【コラム】

自作パーツ実験室

21 Pentium M対抗のモバイルCPU「Turion 64」をデスクトップで動かそう(1)

    石川ひさよし  [2005/05/28]

    モバイル・組み込み向けのx86アーキテクチャCPUが登場するたびにわくわくしてしまう。今回もタイムリーに「Geode LX 800@0.9W」が発表された。1GHz以下の800(モデルナンバー)というとVIAのEdenといい勝負。そして1W以下の消費電力(CPUコア部分)となるとファンレスで常時運用といったキーワードにぴったり。"出れば"確実に検討したいところだが、いまだGeode NXシリーズのMini-ITXボードもDIY市場には"出ていない"わけで、ここがかなり悩ましい。多少であれば高くても検討に値すると思うのだが、ここはひたすら待つしかないのが現状だ。

    Turion 64を静音デスクトップで使いたい

    今回テストしてみるのはAMDのThin&Lightノート向けCPU「Turion 64」。秋葉原に登場してからそこそこ期間は過ぎてはいるが、一度検証しておこうと思う。

    MT30の表記に続きOPNがBQX5LDとある。ヒートスプレッダの無いコアむき出しタイプなのはモバイル向けCPUの特徴

    ヒートスプレッダが無いことによる注意点は、この薄さ

    まずはTurion 64のラインアップ。Turion MLシリーズにはML-40/37/34/32/30の5製品、Turion MTシリーズはMT-34/32/30の3製品が登場している。消費電力35WというMLシリーズは、Thin&Light向けとはいってもよりハイパフォーマンス向けの位置づけ。最初から低消費電力だけにフォーカスするならば、25WのMTシリーズが注目だろう。Turion 64のソケット形状はAthlon 64/Sempron向けに使用されているSocket 754なのでデスクトップボードと同じ。ならばコア電圧サポートさえ合えば、あるいはコア電圧が少々高め(いわゆる"カツ入れ"状態)でも多少の差であればデスクトップボードでも動くのではないかと予想される。

    今回入手したTurion 64はMT-30で、実動作クロックは1.6GHz、キャッシュ容量は1MB、OPNは「BQX5LD」となっている。OPNがわかったところでAMDからはコア電圧のデータが一般には公開されていないが、開発者向け資料によれば、MLシリーズが1.35V、MTシリーズが1.20Vとのことだ。手元にあるデスクトップ向けのAthlon 64 3000+(Socket754)は通常約1.50V程度で動作しているのだが、1.20Vとなるとそこから0.30Vほど低いことになる。マザーボードによってはこれより低い電圧に設定できない場合も出てくるだろう。ここがひとつめの注意点。もうひとつの注意点はTurion 64の外見によるものだ。Turion 64(というよりモバイル向けCPU全般)にはヒートスプレッダが搭載されていない。このため、デスクトップ向けAthlon 64と比較して、厚みが薄いことがわかる。デスクトップ用クーラーをそのまま装着しても、CPUに密着させるための圧力が減ってしまうので、以前Pentium Mで用いた銅板を挟んで厚みを調節し、問題を回避することにした。

    一方のマザーボードはというと、インターネットでは有志による数々の検証結果が掲載されているが、今回はエムエスアイコンピュータージャパンからSocket 754マザーボードを4枚お借りして、ひとつひとつ動作をチェックしてみようということになった。それぞれNVIDIA nForce4-4xチップセットを採用した「K8N Neo3-F」、同nForce3チップセットを採用した「K8N Neo Platinum」、VIAのK8T800チップセットを採用した「K8T Neo」、同グラフィック統合チップセットK8M800チップセットを採用した「K8M Neo-V」だ。では、とりあえず最初は規定外の電圧でもOS起動までを確認できればOKという基準でチェックしてみた結果が次の表だ。

    マザーボード チップセット BIOS Min電圧 Max電圧 実動作電圧 その他
    K8N Neo3-F nForce4 1.0 0.825V 1.550V 1.200V 1.6GHz OK
    K8N Neo Platinum nForce3 1.6 0.825V 1.550V 動作せず
    K8T Neo K8T800 2.2 1.400V 1.550V 1.400V 1.6GHz OK
    K8M Neo-V K8M800 1.1 自動 自動 1.400V 1.6GHz OK
    ※2005/05/26時点での検証結果

    K8N Neo3-F

    nForce4チップセットを採用しているため、PCI Expressの利用も可能な「K8N Neo3-F」。AGP互換のAGR(Advance Graphics Riser)も備える

    CPU-ZでCPUの情報を確認してみる。定格動作はしたものの、認識の方は少々怪しい

    K8N Neo Platinum

    nForce3チップセットのマザーボードで、1.200Vにも対応している「K8N Neo Platinum」だが今回のテストでは唯一起動が確認できなかった

    参考までにAthlon 64 3000+でのCPU-Zの結果

    K8T Neo

    K8T800チップセットの「K8T Neo」。Athlon 64向けとしては実績あるチップだ

    1.400Vながら起動が確認できた

    K8M Neo-V

    K8M800チップセットの「K8M Neo-V」。選択肢の少ないグラフィック機能内蔵モデルだ

    BIOSに電圧設定は見あたらなかったものの、起動してみれば1.400Vで動作していた

    Turion 64にはK8N Neo3-Fが期待大!?

    今回の検証では、4枚中3枚でTurion 64が動作した。ただし規定の1.200V設定で動作させることができたのはK8N Neo3-Fだけだ。ただしCPUIDを見るとTurion 64を正しく認識しているという訳ではないようだ。1.400V動作のK8T Neo、K8M Neo-Vに関しても、90nmプロセスと1.6GHzという動作周波数のおかげか発熱はかなり低い。なお、動作電圧は正確に1.200Vと設定できるK8N Neo Platinumは、今回の検証では起動が確認できなかった。

    今回はとりあえずの動作確認だが、実はK8N Neo3-Fに5月18日付けでBIOS 1.1が登場している。同社によればβ扱いのBIOSで公開は日本のみ、「CPUマイクロコード」が更新されているとのこと。もしかしたらTurion 64への対応が進んだ? という可能性もあるので、こちらもチェックせねばならない。もちろん、動作確認の他にも消費電力や発熱、パフォーマンスなど調べたいことはいろいろある。これらについても次回以降追って紹介していこうと思う。

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