【コラム】
「P4GD1」に引き続き、もうひとつの「P5P800」を紹介していこう。メリットとしては、LGA775ソケットで最速のPentium 4プロセッサが選択できるというところだろう(ちなみに、このi8x5系チップセットにLGA775ソケットを組み合わせた製品は、P5P800の他にも、LGA775正式発表前に登場している)。これまでのSocket 478では、ピンなどを含めたソケットの物理的な電気特性から、3.40GHzが限界だろうと言われている。つまりLGA775はそういった面でもブレイクスルーなわけで、第1弾で3.60GHzまでクロックを高めた製品が投入されている。
用途によっては(とくに業務用では)常に処理能力を求め、少しでも高クロックのプロセッサを必要としている環境もあるだろう。では、処理能力を求めるユーザーがあえてi915系チップセットを選ばないでi865系チップセットという選択をし得るのか検討してみたい。
まずはボードレイアウトから見ていきたい。P5P800は、LGA775ソケットとi865Pチップセットを組み合わせたATXマザーボード。ボード上にはAGPスロットとPCIスロット×5が搭載されている。つまりDDR2やPCI Expressにはもちろん対応しないが、豊富なPCIスロットが利用できる。CPU以外では、従来のAGP/PCI、DDRメモリ等の製品を利用できるため、この製品の位置づけとしては、これらAGP/PCI、DDRメモリを利用しつつ、LGA775プロセッサを必要とするといったユーザー向けだ。その意味では、P4GD1よりユーザー層は小さいように思える。
考えられるのは、4枚以上のPCIカードを利用している場合。i915Pチップセットでは、PCIスロットは2ないし3スロット程度しか提供されていないわけで、それ以上のPCIスロットを利用しているユーザーでは、ここが移行の足枷になっているという話も実際によく聞く。また、多数派ではないだろうが、PCI型のシールド板を利用しているユーザーも、この部類に入ると思う。どちらにせよ、最近ではオンボードであらゆる機能が搭載されているため、あえてPCIカードで機能拡張を行っているユーザーは、おそらくこだわりの高品位なカードを利用していると思われる。余計、簡単には手放したくはないだろう。
もうひとつはAGPの最新ハイエンドグラフィックカードを購入してしまったパターン。現在のところ、パフォーマンス向けのグラフィックカードはAGP製品の登場後にPCI Express製品が登場しているわけで、PCI Express版を待ちきれなかったユーザーも多かったのではないかと思う。特にハイエンドGPUを好んで利用するようなゲーマーであれば、ハイエンドCPUを利用してより快適にゲームを楽しみたいものではなかろうか。
さて、テストでPCIカードを大量に用意することは不可能なので、CPU別に2つのパターンを用意し、少しクロックが低いが3GHzのPentium 4 530と、最高クロックの3.6GHzの同560を利用して普通に組んでみる。グラフィックカードは、最新とはいえないが、とりあえず前世代の最高グレードだったRADEON 9800 XTを流用した。
| パターン1 | パターン2 | |
|---|---|---|
| CPU | Pentium 4 560(3.6GHz) | Pentium 4 530(3GHz) |
| VGA | RADEON 9800 XT | |
| RAM | DDR400 512MB×2 | |
| HDD | Barracuda 7200.7 80GB(SATA変換して利用) | |
| OS | Windows XP Professional | |
こちらの結果は……今回の趣旨は高クロックCPUの優位性を示すためのものではないので参考まで。スコアをひとつの目安に、3.6GHzという最高の処理能力のプロセッサを選ぶか、3GHzというコスト的にもパフォーマンス的にもちょうど良いプロセッサを選ぶか、というところだろう。
P5P800の独自機能に関しても紹介しておこう。i865PEチップセットであるため、PEG Link Modeのようなグラフィック関連機能は搭載していないが、Hyper Path 2のi865世代版であるHyper Pathが利用できる。また、オーバークロック関連でもAI NOS等のオーバークロック機能が利用可能だ。ここで、ついでといってはなんだが、BIOS設定画面の中のFSB設定をいじってみた。P5P800のベースクロック設定は、他の製品と同様に100MHz~400MHzまで1MHz刻みで設定可能となっている。オーバークロックユーザーにとっては200MHz以降が気になるところだと思うが、ここでは下方向に絞ってみた。133MHz設定では、FSB533MHzのプロセッサが利用可能となっている。そしてサポート外の100MHz設定、つまり400MHz FSBで動作させることも試した限りでは可能だ。ちなみに、3GHzの530を利用すれば100MHzベースで1.5GHz動作、133MHzで2GHz動作、3.6GHzの560では100MHzで1.8GHz動作、133MHzで2.4GHz動作となる。このクロックダウン時、メモリ動作は100MHzでDDR266、133MHzでDDR333に制限されるようだ。
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AI Overclockのオプションは、Manual/Standard/5%~30%/AI NOSと選択できる。Manualで詳細に設定するのもよし、常用であれば負荷に応じてオーバークロックしてくれるAI NOSでもいいだろう。 |
AI NOSではAutoを含む4つのオプションが用意されている。 |
なお、次のグラフの3GHzは560を166MHzで利用したもので、530とは別途計測している。LGA775でもクロックダウンが可能であることが証明できたわけで、低クロックCPUが無いなら作ってしまえといった強引な手だ。
先のP4GD1と同様にP5P800でも最終的にPCI Express環境に移行した際のコストをはじき出しておくと、今度は最低限PCI ExpressグラフィックカードとDDR2メモリという計算になる。価格的にはPCI Expressグラフィックスカードをどのクラスにするかで大きく変わってくる点と、場合によってはその他のPCIカードをPCI Expressカードに買い換えるコストも加算されるわけで、流用することでコストを抑えるといった方針のもとでは難しい選択といえるだろう。1つクッションをおくか、PCI Express製品が潤沢に登場するのを待って一気に買い換えるか、選択の分かれ目だ。
P5P800の感想としては、先のP4GD1がライトユーザーにもオススメできる製品であるのに対し、必然的にある種のヘビーユーザー向けの製品といえるようだ。とはいえ、P5P800であっても、現実問題としてAGPとPCI Express x16、DDRとDDR2との間にいまのところ明確なアドバンテージが無く、PCI Express x1カードが年末以降まで登場する予定の無い今、4枚以上のPCIカードを利用している場合や、AGPカードを購入してしまったばかりの場合でかつ高性能CPUを求めるのであれば、このP5P800でしばらく様子見をするという選択は有りだと思う。こうなると、ISA→PCIの場合のように、しばらくはAGPとPCI Expressが共存するという選択肢の無いことが恨めしい。今後の換え時としては、互換チップセットの登場時、PCI Express製品が潤沢に登場した時、あるいは過去のPCI→AGPやSDRAM→DDRメモリの時のように明確な差が生じた時であるように思う。
今回ご紹介したP4GD1、P5P800。途中で横道に逸れたりもしたが、まずは製品の特徴を捉え、パターンを想像し、プランを確立していくという過程を追ってみた。まぁマニアックな製品ではあるが、こう考えていくとそこにニーズはあるわけで、特に今回示したパターンのような方には、ひとつ検討してみる価値のある製品だったと思う。重要なところは、すべての製品にはコンセプトがあることではないだろうか。それを読み取って自分のニーズと照らし合わせていけば、自分にぴったりな製品が見つかると思う。そしてそこには大概おまけ機能(というか差別化のための機能)が付いてくる。そのおまけ機能までしゃぶることができれば、あなたも立派にPCマニアの仲間入り。
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