Scriptedとは?

ScriptedはVMware社がオープンソースで公開したオンラインJavaScript対応エディタだ。Node.jsを使用して実装されており、Webブラウザ上で動作する。Scriptedは最終的には汎用的なエディタを目指して開発されているが、まずはJavaScript開発環境にフォーカスしているようだ。

Scriptedのインストール

Scriptedの動作にはNode.jsが必要になる。プラットフォームに応じたインストーラ、バイナリが用意されているので事前に導入しておこう。

Scripted自身は0.2.0がリリースされており、こちらのページからzipファイルをダウンロードできる。ダウンロードしたアーカイブを適当な場所に展開し、環境変数PATHにbinディレクトリを追加すれば準備完了だ。編集したいJavaScriptファイルがあるディレクトリで、

> scr ファイル名

と入力すれば、Scriptedが起動し、Webブラウザで指定したファイルが表示されるはずだ。

図1 : Scriptedが起動したところ

Scriptedは現在も活発に開発が進められているため、Gitリポジトリをcloneして試してみるのもよいだろう。Gitリポジトリをクローンするには、コマンドラインから以下のように入力する。

> git clone https://github.com/scripted-editor/scripted

Gitリポジトリをクローンした場合も、binディレクトリのscrコマンドを実行することでScriptedを起動することができる。また、gitコマンドを利用できない場合は、GithubのWebインタフェースからリポジトリの内容をzipファイルとしてダウンロードすることができるので、こちらを利用してもよいだろう。

図2 : Githubリポジトリの内容をzipファイルでダウンロード

Scriptedの主な機能

Scriptedは左側にディレクトリ、ファイルを表示するツリーペイン、右側にエディタペインが配置されている。複数のファイルを同時に開くことはできないが、右端にサブエディタを開くことができ、ここでメインエディタとは異なるファイルを表示・編集することが可能だ。HTMLとJavaScriptを同時に編集するようなケースでは便利かもしれない。

図3 : 右側にサブエディタを表示できる

エディタ部分はEclipse Orionを利用しているとのことで、HTMLやJavaScriptの強調表示やコード補完に対応している。また、構文チェックやJsLintによるチェック機能も備えており、エラーがある場合は下線とエラーマーカで指摘してくれる。

図4 : CTRL + SPACEでコード補完が可能

図5 : エラーがある場合は下線とマーカが表示される

このほか、変数や関数の宣言部にジャンプしたり、JavaScriptコードのアウトラインをポップアップ表示できるなどIDE風の機能が実装されている。主な機能のショートカットは以下の通りだ。また、画面の右上に配置されている「?」アイコンをクリックするとキーボードショートカットの一覧が表示されるので参考にするとよいだろう。

ショートカット 説明
CTRL + H キーボードショートカットの一覧を表示
CTRL + S ファイルを保存
CTRL + SHIFT + E サブエディタの表示/非表示
CTRL + SHIFT + F ファイルをインクリメンタルサーチして開く
CTRL + SHIFT + O アウトラインを表示
CTRL + F ファイル内の検索
CTRL + J ファイル内のインクリメンタルサーチ
CTRL + SPACE コード補完
F8 変数や関数の宣言部にジャンプ
SHIFT + F8 変数や関数の宣言部を新しいタブで開く
ALT + SHIFT + F コードフォーマット
SHIFT + / コメントの切り替え

実用にはまだまだ厳しいが…

ScriptedはWebブラウザ上で動作するエディタとしては後発の部類に属するが、機能面ではまだまだこれからといったところだ。また、現状では動作も非常に不安定で実用レベルで利用できるようになるまでには、かなりの時間が必要そうな印象だ。とはいえ開発は活発に行われており、将来的にはVMware / SpringSourceが提供するクラウドサービスの開発環境として利用することも想定されているのかもしれない。

Webブラウザ上で動作するオンラインIDEは様々なものが登場しているものの、Visual StudioやEclipseを置き換えるほどのものは、いまだに存在しないのが実情だ。開発環境もクラウドにシフトしていくのかどうかも含め、Scriptedの今後の動向に注目したい。