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第1部 企業と法務 - 1.企業組織

重要度 >>> ★★★☆☆

企業活動や経営管理に関する基本的な考え方を理解しましょう。またキーワードの正確な意味を問う出題が予想されます。社会人はもとより、学生であっても企業組織と経営に関する基本用語をマスターしておくことは大切です。自分自身が関係している会社組織に照らしてイメージしてみるとそれぞれの語句も理解しやすくなります。

合格への攻略ポイント

■会社法における企業の種別

全事業所の50%近くが法人組織で、従来は株式・有限・合資・合名会社と呼ばれる4種類の形態でしたが、2006年4月の会社法の施行によってそれらが再編され、有限会社・最低資本金の各制度の廃止、合同会社の創設などが行われ、現在の法人形態の種類は次のようになっています。

法人形態 解説
株式会社 1名以上の有限責任社員(負債の責任範囲が有限(出資した額の範囲内)に限られる者のこと)の選任が必要。株式保有高に応じた議決権を持ち利益もその比率によって分配される。なお従来の有限会社がそのまま存続する場合は、会社法的には株式会社として存続することになるが、名称は特例有限会社となるので注意
合同会社 株式会社と同様に1 名以上の有限責任社員の選任が必要。利益の分配や意思決定の方法などを定款で自由に決定できる
合資会社 1名以上の無限責任社員(負債の全てを個人で無制限に負う義務のある者のこと)と、1名以上の有限責任社員によって構成される
合名会社 設立した出資者全員が無限責任社員となる。2名以上の無限責任社員の選任が必要

■代表的な組織の形態

企業組織の形態には様々なものがあり、代表的な区分は以下のとおりです。本試験ではこれらの組織形態の名称と特徴が問われる可能性がありますので正確に理解しておきましょう。

組織形態 解説
職能別組織 部門を専門の職能ごとに分割して管理する組織形態。命令一元化の原則に則ったものとして最も基本的
事業部制組織 地域や製品別に企業を分割し、それぞれを各事業部として独立させ、権限と責任を与えて競合させる組織形態。大企業に多い
マトリックス組織 1人の人間が複数のチームや事業部に同時に属し職務横断的で柔軟な組織形態。権限と責任が二重化することで組織における命令一元化の原則が崩れる危険性もある
プロジェクトチーム ある事業の遂行のために臨時に組織され、その任務の達成とともに解散する一時的な組織形態
社内ベンチャ組織 事業対象の拡大のため社員の中から適切な人材を選出し、特に将来性があると期待できる分野に、企業が出資する形で既存の組織から独立して関連企業などを興す組織形態

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■ラインとスタッフ、部門の目的と構成

一般的に企業組織は部署ごとにそれぞれの業務を専門化させた部門単位で組織化されます。これをライン・アンド・スタッフ組織といいます。ラインとは直接企業の営業活動に関わっている部門を意味し、またスタッフとはライン部門がその活動に専念することができるようにバックアップ(支援)することを主な目的とする部門です。この両者が力を合わせてはじめて効果的なビジネス活動が展開されるのです。

区分 名称 解説
ライン 経営部門 取締役会を中心として、経営方針の決定や予算の策定など意思決定を行う部門
営業・販売部門 商品を販売して代金を回収するまでを管理する部門
生産部門 製造計画に基づいて、商品を生産する部門
購買部部門 商品生産に必要となる資材・原材料を購入して管理する部門
スタッフ 人事部部門 社内の人材育成や人事配置、福利厚生など人事労務管理を行う部門
総務部部門 社内における総務業務を行う部門
経理・財務部門 社内のあらゆるお金の動きを管理する部門

本試験出題例

経営組織のうち、事業部制組織の説明はどれか。

  •  社内組織を小集団に分け、全体を構成する一部の機能として相互作用的に活動させる。
  •  商品企画、購買、製造、営業といった同じ職能を行う単位で、社内組織を分割する。
  •  製品や市場ごとに社内組織を分割し、利益責任単位として権限と目標が与えられる。
  •  二つの異なる組織体系に社員が所属することによって、必要に応じて業務に柔軟に対処する。

【ITパスポート 平成21春期 問29】

解答と解説

事業部制組織についての記述である。

  •  京セラの稲盛和夫氏が考案したアメーバ組織である。企業組織を小集団に分けて運営管理を行い、小集団の行動が相互作用的に組織全体の活動へと繋がっていくと考える。
  •  職能別組織である。
  •  マトリックス組織である。

正解


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