RStudio - R言語の統合開発環境

R言語はオープンソースの統計解析およびビジュアライゼーションのためのプログラミング言語だ。RStudioはこのR言語の向けの統合開発環境である。

図1 : RStudioのWebサイト

RStudioはR言語の開発環境としても優れているが、なんといっても特徴的なのはクライアントアプリケーションとして動作するデスクトップ版だけでなく、Webブラウザ上で動作するサーバ版が提供されているという点だ。

デスクトップ版でRStudioの機能を知る

デスクトップ版のRStudioはWindows、MaxOS X、Debian/Ubuntu、Fedora向けのインストーラもしくはパッケージが用意されており、これらのプラットフォームであれば容易に導入することができる。なお、RStudioの利用には別途Rの処理系が必要となるため、事前にインストールしておくこと。

RStudioはタブ型のインタフェースを備えており、複数のRスクリプトをタブで切り替えながら編集することができる。また、対話型のコンソールビューも用意されており、ここでRスクリプトを実行することもできる。

図2 : デスクトップ版のRStudio

ビューの表示位置は設定画面でカスタマイズすることが可能だ。設定画面ではこの他にもエディタの配色や動作、使用するRの処理系などに関する設定を行うことができる。

図3 : RStudioの設定画面

Rスクリプトのエディタや対話型のコンソールビューでは[TAB]や[CTRL]+[SPACE]でコードアシスト機能を利用することができる。また、現在のワークスペースで定義されているデータフレームや変数を参照・編集することもできる。

図4 : コードアシスト機能

図5 : データフレームの編集

Webブラウザで動作するサーバ版

冒頭でも述べたとおり、RStudioにはデスクトップ版だけでなくWebアプリケーションとして動作するサーバ版が提供されている。サーバ版をセットアップしておくことで、利用者はローカルPCにRやRStudioをインストールせずにWebブラウザでRStudioを利用することが可能だ。

サーバ版のRStudioはDebian/UbuntuおよびRedHal/CentOS向けのパッケージが用意されている。その他のプラットフォームの場合はソースからビルドする必要があるが、依存関係がやや複雑なのでサーバ版のRStudioを試すのであればパッケージが用意されているプラットフォームを利用するほうがよいかもしれない。なお、デスクトップ版同様、サーバ版も事前にR本体をインストールしておく必要がある。インストール方法はこちらを参照して欲しい。

パッケージをインストール後、Webブラウザでhttp://localhost:8787/にアクセスすると以下のようなログイン画面が表示されるはずだ。サーバ版のRStudioが動作しているOS上のユーザでログインすることができる。

図6 : サーバ版RStudioのログイン画面

ログインするとブラウザ上でデスクトップ版と同じ画面が表示される。コードアシスト機能やグラフの描画などもデスクトップ版と同様に動作する。

図7 : サーバ版RStudio

WebブラウザベースのIDEは本連載でも何度か紹介してきたが、現時点ではまだ実験的なものが多く、クライアントアプリケーションとして動作するものと比較すると機能面で制限があるものが多い。しかしRStudioの場合、デスクトップ版と同等の機能が提供されいるのが驚きだ。

まとめ

RStudioはマルチプラットフォームで動作するだけでなく、Webアプリケーションとしても動作する。特にWebアプリケーションとして動作するサーバ版はデスクトップ版と遜色のない使い勝手を実現しており、WebベースのIDEの未来を感じさせるものだ。

RStudioはユーザインタフェースの構築にGWT(Google Web Toolkit)を使用しており、デスクトップ版はWebKitにGWTベースのUIを表示するという手法を用いている。デスクトップ版とサーバ版で同等のUIを実現できているのはこれが大きな理由だ。

これはGWTというWebベースの技術でネイティブなデスクトップアプリケーションと遜色のないアプリケーションを開発できるようになったということでもある。筆者は正直なところWebベースのIDEはまだまだ遠い未来のことのように考えていたが、Webブラウザで日常的にコーディングできるようになるのもそう遠い未来の話ではないかもしれない。