必要な機能だけをオンラインでチョイス

本連載第4回では、Eclipse本体とさまざまなプラグインをセットにしたオールインワンのEclipseディストリビューションを紹介した。これらのディストリビューションを利用することで、Eclipse標準でサポートされていない機能をインストーラで一括インストールすることができ、あれこれとプラグインを集めて環境を構築する必要がなくなる。

これらのディストリビューションと似たアプローチのサービスとして、オンラインでプラグインを選択して自分に必要なEclipseを構築することができるサービスが存在する。オールインワンのインストーラはたしかに便利ではあるが、利用できるのは予め用意されているプラグインだけなので結局プラグインを追加インストールする必要があったり、また逆に不要なプラグインまでインストールされてしまうという場合もあるだろう。今回紹介するオンラインサービスでは、Eclipse本体と好きなプラグインの組み合わせを自由に指定することができるので、自分の好みにあわせて必要な機能だけを備えたEclipseを容易に作成することができるのだ。

Yoxos On Demand

Yoxos On DemandはINNOOPRACT社が提供するオンラインサービスで、Webブラウザ上でEclipseとさまざまなプラグインを組み合わせることができ、単一のZIPファイルとしてダウンロードすることができるというものだ。プラグインの依存関係も自動的に解決されるほか、ランゲージパックも選択することができる。プラグインもオープンソースのものから商用製品まで豊富に取り揃えられている。

図1 Yoxos On Demand

Yoxos On DemandのサービスそのものがEclipse Rich Ajax Platformを使用して構築されており、Webブラウザ上でAjaxを駆使したEclipseそっくりのユーザインタフェースでプラグインの選択や検索ができるようになっている。Eclipse Rich Ajax Platformの利用事例としても興味深いサービスといえるだろう。

Pulse

Pulseは、商用のEclipseディストリビューションとして有名なMyEclipseを開発供しているGenuitecが提供するサービスだ。

Pulse はYoxos On Demandとは異なり、Webブラウザ上で利用するサービスではなく、PC上でEclipseのランチャーとして動作する。このランチャーはPulse のWebサイトからダウンロードすることができ、実行すると以下のようなウィザードが表示される。

図2 Pulse

プロファイルとしてEuropaのパッケージが選択可能だが、無償のユーザ登録を行いPulseのアカウントを作成することでPulseで提供されているプラグインの中から好きなものを選択して自由にプロファイルに追加できるようになる。選択したプラグインやパッケージは自動的にダウンロードされ、Eclipseが起動するという仕組みだ。また、Pulseで起動したEclipseにはPulse Explorerというパースペクティブが付属している。このパースペクティブでもプラグインの追加ダウンロードが可能となっている。

図3 Pulse Explorerパースペクティブ

Pulse のプロファイルはサーバ上に保存されているため、他のPCからでもPulseを実行すれば同じプロファイルでEclipseを起動することが可能だ。また、プロファイルを他のユーザと共有することもできるなど、オンラインサービスの利点を活かした機能が提供されている。ただし、Yoxos On Demandと比べるとインストール可能なプラグインが少ないのは残念なところだ。

まとめ

今回紹介した Yoxos On DemandとPulseはいずれもベータサービスだが、Eclipseの配布形態としては新しい試みであり、どちらも興味深いサービスだ。オールインワンタイプのインストーラ形式での配布だとどうしてもダウンロードサイズが肥大してしまいがちだが、今回紹介したサービスでは自分が必要なプラグインのみダウンロードできるという点が共通している。インストール可能なプラグインが増えればより利用価値が高まることだろう。

また、プラグインで自由にカスタマイズできるという点はEclipseの醍醐味の1つだが、オールインワンのインストーラでは予め決められたプラグインしかインストールすることができない。Yoxos On DemandやPulseといったサービスを利用することで、プラグインによるカスタマイズを手軽に楽しむこともできるのではないだろうか。