CodeRun Studioとは?

CodeRun StudioはWebブラウザで動作するVisual Studioライクな統合開発環境だ。.NET(C#)/PHPに対応しており、プロジェクト管理機能、タブによる複数ファイルの同時編集、コード補完、コンパイルエラーの表示、さらにはWebアプリケーションの実行やデバッグまで行うことができるなど、オンラインIDEとは思えないほど高機能だ。

なお、CodeRun社ではCodeRun CloudというAmaozn EC2を使用したクラウドサービスを提供しており、CodeRun Studioはこのクラウドサービス上で稼働するWebアプリケーションの開発環境としての側面もある。

CodeRun Studioの基本的な機能

CodeRun Studioの見た目はVisual Studioにそっくりだ。画面上部のツールバーから[New]ボタンをクリックすると新規プロジェクトを作成することができる。C#によるASP.NETアプリケーションをはじめ、SilverlightやFacebookアプリケーション、JavaScript、PHPなどさまざまなアプリケーションを作成することができる。

図1 新規プロジェクトの作成

C#の場合はコードを編集中に[CTRL]+[SPACE]でVisual Studio風の入力補完機能(インテリセンス)を使用することができる。ただし、Google Chromeだと日本語入力ができなかったり、補完ウィンドウの位置がずれたりすることがあった。

図2 コードの入力補完

画面上のツールバーから[Build]ボタンをクリックするとプロジェクトのコンパイルを行うことができる。ソースコードにエラーがある場合は[Error List]ビューにエラーが一覧表示され、エラーをダブルクリックすることで該当のファイルを開くことができる。

図3 コンパイルエラーの一覧表示

作成したアプリの実行/デバッグ

CodeRun Studioの驚くべき点はここまでに紹介したエディタとしての機能だけでなく、作成したアプリケーションを実際にサーバサイドで動作させることができるという点だ。ツールバーから[Run]ボタンをクリックすることでアプリケーションを実行することができる。また、C#の場合は[Debug]ボタンをクリックすることでデバッグを行うことも可能となっている。

図4 デバッグしているところ

デバッガとしての機能はコールスタックの参照、式の評価結果の参照に限られており充実しているとは言い難いが、それでもWebブラウザ内でC#コードのデバッグを行うことができるという点はなかなか衝撃的だ。

また、CodeRun Studio上で作成したアプリケーションは[Download]ボタンをクリックすることでプロジェクト一式をZIPファイルとしてダウンロードすることができる。Visual Studioのソリューションの形式になっているので、そのままVisual Studioにインポートすることが可能だ(ただし、Visual Web Developer 2008に読み込ませたところ、インポートは可能だったが一部エラーとなる箇所があった)。

ブラウザIDEの可能性は?

本稿で紹介したとおり、CodeRun StudioはブラウザベースのIDEとは思えないほど高機能だ。しかし、動作はやや重く、特にデバッグ時のブレークポイントの切り替えなどの操作にはややストレスを感じた。

冒頭でも述べたとおり、CodeRun StudioはCodeRun Cloudというクラウドサービス上で稼働するWebアプリケーションの開発環境としての側面が強く、CodeRun Studioから1クリックでクラウド環境へデプロイを行うことができる(Visual Studio用のアドオン[も提供されており、Visual Studioからデプロイすることもできる)。

CodeRun Cloudと同種のPaaSにはGoogle App EngineやWindows Azureなどが存在するが、いずれも開発はローカルPCで行うことが前提となっている。Webブラウザさえあれば開発環境さえ利用できてしまうCodeRunの試みがクラウド時代のIDEの第一歩となるか興味深いところだ。