Eclipse 3.6 Helios待望のリリース

2010年6月、Java統合開発環境Eclipseの最新版となる3.6(Helios)がリリースされた。Eclipseは年1回6月にバージョンアップを行っているが、今年も予定通りリリースされた形だ。今回は39のサブプロジェクトが同時にリリースされるという過去最大のリリースとなっている。

図1 Heliosのスプラッシュスクリーン

本連載では今回から数回に分けてEclipse Heliosの注目の新機能について紹介していきたい。

Heliosで提供されるパッケージ

Eclipse.orgでは用途に応じてさまざまなパッケージが用意されている。Heliosでは「Eclipse IDE for C/C++ Linux Developers」「Eclipse IDE for JavaScript Web Developers」「Eclipse SOA Platform for Java and SOA Developers」といったパッケージが追加されている。

中でも注目なのは「Eclipse IDE for C/C++ Linux Developers」だ。これは従来提供されていたC/C++向けの開発環境であるCDTにLinux ToolsというLinux固有の開発ツールのサポートを追加したものだ。Linux ToolsはAutotoolsをはじめ、OProfileやValgrind(プロファイリングツール)、LLTng(トレーシングツール)などのツールの利用をサポートするほか、ChangeLogを作成するための機能などを提供する。

Heliosで提供されているパッケージと、それぞれのパッケージに含まれるプラグインのリストは以下の通りだ。

Heliosで提供されるパッケージ

日本語化Pleiadesもバージョンアップ

Eclipseを日本語l化するにはMergeDoc Projectで提供されているPleiades All in Oneパッケージをダウンロードするのが手っ取り早い。Pleiades All in OneパッケージもHeliosのリリースにあわせてバージョンアップしており、こちらのサイトからダウンロードが可能だ。

図2 Pleiadesのダウンロードページ

Pleiades All in OneパッケージにはEclipse本体以外にも利用価値の高いプラグインがインストール済みの状態になっているため、すぐに開発をはじめることができるだろう。ただし、PleiadesはAOP技術を使用してユーザインタフェースの日本語化を行っているため、他のプラグインで問題が発生する場合があるので注意してほしい。

プラグインのインストールが簡単に!

Heliosでの大きな新機能の1つがEclipse Marketplaceからのプラグインのインストールが可能になったことだ。Eclipse MarketplaceはEclipse Foundationが運営するプラグイン紹介サイトだが、HeliosではEclipse Marketplaceに掲載されているプラグインを検索して直接インストールすることができるようになっている。

図3 Eclipse Marketplace

図4 Eclipse Marketplaceからのプラグインのインストール

分散バージョン管理システムGitをサポート

バージョン管理システムは従来どおりCVSが標準でサポートされている。Eclipse FoundationではこのほかにSubversionをサポートするSubversiveがインキュベーション中だが、さらに分散バージョン管理システムGitをサポートするEGitの開発も進められている。

EGitもインキュベーション中のプロジェクトであり、Heliosの各パッケージには含まれていないが、Eclipseの更新マネージャからHeliosの更新サイトを選択してインストールできる。

図5 Git Repository Exploringパースペクティブ

バージョン管理システムとして標準ではCVSしかサポートされていないという点はEclipseの大きな欠点の1つといえる。将来のバージョンアップでは SubversiveやEGitが標準で搭載されることを期待したい。

まとめ

次回はJava開発に関連する新機能を紹介する予定だ。特にHeliosではJavaEE 6に対応した新機能も提供されているため、EJB3やJSFを利用している開発者は要チェックだ。