【コラム】

趣味的第一種接近遭遇

56 トトロのバス停! あのへんな生き物は大分にいるのです、たぶんの巻(前編)

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「気になるところに、とにかく行ってみよう」という当コラム。そんなわけで各地にお邪魔させてもらっているが、それでも時折ジレンマに襲われる。単純に筆者が東京在住なので、ネタが関東圏に限られがちなのだ。日本にはもっと面白い場所があるはずだ! 「じゃあなるべく遠くに行ってみますか」ということで、年末年始を利用して九州まで行ってみた。ネタになる場所があればよし、なければ黙って個人の思い出にすればよし、という恐るべきノープランである。出会いはたまたまその道中に起こった。

大分県と宮崎県の県境にある「道の駅 宇目(うめ)」。土産物をあれこれ眺めていると「トトロのバス停の地図」なるメルヘンな文字が目に飛び込んできた。周囲に飾られた写真を見ると、確かに木造の小さなバス停の隣に、スタジオジブリの映画『となりのトトロ』のキャラクターたちが立っている。それにしてもなぜこんなところにトトロのバス停があるのか……?

今回紹介する大分県佐伯市宇目大字南田原字轟はこのあたり。「おおいたけんさえきしうめおおあざみなみたばるあざととろ」と読みます

拡大してみました。大分県豊後大野市(地図上)と宮崎県延岡市(地図下)をつなぐ国道326号線で行くのが便利です

さらに拡大。目安となる「道の駅宇目」は、この地図の下部分。そこから北上して、県道6号線を1.5キロほど西へ進んだところが今回の目的地。ご覧のとおり、周囲は見事に山です

こちらが「道の駅 宇目」。休日ということで結構な人手。右奥に見えるのは、日本で7番目に大きい斜張橋「唄げんか大橋」。すごい名前……

こちらが道の駅のレストハウス「うめりあ」。右のほうになにやら見覚えのある影が……

どう見てもトトロです。しかしなぜこんなところにトトロが?

おみやげコーナーにもいろいろとトトログッズが。そこで見つけたのが……

トトロのバス停へのイラスト入り地図。今回はこれを手がかりに向かってみます

大分名物・だんご汁のとなりのトトロ。だんご汁、地元の野菜たっぷりでおいしゅうございました

大分名物・吉四六漬(画・富永一朗)のとなりのトトロ。まさか富永一朗先生とスタジオジブリが大分でコラボするとは……

小トトロたちも。当初こうしたグッズの取り扱いはなかったものの、立ち寄る人の「トトロありますか?」という要望に応えて置くようになったとのこと

地元の焼き物の下には、ネコバスたちがちゃんと停留しています

こちらは地元の方たちが作ったトトロのプレート。イラストと押し花を組み合わせた、素朴で味わい深い一品

レストハウスに飾られた大きなイラストボードは、佐伯市内の方が市に寄贈したもの。「それなら多くの人が見られる場所に」と当時の市長の計らいで、この道の駅に置かれたのだとか

レストハウスからは、北川ダム湖と唄げんか大橋が望めます。絶景です

道の駅宇目のスタッフと宇目振興局に問い合わせたところ、トトロのバス停がある場所はもともと「轟(ととろ)」という地名なのだとか。いまからおよそ50年前、1959年に轟地区の人たちが子どもたちの通学のため、手作りで小さなバス停を作り、やがて大分バス公認のバス停「ととろ」として定着。時は流れ、1988年に映画『となりのトトロ』が公開されたが、当初はバス停に誰かが作品のシールを貼った程度だったという。

不思議なことが起こったのは、1997年9月21日。一夜のうちに大きなベニヤ製のネコバスが置かれ(未だに誰が置いたのかは謎らしい)、さらに同作品のキャラクターを描いたプレートもいつの間にか増設。地元の人たちの改修などを経て、いまでは「トトロのバス停」「トトロの森」として、近隣各県から観光客が訪れるほどだという。2000年に大分合同新聞に取り上げられたときは、周辺の道に車の列ができるほどの盛況ぶりだったとか。ならばとさっそく現地に向かってみることにした。

それでは行ってみましょう。道の駅宇目や、宮崎県側から北上する場合はこの「↑豊後大野 ←日之影 49km」の標識が目印です。ここを左折

交差点の名前もズバリ「ととろ入口」

こちらは逆に、豊後大野市方面から南下した場合の見た目。「北川↑ 日之影→49km」の標識があるので、ここを右折

「ととろ入口」の交差点を曲がっただけで、すでになんかそれっぽい! このまま道なりに進みましょう。盛り上がってまいりました

田んぼ脇の道を進むと、ほどなく「←日之影 ととろ→」という標識のあるT字路があるので、ここを右折

T字路をよく見るとカーブミラーの下になんかありますね……

ギャー! 出たー! 経年劣化を経て、ジブリっぽかったトトロの看板が水木しげるっぽくなりました……。ともかくここを右へ

お~『トトロ』っぽい! 思わずここまでテンションが上がってしまうのは、ジブリマジックのなせる業か、それとも轟地区の素朴な魅力ゆえか

道の駅宇目から車で10分ほど走り、トトロのバス停に到着。いくつかイラストボードが飾られているほかは、紛れもない静かな田舎のバス停だ。戦後にバス路線が開通した当時は『トトロ』の劇中に登場したような、ボンネットバスが走っていたのだとか。最近では2004年秋に台風でバス停ごと吹き飛ばされてしまったが、地元の人たちとボランティアの協力で、できるだけ古い木材を用いて修復されたのだという。今回夕方に訪れたせいもあるがこのバス停、かわいいだけじゃなくて、妖怪やお化けが出そうなちょっと怖いところもあるのがまたいい。

ということでトトロのバス停に到着! バス停自体は約50年前から少しずつ直して使われているだけあって、かなり雰囲気があります

正面からはこんな感じ。このままでもなかなかですが、雨が降れば劇中のシーンそのままという感じ

サツキとメイちゃんもさすがにややヘタってきております。まあ、誰でも年はとりますからね

こちらが大分バスの時刻表。数字が小さいですが、平日のダイヤは1日6本、土曜日は3本、日曜&祝日に至っては運行ナシ! こんなところまで妙に『トトロ』っぽい……

なおバス停は、このように小川に渡された丸太の上に建っております。『トトロ』というか『未来少年コナン』っぽい

床板の上にこわごわ乗ってみました。ミシミシ音がします。節穴が空いてますが、残念ながらススワタリ(まっくろくろすけ)は確認できず

バス停の壁には、交通安全の短歌のほか「猫バス トトロの森は150m→にあります」の文字。これは行くしかないでしょう

車で立ち寄る場合は、バス停の少し先に共同の駐車スペースがあるので、こちらを活用しましょう

さて、次回はすぐ先にあるもうひとつのスポット、トトロの森に向かいます。実物大(?)のネコバスのほかに、トトロも群れで現れますので、お見逃しなく。

<ご注意>
今回紹介したバス停は現在も実際に使用されているものです。付近の迷惑とならないよう、マナーを守ってご訪問ください。付近の交通量は少ないですが、観光の際は車にも十分お気をつけください。

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インデックス

連載目次
第67回 イスラエル・オタクレポート(7) - イスラエルには日本語クラスもある
第66回 イスラエル・オタクレポート(6) - イスラエルにはアニメ翻訳グループもいる
第65回 イスラエル・オタクレポート(5) - イスラエルにはオタクイベントもある
第64回 イスラエル・オタクレポート(4) - イスラエルには美少女コスプレイヤーもいる
第63回 イスラエル・オタクレポート(3) - イスラエルには戦車博物館もある
第62回 イスラエル・オタクレポート(2) - イスラエルにはニコ動歌手もいる
第61回 イスラエル・オタクレポート(1) - イスラエルにはニコ厨がいる
第60回 幻聴妄想かるた! 床をゆらす謎の集団、若松組の秘密を追えの巻
第59回 新・少女まんが館! 隣町に引っ越したあの図書館は青かったの巻(後編)
第58回 新・少女まんが館! 隣町に引っ越したあの図書館は青かったの巻(前編)
第57回 トトロのバス停! あのへんな生き物は大分にいるのです、たぶんの巻(後編)
第56回 トトロのバス停! あのへんな生き物は大分にいるのです、たぶんの巻(前編)
第55回 年末お蔵出し! 豪華ゲスト陣が顔を揃えたデジハリ学園祭をレポート
第54回 アイドル撮影会! ファン同士のチームワークが肝心なのだの巻(後編)
第53回 アイドル撮影会! ファン同士のチームワークが肝心なのだの巻(前編)
第52回 ラジオ体操! 早朝の東京ビッグサイトでなにが起こったかの巻(後編)
第51回 ラジオ体操! 早朝の東京ビッグサイトでなにが起こったかの巻(前編)
第50回 昆虫食! タガメもゴキブリもみんなで食べれば怖くないの巻(後編)
第49回 昆虫食! タガメもゴキブリもみんなで食べれば怖くないの巻(前編)
第48回 東大ゲーム研! 公開リアルタイムアタックを完遂せよの巻(後編)
第47回 東大ゲーム研! 公開リアルタイムアタックを完遂せよの巻(前編)
第46回 抱き枕工場! 彼女たちは栃木の爽やかな一室で生まれていたの巻(後編)
第45回 抱き枕工場! 彼女たちは栃木の爽やかな一室で生まれていたの巻(前編)
第44回 痛車ミィティング! 富士スピードウェイに300台集まりましたの巻(後編)
第43回 痛車ミィティング! 富士スピードウェイに300台集まりましたの巻(前編)
第42回 続・レトロゲーム! あの神社も近い菖蒲町にゲーム倉庫が移転完了の巻(後編)
第41回 続・レトロゲーム! あの神社も近い菖蒲町にゲーム倉庫が移転完了の巻(前編)
第40回 女ま館! 少女まんがのオアシスとハクビシンを奥多摩に訪ねるの巻(後編)
第39回 女ま館! 少女まんがのオアシスとハクビシンを奥多摩に訪ねるの巻(前編)
第38回 模型塾! 土曜の午後のフィギュア教室は女性が多かったの巻(後編)
第37回 模型塾! 土曜の午後のフィギュア教室は女性が多かったの巻(前編)
第36回 秋葉原の猫喫茶! 我々オタクは猫耳も好きだが猫も大好きだの巻
第35回 ボツキャラ展! コレジャナイロボ作者が送る、ゆるすぎキャラの宴の巻
第34回 剥製! 博物館好きには見逃せない秋葉原裏のインドア動物園の巻
第33回 もう一度レトロゲーム! 『ギャラクシアン3』その他諸々解体せよの巻(後編)
第32回 もう一度レトロゲーム! 『ギャラクシアン3』その他諸々解体せよの巻(前編)
第31回 忘年会という名の総集編! 2007年アクセスランキングベスト5発表の巻
第30回 レトロゲーム! 幻の『ギャラクシアン3』もある謎の地下倉庫とは!?(後編)
第29回 レトロゲーム! 幻の『ギャラクシアン3』もある謎の地下倉庫とは!?(前編)
第28回 おそうじボランティア! 秋葉原でゴミ拾いをする戦士を探せの巻
第27回 勝鬨橋! 最近あの番組でもやってた橋の内部を探検してきましたの巻
第26回 メイドさんといっしょ! 萌えが苦手な人間に萌えを与えてみるの巻(後編)
第25回 メイドさんといっしょ! 萌えが苦手な人間に萌えを与えてみるの巻(前編)
第24回 団地! ALWAYSで三丁目の夕日な博物館は松戸にあったの巻
第23回 ふろくのミリョク☆展! ガスマスクから松島トモ子まで? の巻(男子編)
第22回 ふろくのミリョク☆展! ガスマスクから松島トモ子まで? の巻(女子編)
第21回 感覚ミュージアム! 宮城の新名所は癒されたり爆発したりするの巻(後編)
第20回 感覚ミュージアム! 宮城の新名所は癒されたり爆発したりするの巻(中編)
第19回 感覚ミュージアム! 宮城の新名所は癒されたり爆発したりするの巻(前編)
第18回 オタク外国人! 山谷に集う外国人旅行者と話してきましたの巻(後編)
第17回 オタク外国人! 山谷に集う外国人旅行者と話してきましたの巻(前編)
第16回 武器屋! 鎌倉大仏前で逆刃刀を抜くおばちゃんに出会うの巻
第15回 うさぎカフェ! 鎌倉のうさぎに向ひて言ふことなしの巻
第14回 地下探検! 山手通りがずーっと工事してたのはこれだったのかの巻(後編)
第13回 地下探検! 山手通りがずーっと工事してたのはこれだったのかの巻(前編)
第12回 電王! 東急線スタンプラリーに俺、鉄ちゃんと参上の巻(後編)
第11回 電王! 東急線スタンプラリーに俺、鉄ちゃんと参上の巻(前編)
第10回 宇宙食! 野口さんが食べた宇宙ラーメンを食べる私も野口さんの巻(後編)
第9回 宇宙食! 野口さんが食べた宇宙ラーメンを食べる私も野口さんの巻(前編)
第8回 ふれあい下水道! 地下25mの別世界に伝説のワニはいるかの巻
第7回 絵日記! カナダ人先生と奥様たちに囲まれてナイスな壁画を描くの巻
第6回 ムツゴロウ! あの動物王国の本当の魅力を教えますの巻(後編)
第5回 ムツゴロウ! あの動物王国の本当の魅力を教えますの巻(中編)
第4回 ムツゴロウ! あの動物王国の本当の魅力を教えますの巻(前編)
第3回 猫喫茶! 雨の午後に萌え萌えなヤツらは寝ているゼの巻
第2回 豆本! 卸商センターに集うファンシーな本の世界の巻
第1回 DS! 「正しい日本語」で、今日から僕も名誉教授の巻

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