【コラム】

趣味的第一種接近遭遇

55 年末お蔵出し! 豪華ゲスト陣が顔を揃えたデジハリ学園祭をレポート

55/67

ホビーに関するネタであればとにかく足を運んでみる当コラム。2008年も抱き枕工場から痛車イベントまで、様々な場所にお邪魔させていただいたが、じつはまだ紹介していないネタがあった! それは先の学園祭シーズンに行われた、デジタルハリウッド大学主催の「デジハリ祭2008」。様々なクリエイターを特別講師として招いている同校だけに、学園祭のゲストもかなり豪華。いち学園祭としてはもったいないほどの内容だったので、この場を借りて紹介しておきたい。

オレンジがシンボルカラーのデジタルハリウッド大学。大学祭は10月11日、12日の両日に行われた

廊下はこんな感じ。オフィスビルのワンフロアが校舎ということもあって、学園祭の様子もいまどきな雰囲気

まず行われたのは、MTVで放送中のCGショートアニメ『ウサビッチ』の舞台裏を制作者自ら語る特別講義「ウサビッチ特別イベント デジハリ祭の時間」。壇上には同作品の監督・原作・脚本・絵コンテ・アートディレクションの5役を一手に担う富岡聡氏が登壇。「自由にやっていいよ」という当初のオーダーから「ゆるい」「シュールすぎ」という数々のダメ出しを経て、完成形に近づいていく過程が制作時のデータと合わせて解説された。「魚肉ソーセージみたいな体型のキャラはリアルな人体よりよっぽど大変です」と本作ならではの苦労を語る富岡氏。ショートアニメに触れる機会の多いデジハリの学生たちも、現在進行形で活躍する富岡氏の具体的な言葉の数々に聞き入っていた。

富岡聡監督が披露する「メイキング・オブ・ウサビッチ」。主人公のふたりが囚人という設定は、初期のデザイン案でキャラクターがボーダーシャツを着ていたところから転じて決まったとか

衝撃の資料を公開! これが『ウサビッチ』の主人公・プーチンの3Dモデルに貼られているテクスチャー。つまりプーチンの皮である!

続いて行われたのは「『僕の彼女が画面から出てきません!』コンテスト」。オリジナルキャラクターを作成し、そのキャラへのこだわりを一番熱く語った人が優勝、という学園祭ならではの豪快すぎる企画だ。秋葉原に校舎を構え、現代のオタク市場の真っ只中で日夜学んでいるデジハリ生にとっては、まさに本領発揮の場と言えるだろう。コンテストは照れとツッコミと爆笑が入り交じる賑やかなものとなったが、発想の自由さが試されたり、プレゼンの完成度が優劣を分けたりと、ネタ企画の枠を超えて、意外なほど充実した「授業」となっていた印象。これは毎年恒例の企画にしてもいいのでは?

「僕の彼女が画面から出てきません! コンテスト」。生徒のみなさんが考えた「俺の嫁」をプレゼンする、学園祭ならではの企画

優秀賞はこちら! パトカーが美少女ロボに変形する、一挙両得のカツカレー的プレゼン! これは近々『トランスフォーマー』に出るやもしれぬ!

特別協賛のHOBINO賞はこちら! 女性キャラの「足」のみの研究発表を行ったという、一番尖った内容

最優秀賞は電子の妖精「恋するデバッガー マジカルひかるん」! キャラクターだけでなく、プレゼン能力の高さも評価された

受賞者にはすぐにビデオカメラを向けて学生スタッフがインタビュー。こういうところはデジハリらしいかも

ここではそのほかの出展風景を紹介。大きな大学や専門学校に比べると規模はもちろん小さいが、写真やイラスト、自主映画など、普段から学園祭ノリの活動に親しむデジハリ生だけあって、粒よりの出展が行われていた。

撮影スペースを設置し、部員の作品展も設けていた写真部のみなさん。一部コスプレ部と化しているようですが……

こちらでは同人ゲームを販売中。ファンタジーRPGはやっぱり根強い人気

複数の1年生監督による自主映画企画「ごった煮プレジデント」の塩川さん。校舎と地元の秋葉原にサスペンス映画を制作

学園祭らしくこんなかわいい小物の出店も。こちらはイラストと手芸の腕を活かした「Milk Crown」

機材やCDはほぼ自前という放送部のみなさん。デジハリなのでアニメソング中心かと思いきや、洋楽中心のかなり凝った編成

こちらは忍者部……ではなく「NIJNA TOOLS」を運営する株式会社サムライファクトリーのみなさん。こんな見た目でも学園祭だと違和感ゼロ

夕方から行われたのは、サンライズのチーフプロデューサー、古里尚丈氏を招いて行われた「アニメ制作特別講座」。いまのアニメ業界を語る上で欠かせないスタジオ、サンライズのプロデューサーの講義とあって、数多くの聴講者が詰め掛けた。古里氏は「本当はバカ話をしたいんだけど……」と苦笑しながらも、作品にクリエイターとして直接関わる「制作」の話から、作品をいかに商業的に成功させるかという「製作」の話まで幅広く熱弁。アニメの制作工程はもちろん、作画系、シナリオ系、音響系といった役職に合わせたキャリアプランまで、かなり実践的なトーク内容に。最後は「僕にはできない、なにかすごいものをスタッフたちが形作っていく。そういう積み重ねがプロデューサーの楽しみなんです」という言葉で締めくくった。

『舞-HiME』シリーズや勇者シリーズといった人気作に関わってきた古里尚丈プロデューサー。「アニメーターには僕らに見えないものが見える。感動しますね」と現場のやりがいを語った

最後に行われたのは、飯田和敏氏、麻野一哉氏、米光一成氏という名物ゲームクリエイター三氏が送る「ふいんき語り! 夜のゲーム大学 ~アキバの中心でデジハリ祭スペシャル!~」。『日本文学ふいんき語り』といった数々の著作で注目を集める三氏のトークショーだけあって、とっくに日は暮れているにもかかわらず、会場はこの日一番の人手に! 裏話満載のゲーム史概説や、15分まで濃縮したゲームクリエイター講座、制作者自らツッコミを入れるニコニコ動画鑑賞といった濃いネタが、芸人顔負けの絶妙な掛け合いとともに展開され、客席の爆笑を呼んでいた。

左から飯田和敏氏、米光一成氏、麻野一哉氏。三氏ともゲーム制作で活躍する傍ら、トリオによるトークライブも積極的に開催。この日も多くの固定ファンが学外から駆けつけた

三氏が手がけたゲームをニコニコ動画で検索し、その動画に制作者自らツッコミを入れるという前代未聞の企画も! 「あー、ここ作るの苦労したわ」というボヤキが頻出

デジハリ生が制作中のゲームも紹介。こちらはどこでものぞけるスコープを使い、いたずらやスナイプを行うというユニークな作品

この翌日も数々のイベントが行われ、「デジハリ祭2008」は無事終了。最後に実行委員長を務めた、稲益彩香さんに学園祭を終えた感想をうかがってみた。

「勢いだけで妥協のない無茶な企画や連日連夜の死亡フラグを切り抜け、本当に多くの方々からのご協力をいただき、無事開催することができました。この学園祭を通して一人でも多くの方々にデジハリの魅力を伝えられたら幸いです。本当にありがとうございました!」

秋葉原という地の利を活かして、様々な方面で話題を集めるデジタルハリウッド大学。少々気が早い話ではあるが、次回学園祭が行われる際は秋葉原観光のついでにぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。

55/67

インデックス

連載目次
第67回 イスラエル・オタクレポート(7) - イスラエルには日本語クラスもある
第66回 イスラエル・オタクレポート(6) - イスラエルにはアニメ翻訳グループもいる
第65回 イスラエル・オタクレポート(5) - イスラエルにはオタクイベントもある
第64回 イスラエル・オタクレポート(4) - イスラエルには美少女コスプレイヤーもいる
第63回 イスラエル・オタクレポート(3) - イスラエルには戦車博物館もある
第62回 イスラエル・オタクレポート(2) - イスラエルにはニコ動歌手もいる
第61回 イスラエル・オタクレポート(1) - イスラエルにはニコ厨がいる
第60回 幻聴妄想かるた! 床をゆらす謎の集団、若松組の秘密を追えの巻
第59回 新・少女まんが館! 隣町に引っ越したあの図書館は青かったの巻(後編)
第58回 新・少女まんが館! 隣町に引っ越したあの図書館は青かったの巻(前編)
第57回 トトロのバス停! あのへんな生き物は大分にいるのです、たぶんの巻(後編)
第56回 トトロのバス停! あのへんな生き物は大分にいるのです、たぶんの巻(前編)
第55回 年末お蔵出し! 豪華ゲスト陣が顔を揃えたデジハリ学園祭をレポート
第54回 アイドル撮影会! ファン同士のチームワークが肝心なのだの巻(後編)
第53回 アイドル撮影会! ファン同士のチームワークが肝心なのだの巻(前編)
第52回 ラジオ体操! 早朝の東京ビッグサイトでなにが起こったかの巻(後編)
第51回 ラジオ体操! 早朝の東京ビッグサイトでなにが起こったかの巻(前編)
第50回 昆虫食! タガメもゴキブリもみんなで食べれば怖くないの巻(後編)
第49回 昆虫食! タガメもゴキブリもみんなで食べれば怖くないの巻(前編)
第48回 東大ゲーム研! 公開リアルタイムアタックを完遂せよの巻(後編)
第47回 東大ゲーム研! 公開リアルタイムアタックを完遂せよの巻(前編)
第46回 抱き枕工場! 彼女たちは栃木の爽やかな一室で生まれていたの巻(後編)
第45回 抱き枕工場! 彼女たちは栃木の爽やかな一室で生まれていたの巻(前編)
第44回 痛車ミィティング! 富士スピードウェイに300台集まりましたの巻(後編)
第43回 痛車ミィティング! 富士スピードウェイに300台集まりましたの巻(前編)
第42回 続・レトロゲーム! あの神社も近い菖蒲町にゲーム倉庫が移転完了の巻(後編)
第41回 続・レトロゲーム! あの神社も近い菖蒲町にゲーム倉庫が移転完了の巻(前編)
第40回 女ま館! 少女まんがのオアシスとハクビシンを奥多摩に訪ねるの巻(後編)
第39回 女ま館! 少女まんがのオアシスとハクビシンを奥多摩に訪ねるの巻(前編)
第38回 模型塾! 土曜の午後のフィギュア教室は女性が多かったの巻(後編)
第37回 模型塾! 土曜の午後のフィギュア教室は女性が多かったの巻(前編)
第36回 秋葉原の猫喫茶! 我々オタクは猫耳も好きだが猫も大好きだの巻
第35回 ボツキャラ展! コレジャナイロボ作者が送る、ゆるすぎキャラの宴の巻
第34回 剥製! 博物館好きには見逃せない秋葉原裏のインドア動物園の巻
第33回 もう一度レトロゲーム! 『ギャラクシアン3』その他諸々解体せよの巻(後編)
第32回 もう一度レトロゲーム! 『ギャラクシアン3』その他諸々解体せよの巻(前編)
第31回 忘年会という名の総集編! 2007年アクセスランキングベスト5発表の巻
第30回 レトロゲーム! 幻の『ギャラクシアン3』もある謎の地下倉庫とは!?(後編)
第29回 レトロゲーム! 幻の『ギャラクシアン3』もある謎の地下倉庫とは!?(前編)
第28回 おそうじボランティア! 秋葉原でゴミ拾いをする戦士を探せの巻
第27回 勝鬨橋! 最近あの番組でもやってた橋の内部を探検してきましたの巻
第26回 メイドさんといっしょ! 萌えが苦手な人間に萌えを与えてみるの巻(後編)
第25回 メイドさんといっしょ! 萌えが苦手な人間に萌えを与えてみるの巻(前編)
第24回 団地! ALWAYSで三丁目の夕日な博物館は松戸にあったの巻
第23回 ふろくのミリョク☆展! ガスマスクから松島トモ子まで? の巻(男子編)
第22回 ふろくのミリョク☆展! ガスマスクから松島トモ子まで? の巻(女子編)
第21回 感覚ミュージアム! 宮城の新名所は癒されたり爆発したりするの巻(後編)
第20回 感覚ミュージアム! 宮城の新名所は癒されたり爆発したりするの巻(中編)
第19回 感覚ミュージアム! 宮城の新名所は癒されたり爆発したりするの巻(前編)
第18回 オタク外国人! 山谷に集う外国人旅行者と話してきましたの巻(後編)
第17回 オタク外国人! 山谷に集う外国人旅行者と話してきましたの巻(前編)
第16回 武器屋! 鎌倉大仏前で逆刃刀を抜くおばちゃんに出会うの巻
第15回 うさぎカフェ! 鎌倉のうさぎに向ひて言ふことなしの巻
第14回 地下探検! 山手通りがずーっと工事してたのはこれだったのかの巻(後編)
第13回 地下探検! 山手通りがずーっと工事してたのはこれだったのかの巻(前編)
第12回 電王! 東急線スタンプラリーに俺、鉄ちゃんと参上の巻(後編)
第11回 電王! 東急線スタンプラリーに俺、鉄ちゃんと参上の巻(前編)
第10回 宇宙食! 野口さんが食べた宇宙ラーメンを食べる私も野口さんの巻(後編)
第9回 宇宙食! 野口さんが食べた宇宙ラーメンを食べる私も野口さんの巻(前編)
第8回 ふれあい下水道! 地下25mの別世界に伝説のワニはいるかの巻
第7回 絵日記! カナダ人先生と奥様たちに囲まれてナイスな壁画を描くの巻
第6回 ムツゴロウ! あの動物王国の本当の魅力を教えますの巻(後編)
第5回 ムツゴロウ! あの動物王国の本当の魅力を教えますの巻(中編)
第4回 ムツゴロウ! あの動物王国の本当の魅力を教えますの巻(前編)
第3回 猫喫茶! 雨の午後に萌え萌えなヤツらは寝ているゼの巻
第2回 豆本! 卸商センターに集うファンシーな本の世界の巻
第1回 DS! 「正しい日本語」で、今日から僕も名誉教授の巻

もっと見る

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事