Ganymedeの新パッケージ

Eclipseは3.3(Europa)からEclipse本体だけでなく、WTPなどEclipse Foundationで開発されているプラグインを同梱したパッケージが配布されるようになった。EuropaではJava開発者向け、Java EE開発者向け、プラグイン開発者向け、C/C++開発者向けのパッケージが提供されていたが、Ganymedeではさらにモデリング、レポーティング向けのパッケージが新たに提供されるようになった。

Ganymedeの新機能紹介の締め括りとして今回はこれらの新パッケージを紹介しよう。

Eclipse Modeling Tools

Eclipse Modeling Projectが提供するプラグインがパッケージングされている。特に注目は、やはりUMLダイアグラムエディタだろう。

図1 Eclipse Modeling Tools

これはEclipse Modeling Projectで開発されているUML2というUML 2.0対応のEMFモデルをバックエンドに持つもので、シーケンス図以外の主要なUMLダイアグラムをサポートしている。現時点ではダイアグラムを作成する機能に留まっており、また操作性も良いとは言い難いが、将来的にはソースコードの生成やリバースエンジニアリングなど、JDTなどと連動した機能が提供されることも考えられる。

Eclipse Modeling ToolsパッケージにはUMLダイアグラムエディタのほかにもEclipse Modeling ProjectのサブプロジェクトであるM2M(Model-to-model transformation)プロジェクトで開発されているプラグインが含まれている。

Eclipse IDE for Java and Report Developers

こちらはBIRT(Business Intelligence and Reporting Tools)が含まれるレポート(帳票)開発用のパッケージとなっている。WTPなども同梱されておりJava EE向けのパッケージにBIRTを追加したようなプラグイン構成だ。

BIRTはEclipseでレポートをグラフィカルにデザインするためのプラグインで、作成したレポートはランタイムを組み込むことで様々なアプリケーションで利用することができる。BIRTはレポートを作成するための専用のパースペクティブを提供しており、レポートデザイナでグラフィカルにレポートを作成することができる。

図2 Report Designパースペクティブ

BIRTでレポートを作成するにはまずData Explorerビューで使用するデータソースを定義する。作成したデータソースをレポート上にドラッグ&ドロップすればそれだけで表を作成することもできるし、1項目ずつバインドを行っていくこともできる。グラフなどもパレットからのドラッグ&ドロップで配置することができるほかJavaScriptでスクリプティングを行うこともできるため、複雑な処理もこなすことができるだろう。

作成したレポートはXML形式で保存される。レポートエディタにはPreviewタブが用意されており、デザインを編集しながらすぐにプレビューできるほか、HTMLやPDFなどさまざまなフォーマットでの出力結果を別ウィンドウに表示することができるため、レポートのデザインを即座に確認することができる。

BIRTは以前のバージョンと比較すると、かなり使いやすいツールになってきていると感じる。Javaベースのレポーティングツールをお探しの方はぜひ一度試してみてほしい。

さらに進化するEclipse

本連載では、4回に渡ってEclipse 3.4 Ganymedeの新機能を紹介してきた。Ganymedeの新機能紹介も今回が最終回となるが、Eclipse FoundationではSubversionと連携するためのSubversiveや、PHP開発用のPDTなどの開発も進められており、Eclipseの次のバージョンではこれらのプラグインが統合されたパッケージが提供されることが予想される。Eclipseは以前から充分に強力なJava IDEだったが、ここ数年のバージョンアップは不足する部分を着実に埋めてきている印象だ。

さらに進化するEclipse、Java開発者以外のデベロッパも要注目だ。