シェフ・ソムリエ大越氏のiPhoneライフに迫る!
さまざまな業界で活躍する時代の先駆者。このコーナーでは各界で輝く「気になるあの人」を訪ね、彼らの個性あふれるiPhone生活に迫っている。今回のゲストは、30年以上もの歴史をもつ老舗フレンチレストラン「銀座レカン」で、シェフ・ソムリエを務める大越基裕氏。奥深いワインの世界を日々追究する大越さんならではのiPhone活用術に迫ってみた。
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――iPhoneを購入したのはいつ?
おととし(2008年)の8月でしょうか。フランスから帰ってきてからすぐに購入しました。今は3Gですが3GSも近いうちに欲しいですね。渡仏していた頃の携帯では通話以外にはメールのみを行うだけだったので、日本に帰ってiPhoneを持ち始めてから生活は一変しました。
――ソムリエという仕事にどうiPhoneを活用しているのか?
とにかくこの仕事はサービス全般における幅広い知識を必要とされますが、iPhoneはそれらを収集したり整理したりするのに必要不可欠なツールとなっています。特に今は、ワイン情報の管理にiPhoneをかなり活用していますね。
――ワインの情報管理に欠かせないお役立ちアプリとは?
最も重宝しているのがこれ、「Tasting Notes」。ワインのテイスティングコメントを記録するアプリです。この手のアプリは幾つかありますが、コメントをリストから選ぶのではなく、自分の言葉で打ち込めるのがTasting Noteの特長です。やはり独自の世界観を持ってワインを表現したいので、自由にコメントを書き込めるこのアプリは使い勝手がいいんです。Web上の情報とリンクさせることができるのも便利ですね。
Tasting Notes。飲んだワインのテイスティングコメントをデータベース化できるアプリ。自身で作成したコメントといっしょに、Webページのリンクや写真も記録できる。ワイン以外に、ビールや葉巻などの項目が用意されている(自身で項目を追加することも可能)。価格は350円 |
――どんな時にコメントを記録するの?
電車の中とか、手が少しでも空いたらすぐに記録しています。一週間で100種類以上ものワインを試飲するので、テイスティングコメントは極力早く記録しておかないと情報整理が間に合わないんです。特に香りの印象というのは結構忘れやすいものなので、小さい情報だけでもすぐに留めておく必要があるんです。
Tasting Notes | ||||
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350円 | 0.7MB | |||
ライフスタイル | Matthew Campbell | |||
iPhone OS 3.1以降 | iPhoneおよびiPod touch |
――その他にお気に入りアプリはある?
フランスのラジオ放送がダイレクトで聴けるアプリ、「france info」は現地の情報収集にかなり役立ちます。お客様の中でもしょっちゅうフランスに行かれる方が多いので、その方たちと会話をするうえでもネタの収集は欠かせません。あとは現地の新聞、ル・モンドのアプリ「Le Monde.fr」でもフランスで日々更新されるリアルなニュースをチェックしています。
ラジオフランスの「france info」をiPhoneで視聴できる無料アプリ。france infoのプログラムの全体を聞くことができる |
フランスの新聞「Le Monde」を読むことができるアプリ。記事一覧から読みたい記事をタッチすると、本文が表示される。カテゴリ設定で、政治やスポーツなど読みたいジャンルの記事を選択可能 |
france info | ||||
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無料 | 0.6MB | |||
ニュース | Radia France | |||
iPhone OS 2.2以降 | iPhoneおよびiPod touch |
Le Monde.fr | ||||
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無料 | 1.0MB | |||
ニュース | Le Monde Interactif | |||
iPhone OS 3.0以降 | iPhoneおよびiPod touch |
――iPhoneのカメラは使う?
ワインのラベルは押さえておくことがありますね。特にフランスに行ってワイナリーやブドウ畑を巡る時はiPhoneのカメラが活躍します。日本では手に入らないワインだったり、知らない生産者の名前がラベルに記されていたりするので、とにかく写真に残しておいて、後で調べられるようにします。ブドウ畑や醸造設備なども撮ったりしますね。デジカメで撮ってもいいんですが、毎日持ち歩いているiPhoneのほうが、どこでも人にさっと見せられるから手軽なんですよね。
――銀座レカンのスタッフに他にiPhoneユーザーはいますか?
自分以外にはまだいないですね。ただソムリエの先輩ですとか、フランスに住む友人達には結構ユーザーが多いのでiPhoneにまつわる情報交換をすることも多いです。フランスでも、今かなりiPhoneが普及してきているようです。
――「こんなアプリが欲しい」と思うものは?
そうですね……。Tasting Noteにはとても気に入っているのですが、ワイン関係のアプリで満足できるものはまだ少ないです。ブルゴーニュならブルゴーニュで地域が限定されているとか、もうすこしコアな分野に特化したアプリがあれば嬉しいのですが。最近のワインは自然派とか有機的なアプローチのものが注目されているから、例えば「ビオディナミの種まきカレンダー(天体の動きなどをベースにした特殊な有機栽培における独自の農業歴)」が詳しく分かるアプリなどがあったら面白いと思います。
――iPhoneケースは何を使っていますか?
ケースはしょっちゅう変えてしまうんですが、今はアップルストアで購入したシンプルなチタン素材のものを使っています。この薄くてシャープなデザインが好きで。ケースに限らずアップル社の製品は本当にデザインがいい。iPhoneも機能はもちろんデザイン性もしっかり重視してつくられていますよね……そこに惚れました(笑)。
――仕事以外でのiPhoneの使い方は?
香りが好きなので「癒しの香り」アプリをたまに見ています。様々な香りの効能やノートが説明してあって結構タメになりますよ。あとはユーロと日本円を両方持っているので「通貨」アプリでレートをよくチェックします。外貨預金もしていますし、為替の大きな変動がワインの価格にも影響しますので。なんだかんだ言って、結局仕事に繋がってきてしまうのですが……。
――最後に大越さんにとってiPhoneとは?
ご存じの通り、我々の仕事はとても「アナログ」な世界です。でも、その仕事の効率を格段に上げてくれるのがiPhoneをはじめとする「デジタル」だったりするんですね。ですからiPhoneは、接客業というアナログな仕事を陰でしっかり支えてくれる立役者的な存在だと思います。どんなにプロとしてやっていても、まだまだ知らないことのほうが多いですし、情報は日々更新されます。ワインだって年々新たなヴィンテージが出てきて、種類も増えていく……。だからこそ、いつでもどこでも情報の収集・管理ができるiPhoneは今後更に手放せなくなるでしょう。アナログの世界をデジタルの力でどれだけ効率よく管理するか、ということが問われてくると思います。
大越基裕(Motohiro OKOSHI)
1976年4月24日生まれ。北海道札幌市出身。バーテンダーからサービス業界に入る。ワインに魅せられて渡仏を決意、帰国後2000年にソムリエになる。ワインバーで勤めた後2001年に銀座レカンにソムリエとして入社。様々なコンクールや実践で経験を積んだのち、更にワインの奥深さを知るために、再び2006年より2年半渡仏。帰国後2009年より銀座レカンシェフ・ソムリエとなる。2003年第一回JALUX WINE AWARD優勝、2006年第5回Cuvee Louis Pommery Sommelier Concour 第2位。Academie du vinでの講師も務めている。
(瀬川あずさ@ゴーガ)
◆株式会社ゴーガ (港区南青山/代表取締役 小山文彦)
自分を追求し、社会に貢献する―このスタイルにこだわりながらウェブコンサルティング、データ分析、ソフトウェア開発などを手掛けるウェブマーケティング企業。
・ホームページ:http://www.goga.co.jp/
◆瀬川あずさ
株式会社ゴーガにてプレスを務める傍ら、フードアナリストやライターとしても活動。各メディアにて情報発信を行っている。
・食いしん坊プレスのブログ:http://segawa.goga.co.jp/
・Azusa's Gourmet Diary:http://ameblo.jp/segawa-azusa/
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