RoREDとは?

前回はPythin用の軽量統合開発環境としてPyScripterを紹介したが、今回はRuby on Rails用の軽量統合開発環境RoREDを紹介する。

Rails 向けのIDEとしてはNetBeansやAptanaといったオープンソースのツールに加え、Embarcadero Technologiesの3rdRailなどが有名だ。これらはいずれもNetBeansやEclipseといったJavaベースの高機能なIDEをベースにしており、Railsに最適化されたコード補完など高度な機能を提供している。しかしそれゆえ動作が重く、開発用のPCにはそれなりのスペックが要求される。

RoREDは機能面ではこれらのツールに劣るものの、非常に軽快に動作するWindows用のRails IDEだ。

インストールと起動

RoREDはこちらのURLからダウンロードすることができる。ダウンロードしたZIPファイルを適当な場所に解凍し、インストーラを実行するだけなので特に迷うところはないはずだ。本稿執筆時点でのRoREDの最新バージョンは0.9.5.2となっている。

RoREDを起動すると一瞬で画面が表示されるはずだ。この軽快さこそがRoREDの最大の魅力だ。

RoREDの画面構成は以下のようになっている。

図1 RoREDの画面構成

エディタのタブが二段になっているところが特徴的だ。Railsのフォルダ構成ではコントローラとビューは異なるフォルダに配置する必要があるが、これらを上段のタブでまとめて表示することができる。実際の開発時にはコントローラとビューを行ったり来たりしながらコーディングすることが多いのでこれは便利な機能だ。

また、一番右側にはソースコードのサムネイルが表示される。サムネイル上でマウス選択することでソースコード上の該当位置にジャンプすることが可能だ。ソースコード全体を俯瞰することができ、感覚的な操作を可能としている。

コマンドラインと併用しての開発スタイル

RoREDはRails開発におけるすべての操作をGUIで行うことは想定されておらず、必要に応じてコマンドラインでrailsコマンドやgenerateコマンドなどを実行しながら開発を進めていくことになる。

たとえばRoREDでは新規プロジェクトを作成する機能はいまのところ実装されておらず、あらかじめコマンドラインでrailsコマンドを使って作成したプロジェクトをRoREDで開く、という手順になる。コマンドプロンプトは画面上部のツールバーから表示できるようになっている。ツールバーからはテストサーバの起動も可能だ。

軽量だが機能はテキストエディタレベル?

コード補完などの支援機能はそれほど充実しておらず、「ないよりはマシ」といったレベルだ。テキストエディタで開発するのとそれほど変わりはないだろう。その他、キーワード展開や右クリックメニューから関連ファイルを開く機能などがある。

図2 コード補完機能

また、RoREDはツールバーにscript/breakpointerを実行するボタンが用意されているが、Rails 2.0以降ではruby-debugモジュールを使ってデバッグを行うことができるようになっている。ruby-debugを利用するにはWEBrickをデバッグモードで起動する必要があるが、RoREDからはデバッグモードでサーバを起動することはできないため、デバッグ時はコマンドラインから手動でサーバを起動する必要がある。

検索機能はファイル横断の検索が可能だ。検索ダイアログを表示したままエディタにフォーカスをあてると検索ダイアログが透過表示され、ダイアログを表示したまま操作を行うことができる。

図3 検索ダイアログを表示したまま操作が可能

まとめ

RoREDは一般的にIDEの大きなメリットであるグラフィカルなデバッガや強力なコード補完といった機能が利用できず、機能的にはIDEというよりもテキストエディタの延長に近い。しかしRailsに特化したタブ機能など、便利な機能もあるし、動作も非常に軽快だ。これまでテキストエディタとコマンドラインを駆使していた開発者であれば「Railsに特化したテキストエディタ」と割り切ることで便利に利用することができるのではないだろうか。

なお、Rails向けというわけではないが、RDEというWindows用の軽量Ruby IDEが存在する。機会があればこちらも校を改めて紹介したい。