Tower2とは?

Tower2はMacで動作するGitフロントエンドとしては老舗的存在だ。現在GitフロントエンドといえばAtlassianが提供しているSourceTreeが有名だ。SourceTreeは機能はプラットフォーム毎に若干異なるもののWindowsでもMacでも動作し、無償で利用できるため多くのユーザに利用されている。

Tower2もSourceTreeに負けず劣らず使い勝手の良いGUIフロントエンドを提供しているが、無償で利用可能なSourceTreeと異なり有償のソフトウェア(新規ライセンスは$69、Tower1からのアップグレードは$35)となっている。今回はこのTower2の実力をSourceTreeと比較しつつお伝えしていきたい。

図1:Tower2のWebサイト

Tower2のメリット

Tower2はSourceTreeと同様、フルスペックのGitフロントエンドでGitに関する操作は概ねGUI上で完結できる。使い勝手もある程度慣れればSourceTreeとさほど変わらない。ではTower2を使うメリットはどこにあるのだろうか?

図2:Tower2のメイン画面

1つはSourceTreeと比べると動作が圧倒的に高速という点だ。SourceTreeの動作は全体的にもっさりとした印象だが(これはWindows版にも言える)、Tower2はキビキビと動作する。日常的に利用するソフトウェアなだけにこの違いは地味に大きい。

もう1つは1ウィンドウで複数のリポジトリを扱うことができるという点だ。Mac版のSourceTreeは1ウィンドウで1リポジトリしか扱うことができないため、大量のリポジトリを扱う場合は多数のウィンドウを開く必要がある。Windows版のSourceTreeではタブでリポジトリを切り替えることができるのだが、Mac版ではこういったインタフェースが導入されていない。

図3:複数のリポジトリを1ウィンドウで管理できる

GitHub等を活用しOSS活動を活発に行っているようなプログラマであれば多数のGitリポジトリを扱うケースは多いのではないかと思うが、Mac版のSourceTreeはそういったユーザほど不便を感じやすい。Tower2はこの問題を解決してくれる。

この他にも、ブランチを切り替える際にワークスペースに未コミットの変更がある場合はスタッシュするかどうかを自動的に確認してくれるなど、細かい部分で気が利いてるなと思わせる機能があるのもTower2の特徴だ。

Tower2のデメリット

それではTower2を使うことによるデメリットはないのだろうか?

筆者がTower2を使っていて最も困ったのが対話的にリベースを行う機能がないという点だ。SourceTreeの対話的リベース機能は見た目もわかりやすく操作性も良かったので活用していたのだが、Tower2ではこういった機能は存在しない。この点は非常に残念だ。Tower2の開発元であるfournova社でもこの点は認識しており、機能追加の候補には上がっているものの、まだ具体的な計画はないようだ。

図4:SourceTreeの対話的リベース

また、ユーザインタフェースが英語のみという点も場合によっては欠点となるかもしれない。特に非エンジニアに利用してもらうには敷居が高いといえるだろう。

もう1つTower2を使っていて気になったのが、リポジトリ一覧での情報量だ。SourceTreeのリポジトリ一覧では未コミットのファイル数やアップデートしていない変更数などがバッジで表示されるのだが、Tower2ではリポジトリを選択して詳細情報を表示しないと確認することができない。現実問題としてこれによって日常的な作業に支障をあるかというとさほど問題ではないのだが、普段は触っていないリポジトリでも差分があることがわかればプルしておこう…という目安になるので見えやすい場所に情報が表示されている方が望ましいことは間違いない。

図5:SourceTreeではリポジトリ一覧で差分の有無がわかる

細かい部分では、SourceTreeではローカルブランチを削除する際にリモートブランチも同時に削除することができるのだが、Tower2ではそういったことはできない。その代わり、Tower2ではブランチを複数選択してまとめて削除することができる。プルリクエストを多用する開発スタイルの場合にマージ後のブランチを整理する際などはTower2のほうが圧倒的に便利だ。このあたりは一長一短と言えるかもしれない。

まとめ

SourceTreeもTower2も非常に良くできたGitフロントエンドであることは間違いない。Tower2には対話型リベースの機能がないという欠点があるものの、それを除けば日常的な作業についてはどちらを使っても困ることはほとんどないだろう。ただし、大量のリポジトリを扱う必要がある場合にSourceTreeに煩わしさを感じているというMacユーザには是非Tower2をおすすめしたい。有償のソフトウェアではあるものの、それに見合った働きをしてくれるはずだ。