VJET JavaScript IDEとは?

VJETeBay Open Sourceで開発されているJavaScript開発用のEclipseプラグインだ。eBay Open SourceではeBayがオープンソース化したプロダクトの開発が行われており、現時点ではVJETのほかにSOAプラットフォームである「Turmeric」が公開されている。

図1: VJETのWebサイト

VJETはEclipseマーケットプレイスからインストールできるほか、更新サイトからインストールすることもできる。

VJET JavaScript IDEを使う上での注意点

VJET JavaScript IDEはJavaScriptコードを編集するためのエディタを提供するが、エディタの機能を適切に利用するためにはVJETプロジェクトとしてプロジェクトを作成するか、他の種類のプロジェクトの場合はプロジェクトを右クリック>[VJet]>[Enable VJET Project Capabilities]で当該のプロジェクトでVJETを有効にする必要がある。

また、JavaScriptのソースファイルを格納するディレクトリをVJETのビルドパスの設定でソースパスとして登録する必要がある。この設定はプロジェクトのプロパティーダイアログの[VJET]-[VJET BuildPath]のページで行うことができる。ここでは使用するライブラリの設定なども行うことが可能だ。

VJET JavaScript IDEの主な機能

それではVJET JavaScript IDEの主な機能について見ていこう。

まずは基本ともいえるコード補完機能だが、[CTRL]+[SPACE]で呼び出すことができる。補完候補をポップアップ表示する際は各メソッドの説明がホバー表示されるほか、メソッドの引数部分ではパラメータヒントも表示されるなど、細かい部分の使い勝手もよい。

図2: コード補完

図3: パラメータヒント

また、記述したJavaScriptコードに誤りがある場合はリアルタイムで警告・エラーとして検出される。文法エラーだけでなく、メソッド呼び出しの引数の数が違う、型が異なる、といった詳細なチェックも行ってくれる。

図4: コードのバリデーション

検索機能もなかなか強力だ。Javaでのコーディング時と同様、[CTRL]+[SHIFT]+[T]で型の検索、[CTRL]+[O]でクイックアウトライン、[CTRL]+[T]でクイック型階層の表示を行うことができる。また、呼び出し階層などの検索を行うことも可能だ。

図5: 型の検索

図6: クイック型階層

対応ライブラリの追加

VJET JavaScript IDEではタイプライブラリと呼ばれるEclipseプロジェクトを別途インポートすることで対応するJavaScriptライブラリを追加することができる。本稿執筆時点では以下のタイプライブラリが提供されている。タイプライブラリはVJET JavaScript IDEのダウンロードページから入手することができる。

  • Dojo 1.6
  • EcmaScript Ed. 5 api updates
  • HTML Canvas 2D API
  • jQuery 1.4
  • jQuery Mobile 1.0 Alpha 4.1
  • JSON
  • Node.js 0.4

ダウンロードしたタイプライブラリをEclipseプロジェクトとしてワークスペースにインポートし、プロジェクトの設定でVJETのビルドパスのプロジェクトタブでタイプライブラリのプロジェクトを追加することでコード補完やバリデーションなどが該当のライブラリに対応する。

図7: Node.jsのコード補完

まとめ

VJET JavaScript IDEはコード補完や検索機能には優れており、特にタイプライブラリが提供されているライブラリを使用したコードを記述する際は便利に利用することができるだろう。ただし、一部に挙動のおかしな点が見られたり、リファクタリングなどの高度な機能が存在しないなど、他のJavaScript開発環境と比較して見劣りのする部分があるのも事実だ。

今回は汎用のJavaScript開発ツールとしてのVJET JavaScript IDEを紹介したが、もともとVJETは本来JavaとJavaScriptの相互変換を行うことでJavaでJavaScript開発を行うための開発環境としてJavaOne 2009で披露されたものだ。JavaからJavaScriptへのコード変換といった機能は今後提供される予定となっており、単なるJavaScriptエディタに留まらない開発環境として発展する可能性もあるのではないだろうか。