順には注意が必要

    接続ミスが無く、アクセスに問題ないことが確認できた後にケースを閉めよう。ケースにはいくつかのツメがあり外板を固定している

    LAN Tankをネットワークに接続しPCからアクセスして動作確認をしよう。LAN Tankの初期IPアドレスは192.168.0.200となっているので、PCとクロスケーブルで接続する場合は192.168.0.XXXに、DHCP有りのルータ経由で接続するならこちらも192.168.0.XXXのネットワークに設定し直そう(サブネット255.255.255.0の場合)。そしてウェブブラウザから「http://192.168.0.200」にアクセスすると、まずRAID設定を行う画面が表示される。ここでJBOD(2台のHDDを1台の大容量HDDとして使用)またはRAID1(ミラーリング)を選択すると、自動的にHDDの設定を行うようで、オプションと容量によって数分~数時間カリカリとアクセスが続くので、完了し再起動するまで気長に待とう。

    2台のHDDをミラーリングしたいならRAID 1(容量は1台分になる)、容量を活かしたいならJBOD(容量は2台の合計)を選択

    多少面倒な組み立てだが、今後のハックに期待

    さて、めでたくアクセス可能となったLAN Tank。Windows XP/2000などではWebDAVによるアクセスが可能となっており、ブラウザからIPアドレスを指定してアクセスすれば設定ページも用意されている。早速IPアドレスを変更し、Telnetターミナルを起動させログインを確認したが、時間の関係上iTunesサーバやストリーミングサーバ機能の検証までは進めなかった。良かったのは動作音が予想以上に静かだったこと。ほぼ同じきょう体の挑戦者ニコイチHDDケース「SOTO-HDWUE」がやはり小型ファン2基を搭載しており、(個体差はあるかもしれないが)これがややうるさかったのとは対照的だ。筆者の部屋はNAS×5台という環境だが、おかげでなんとか睡眠は邪魔されずにすみそうだ。

    WebDAVアクセスが可能だが、Sambaは導入されていない様子

    さて、ここまでくればあとはいろいろとLinuxハッキングの世界になる。サクッと調べただけでも既にSambaの導入や、WOL対応などいろいろと進んでいるようである。このあたりは筆者が不得意な分野であるので、先達のハックを参考に気長に利用していこうと思う。

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