重量級Java IDEの対抗馬?

Java開発ではEclipseやNetBeansといったIDEを利用することが一般的となって久しい。現在ではもはやIDEなしでの開発は考えられないというユーザも多いのではないだろうか。しかしEclipseやNetBeansといったIDEは高機能な反面、PCに要求されるスペックもそれなりに高い。今回紹介する"JCreator"はオランダのXinox Softwareが提供しているWindows用の軽量Java IDEだ。

EclipseやNetBeansなどのJava IDEの多くはJavaで記述されている。最近はJava VMの高速化やSwingの改善などもあり、Javaで記述されたIDEでもストレスのない速度で動作するようになってきている。しかし起動に要する時間やメモリ使用量、操作時のレスポンスなどはやはりネイティブアプリケーションには適わないというのが実情だ。JCreatorは機能面ではEclipseやNetBeansに劣るものの、Windowsのネイティブアプリケーションであるため起動が非常に高速で、動作も快適だ。JCreatorの主な機能を以下に示す。

  • プロジェクト/ライブラリの管理
  • コード補完やナビゲーション機能を備えたJava/JSPエディタ
  • Javaプログラムの実行/デバッグ
  • CVSとの連携機能
  • Antや任意の外部ツールの実行

なお、JCreatorには無償で利用可能なLite版と有償のPro版が存在するが、Lite版はコード補完機能が利用できないなど機能制限が顕著であるため、本稿ではPro版を用いて解説を行うこととした。

JCreatorのインストール

JCreatorはここからダウンロードすることができる。Windowsのインストーラ形式となっているため、ダウンロードした実行ファイルをダブルクリックするだけでインストールを行うことができる。インストール後、初回起動時はファイルの関連付けや、使用するJDKを選択する画面が表示されるので、自分の環境にあわせて設定しておこう。インストール後、JCreatorを起動すると以下のようなスタートページが表示される。

図1 スタートページ

JCreatorの機能

JCreatorの画面構成

JCreatorの画面構成は図2のようになっている。一般的なIDEと同じくエディタ領域の周囲にさまざまなビューが配置されている。左上のFile Viewでプロジェクトやファイルなどのリソースを管理することができるようになっているほか、パッケージ構造やファイルのアウトラインを表示するためのビュー、Javaプログラムの実行結果を表示するビュー、コンパイルエラーを一覧表示するためのビューなどが用意されている。

図2 JCreatorのメイン画面

Javaエディタの機能

Javaエディタでは以下のように[CTRL]+[SPACE]でコードの入力補完、[CTRL]+[E]でコードテンプレートの挿入が可能だ。また、クラスやメソッドの定義部やスーパークラスのメソッドにジャンプするコードナビゲーション機能も備えている。

図3 Javaエディタでのコード補完

そのほかにも対応するカッコを強調表示したり、メソッドやクラスのフォールディング(折りたたみ)など、コードの編集時に便利な機能を備えている。ただし、リファクタリングやインポート文の自動挿入といった高度な機能は提供されていないのは残念なところだ。

なお、JCreatorはWebアプリケーションの開発にも対応しており、XMLやHTML、JSPを編集するためのエディタも用意されている。JSPエディタではJavaエディタと同様、Javaコードの入力補完を行うことが可能となっている。

ビルドと実行/デバッグ

JCreatorはEclipseのようなインクリメンタルビルド機能(ソースコードを保存すると自動的にビルドが行われる機能)は提供されていない。ビルドはメニューやツールバーから明示的に行う必要がある。コンパイルエラーが存在する場合はTask Viewにエラー内容が一覧表示され、ダブルクリックすることでソースコードの該当箇所にジャンプすることができる。最近のIDEではコードの編集中にリアルタイムにエラーをレポートしてくれる機能を備えているものが多いが、JCreatorは比較的シンプルな作りになっている。

図4 コンパイルエラーの表示

また、Javaプログラムの実行はもちろんのこと、デバッグを行うことも可能だ。一般的なIDEと同様、ソースコード上の任意の行にブレークポイントを設置し、グラフィカルにデバッグを行うことができるようになっている。

図5 デバッグ

まとめ

JCreatorはEclipseやNetBeansなどと比べると、IDEというよりは「IDE風の機能を備えたテキストエディタ」に近い雰囲気だ。たしかに機能面では物足りない部分があるのは事実だが、プロジェクトの管理やビルド、デバッグ、コード補完やCVSとの連携など、IDEとして必要な機能はひと通り揃っている。何より軽快な動作はリソースの限られているマシンで利用する際には嬉しいところだ。有償のPro版でもインストール後30日間は無償で評価可能となっている。ぜひ試してみてほしい。