「コラムをやりましょう」

マイコミジャーナル編集部の大泉洋こと、担当C氏が電話の向こうで言う。もちろんそれは望むところだ。しかし、どんなコラムならマイコミジャーナル読者に楽しんでもらえるだろうか?
「了解です。が、ネタはどうします? 自慢じゃないですが、僕ぁ自作PCも組めませんし、"理系のための恋愛論"も語れません」
「ご心配なく。ちょうどいいのがあるから」

後日、編集部より荷物が送られてきた。今年1月に毎日コミュニケーションズより発売されたニンテンドーDS用ソフト『日本語文章能力検定協会協力 正しい日本語DS』(以下『正しい日本語DS』)である。「まずはこれで1本書いてね」というC氏からのありがたい心遣いだった。

毎日コミュニケーションズより好評発売中の『日本語文章能力検定協会協力 正しい日本語DS』。こういうソフトはタイトルが長いほうがご利益がありそうだ。価格は3,990円

脳トレに欠かせないのが教授! というわけで、こちらが本ゲームの顔である大阪府立大学名誉教授の樺島忠夫氏。ちょっと某国の偉い人に似ていなくもない

「コラム書くなら間違った日本語使うんじゃねえぞ!」
という無言のプレッシャーもないわけではない。というわけで今回からスタートするホビーコラム、第1回目はニンテンドーDSで「正しい日本語」をマスターする。

さて『正しい日本語DS』のシステムはじつにシンプル。問題をアラカルト的に楽しめる「たしなむモード」と、5種類の問題で日本語力を試す「はかるモード」があり、残した成績は「設定」から閲覧できる。問題は正しい言葉を選んでいく基本の「語句選択」、ブロックに分かれた文章の順番を整える「並べ替え」、会話のやり取りを覚えて質問に答えていく「伝言」……といったものがあり、最初に選べるのは6ジャンルだが、問題をこなしていくと全15ジャンルまで問題は増えていく。

メニュー画面。懐かしい国語ドリルのような「たしなむモード」と小テスト的な「はかるモード」が選べる。脳年齢は出ません

だんだんと試していくうちに、2つのジャンルが国語教育と関係ない部分で面白いことに気がついた。

ひとつ目は「地図をなぞる」。提示される10のヒント(うち5つは嘘のヒント)をもとに、地図をタッチペンでなぞって道順を示すというものだが、なんと! ヒントをまったく聞かなくても解答できてしまう。「駅から目的地までの最短ルートを書き込んでください」という問題には、そのまま最短ルートを書けば正解になるのだ。これは画期的! 国語が苦手な人にも優しい! トレーニングになるかどうかはともかく……。

「敬語変換」のジャンルから。画面の問題は「『死ぬ』を尊敬語にしてください」というもので、簡単だと思って油断していると……

かなり本格的な問題も飛び出す。これは「『一端に触れる』の同義語は?」という「語句選択」の問題

「地図をなぞる」の一例。「地下鉄の駅からふるさと記念館までの最短ルートを書き込んでください」という問題だが……

ヒントを無視していきなり最短ルートを書き込んでも正解。いいのか!?(いや、よくない)

もうひとつ注目すべきなのは「絵を伝える」。提示されるイラストをもとに、状況を正しく説明した文章を選ぶ問題で、事実をしっかり伝えないとミスになってしまう。ところがたまに細かすぎて見えにくい絵が出るので、そうすると格段に難易度が上がるのだ。これは厳しい! 何よりDS Liteじゃない普通のDSの僕には厳しい!

ある意味では激ムズの「絵を伝える」。答え合わせをしたところ、奥のボートに乗った人は池に落ちた帽子を拾っているそうなのですが、細かい部分が見えません……

苦労の末に編み出した「出題数と正解数が一致=満点」の結果を見よ! ズルじゃないです! 最良の結果を残しただけです……

と、いろいろツッコミを入れつつも、楽しみながら日本語力を鍛えられるソフトであることは間違いない。さてそろそろセーブして終了……というときになって、ある重要なことにハタと気がついた。このソフトは自動で成績が記録されるわけではなく、任意でセーブできるシステムなのだ。

「これはもしや……全問正解のときだけセーブすれば満点?」

「日本語力を『はかるモード』」での結果が反映される日本語力グラフ。こちらはズルしてません。何度も繰り返しやっただけです(おいおい)

というわけで今日から僕も「名誉教授」!! なお、1問でも間違えるとこの下のランクの「日本語をたしなむ人」になってしまう。一般人への落差があまりにも激しすぎでは?

数日後、担当T氏から電話がかかってきた。
「どうですか、調子は?」
「いやあ、もちろん満点に決まってるじゃないですか。今後、僕のことは『名誉教授』と呼んでくださいよ」

こうして『正しい日本語DS』のおかげで晴れて名誉教授となった僕は、自信も新たに長く険しいホビー道の探求を誓うのだった。さて、次回からは世の中にあふれる様々な「ホビー的なもの」をノンジャンルで紹介していきます。肩の力を抜きながらお楽しみください。

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