JTBが7月5日公表した2012年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向によると、この夏の旅行者数は、国内旅行、海外旅行ともに調査比較ができる2000年以降で過去最高。国内旅行は東京スカイツリーなどの新名所がオープンした東日本が人気、海外旅行は円高や航空座席の供給量増加によって渡航者が増加する見込みのようです。

ただ、せっかく楽しみにしている旅行も、旅先で思わぬトラブルに見舞われないとも限りません。特に環境が異なる海外旅行では万が一のリスクに備えておきたいものです。

海外旅行保険のおもな補償は?

海外旅行保険は、もともと、旅行中のケガを補償する保険ですが、いろいろな特約をつけることで、旅行中に病気をしたときや賠償責任を負ったとき、携行品が損害を被ったとき、さらには、事故の際の救援費用、その他の思いがけない事故のためにかかった費用などが補償されます。

商品は、ふつう複数の種類の補償や保険金額がセットになって販売されています。

これらの補償は、いずれも海外旅行中の事故や病気を原因とするものでなければなりません。しかし、自宅を出発してから帰宅するまでの期間が補償対象となるので、たとえば、自宅から成田空港に向かう途中の国内の事故でも保険金は支払われます。

なお、海外旅行保険は、国内旅行保険と異なり、地震、津波、噴火による傷害や細菌性食中毒も基本補償のなかに入っています。

家族で海外旅行をするときには、ファミリープランにすれば、本人以外の家族もまとめて被保険者にすることができます。ただし、家族の範囲は決まっており、配偶者、および生計を共にする同居の親族と別居の未婚の子どもまで。同行者がいる場合は、家族の範囲にあてはまるかどうかをあらかじめ確認しておいたほうがいいですね。

サポートサービスをうまく利用する

海外旅行保険を販売している保険会社は、顧客の旅先でのさまざなリスクに備えて、365日24時間日本語で対応可能なサポートサービスを提供しています。旅先で病気にかかったりケガをしたときや、思いがけないトラブルに見舞われた際に、母国語での問い合わせ先があると安心です。

また、海外での病気やケガの治療費は高額になる恐れがあります。そのような事態に備え、各社ともに、提携医療機関を利用する場合に保険会社が直接治療費を病院に支払う「キャッシュレス・メディカル・サービス」を実施しており、顧客が現金を旅先で支払わなくてもいいようにしています。

その他、医師や医療機関の紹介や案内、通訳の紹介や手配なども行っています。旅行に行く前には、申し込んだ保険の補償内容とともに、万が一のときの対応方法をしっかり確認し、旅行に出かけるときには、保険証券や契約証、トラブル時の連絡先や対応方法が記載された冊子を必ず携行するようにしましょう。

ネット専用の保険で手軽に安く

最近は、ネット専用にすることで、従来型の申込方法よりも手軽で保険料の割安な保険も販売されています。保険選びの新しい選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。書面による申し込みよりも保険料が4割安いとうたっている商品もあります。

  • Myスマート保険world(海外保険)(au損保)

  • ネットde保険@とらべる(三井住友海上火災)

  • 新・海外旅行保険【off!オフ】(損保ジャパン)

  • スマートネッと(エイチ・エス損害保険)

外務省のホームページには、世界の医療事情や感染症情報を記載したページがあり、かかりやすい病気やケガを国別に知ることができます。また、「海外安全ホームページ(MOFA)」では、各国や主な都市での犯罪発生状況や防犯対策、滞在時の留意事項などが掲載されています。旅行会社からの情報とともに、こういったところからもあらかじめ情報を収集して、楽しい思い出だけが詰まった旅行になるように、トラブルに遭わない工夫を心がけましょう。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ベネッセコーポレーション在職中にCFPR(サーティファイドファイナンシャルプランナー(R))資格を取得して2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などを行っている。 個人相談件数は1,000件超。

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