Clound9 IDEとは?

メールやオフィススイートなど、これまでクライアントソフトウェアを使用していたさまざまなサービスがWebアプリケーションとして提供されている現在、ソフトウェアの開発環境はいまだにEclipseやVisual Studioなどのようにクライアントアプリケーションとして動作するものが主流だ。本連載でも以前紹介したBespin(現在はSkywriterというプロジェクト名になっている)など一部のプロジェクトで取り組みが行われているものの、まだ実用的とは言えない状況だ。

今回紹介するCloud9 IDEはWebブラウザで動作するIDEで、JavaScriptで実装されており、node.js上で動作する。WebベースのIDEとして要注目のプロダクトだ。

図1 Cloud9 IDEのWebサイト

Cloud9 IDEのインストール

Clound9 IDEはGitHubから入手することができる。gitコマンドで以下のようにリポジトリをクローンしよう。

> git clone git://github.com/ajaxorg/cloud9.git

Windowsの場合、クローン下ソースツリーのbinディレクトリ配下のcloud9-win32.batを実行すると起動する。必要なファイルが自動的にダウンロードされるため少し時間がかかるが、起動が完了すると自動的にWebブラウザが起動し、以下の画面が表示されるはずだ。

図2 Cloud9 IDEが起動したところ

Cloud9 IDEのユーザインタフェース

Cloud9 IDEは非常に美しいユーザインタフェースを備えている。中央にエディタ領域が配置されており、エディタはタブ切り替えにより複数のファイルを開くことができる。タグをダブルクリックすることでエディタを最大表示することも可能だ。

画面上部にはメニューとツールバー、エディタ領域の左側にはファイルをツリー表示するビュー、下側にはコンソールビュー、右側にはデバッグ用のビューが配置されている。それぞれのビューは必要に応じて表示・非表示を切り替えることができる。

また、エディタなどの配色はテーマで切り替えることができるようになっており、メニューから選択することができるようになっている。

図3 テーマの変更

Cloud9 IDEの機能

Cloud9 IDEで実装されているのはファイル管理、強調表示機能を備えたテキストエディタ、コンソール程度だ。強調表示はJavaScript、HTML、CSS、XMLなどに対応している。

エディタでの入力補完やソースコードのエラーチェックといった開発支援機能は実装されていない。また、エディタでの日本語入力にやや問題があり、日本語の入力自体は可能であるものの、カーソルの表示位置がずれてしまう。また、筆者が試したところでは一行が非常に長いファイルを開くとエディタの動作が極端に重くなるという問題があった。

Cloud9 IDEの大きな特徴として、ブラウザ上でJavaScriptプログラムの実行・デバッグを行うことが可能という点が挙げられる。デバッガの使い勝手は通常のIDEと比べても遜色がない。ただし、ステップ実行中に変数の値を書き換えるといった操作はできない。

図4 Javaスクリプトのデバッグ

また、Cloud9 IDEはJavaScriptで機能を拡張することができるようになっており、Extension Managerで有効な拡張の一覧を確認することができる。

図5 Extension Manager

WebベースのIDEの未来

Cloud9 IDEはまだ実装されていない機能も多く、すぐに実用的なIDEとは言えない。しかし、基本的なユーザインタフェースなどはしっかりと作りこまれており、JavaScriptのデバッグも可能であるなど将来性を感じさせる部分も多い。まだまだ課題も多いものの、WebベースのIDEの可能性を感じさせてくれるプロダクトといえるのではないだろうか。

Cloud9 IDEの最新情報はブログで入手することができる。興味のある方は参照してみてほしい。