Oracle Enterprise Pack for Eclipse 11gとは

Oracle Enterprise Pack for Eclipse 11g(以下、OEPE 11g)はOracleが提供するEclipse向けのプラグインセットだ。OEPE 11gは無償で提供されており、Oracle Technology Networkのサイトからダウンロードすることができる。

プラグインのみのダウンロードだけでなく、Eclipse本体にプラグインを同梱したAll-In-One、さらには更新サイトからのインストールも可能となっている。また、Linux版も提供されている。

今回はOEPE 11gの主要な機能を紹介し、OEPEがどのような位置付けの開発環境であるかを探ってみる。

WebLogicを強力サポート

OEPEの大きな特徴はWebLogicが手厚くサポートされているということだ。以下のようにBEA時代を含め、さまざまなバージョンのWebLogicに対応している。

さまざまなバージョンのWebLogicに対応

OEPEではWebLogic上で動作するアプリケーションの開発はもちろんのこと、リモートデプロイ/リモートデバッグも可能だ。WebLogic固有の設定ファイルを編集するための専用のエディタも用意されている。

また、WebLogicのFastSwapというクラスの変更を即時反映する機能に対応している。FastSwapはいくつかの制約はあるものの、クラスローダを破棄することなくクラスのリロードを行うことができるため、コードの修正を即座にアプリケーションに反映し、動作を確認することができる。修正するたびに再デプロイを行う必要がないため、とりわけデプロイに時間がかかるであろう大規模なアプリケーションの開発効率は飛躍的に向上するはずだ。

このようにOEPEでのWebLogicのサポートは非常に強力なものとなっている。アプリケーションサーバにWebLogicを利用しているのであればOEPEは開発ツールとして有力な選択肢となることだろう。

Oracle Database Tools

OEPE 11gのもう1つの特徴はOracleデータベースのサポートだろう。OEPE 11gではEclipse Foundationで開発されているDTPをベースにSQLの実行計画の取得、ストアドプロシージャの開発機能などOracleに特化した追加機能を提供している。これはこれまでOracle Database Plugin for Eclipseという単独のEclipseプラグインとして開発されていたものが統合されたものだ。

また、テーブルの関連をER図として表示することもできる。複雑な関連を持つデータベースを手軽に可視化できるのは便利だ。

図2 Database Developmentパースペクティブ

Oracleに関する機能の中でもストアドプロシージャの開発支援機能はなかなか強力だ。データベースに格納されているプロシージャをEclipseのエディタで編集することができる。また、Eclipse上からプロシージャを実行することも可能だ。プロシージャに渡すパラメータはダイアログで入力することができる。

図3 ストアドプロシージャの実行

Oracleデータベースのフロントエンドとして見た場合、JDeveloperやSQLDeveloperといった以前から提供されているツールと比較すると機能面では劣る感が否めない。今後に期待したいところだ。

JAX-WS、JAXBなどのサポートも

Oracleは以前からJDeveloperという独自のJava統合開発環境を提供しているが、いまのところOEPEはBEAの買収によってOracleの製品ラインアップに組み込まれたWebLogic向けの開発環境というすみわけのようだ。BEAが提供していたWebLogic WorkshopはEclipseベースのIDEだったため、OEPEにも今後WebLogic Workshopに由来する機能が追加されるかもしれない。

OEPE 11gにはSpringORMやJAX-WS、JAXBなどのソースコード生成や強力なJPAサポートなど、WebLogicユーザ以外にも便利な機能が多数提供されているため、WebLogic以外のアプリケーションサーバを使用する場合であっても一部の機能を利用するといった使い方が可能だろう。今後に注目したいツールのひとつだ。