RIA開発を容易にするJavaFX Script

AdobeのApolloやMicrosoftのSilverlightなど、RIA技術が注目を集めている。JavaOne 2007で発表されたJavaFXはこれらと同様のJavaにおけるRIAプラットフォームで、モバイル端末や家電に組み込まれたJavaVM上でも動作するとされている。JavaFXアプリケーションの開発にはJavaFX Scriptという独自のスクリプト言語を使用するが、これは汎用のスクリプト言語ではなくGUIアプリケーションの開発に特化したもので、リッチなGUIアプリケーションを容易に開発することができる。

JavaFXはjava.netのOpenJFXプロジェクトでリファレンス実装が進められており、すでにEclipse、NetBeans向けのプラグインも用意されている。今回はこれらのプラグインを利用してEclipse、 NetBeans上でJavaFXの開発を行う方法を紹介する。

Eclipseの場合

Eclipseの場合、更新サイトからJavaFX Script用のプラグインをインストールすることができる。なお、Eclipseプラグインの動作にはJDK 5.0およびEclipse 3.2.2が必要となっている。

図1 Eclipseプラグインのインストール

プラグインをインストールすると、JavaFXファイルを作成するためのウィザードが利用できるようになる。また、スクリプトは以下のようなエディタで編集することができる。構文の強調表示、入力補完やエラーチェックといった機能が利用可能だ。

図2 JavaFXエディタ

作成したスクリプトを実行するには「実行」メニューから「構成および実行」を選択し、「JavaFX Application」の起動構成を作成する。「プロジェクト」には実行するスクリプトが存在するJavaプロジェクトを指定する。

図3 JavaFX Applicationの起動構成

また、「引数」のタブで「プログラム引数」に実行するスクリプトのファイル名から拡張子を除いたものを入力しておく必要がある。

図4 「プログラム引数」に実行するスクリプトを指定

以上の設定を行ったのち「実行」をクリックするとスクリプトを実行することができる。

NetBeansの場合

NetBeansモジュールはnetBeans 5.5用のものと6.0用のものが用意されている。今回はNetBeans 5.5で試してみた。NetBeansの場合はアップデートセンターウィザードで「NetBeans アップデートセンター Beta」を選択することでインストールが可能だ。

図5 「NetBeans アップデートセンター Beta」を選択

図6 JavaFX用のモジュールを選択

モジュールをインストールするとEclipse同様ウィザードでJavaFXファイルを作成できるようになる。NetBeansのJavaFX Script用エディタはいまのところ入力補完やエラーチェックなどの機能は実装されていないようだ。

スクリプトを実行するにはまずプロジェクトのプロパティーの「実行」ページで主クラスにnet.java.javafx.FXShell(自動的に設定されている)、引数に実行するスクリプトを指定する。

図7 プロジェクトのプロパティーで実行するスクリプトを指定

上記の設定を行ったのち、プロジェクトを実行すればスクリプトを実行することができる。

まとめ

今回紹介したEclipse/NetBeans用のJavaFXプラグインは、いまのところJavaFX Scriptの"お試し環境"といった色合いが強い。ただしまだ開発途上のものであり、今後より実用的な開発環境に進化していくはずだ。また、JavaFX ScriptはGUIアプリケーションの構築に特化しており生産性の高い言語といえるが、GUIのデザインについてはやはり優れたデザインツールが必要なのではないだろうか。そういったツールの充実も期待したいところだ。

なお、今回はプラグインの利用方法のみ解説したが、JavaFX Scriptの仕様についてはOpenJFXのWebサイトで公開されているドキュメントを参照してほしい。