【コラム】

ハイテクウォーカー

83 Becky!用spamフィルタプラグインの実力

    佐藤晃洋  [2003/08/20]

    Internetを使っていて決して無縁ではいられないものの1つに「spamメール」を挙げることに異論を唱える人はまずいないだろう。特に自分のホームページを持ったり、フリーソフトなどを公開したりなどといった活動を行っていると、それこそ世界中から毎日山のようにspamメールが届く。ここのところ、日本語のspamこそ割とおとなしいものの、英語のspamはActiveXがくっついていたり、HTMLメールで<IMG>タグを利用してメールが開かれたことを確認する「Webビーコン」が入っていたりと、タチの悪いメールが増えている。

    それに対するメールソフト側の対応はこれまであまり見られなかったが、最近では例えばNetscape(Mozilla)のメール機能に、過去のspamメールの履歴を元に自動的にフィルタルールを生成、spamを隔離してくれる「ジャンクメールコントロール」機能が入るというように、メールソフト側の対策も進んできている。そんなspam対策の1つが今回取り上げる、Becky!用のspamフィルタプラグイン「BkASPil」だ(8月20日現在の最新バージョンはVer 0.109)。筆者もこのプラグインを1カ月ほど前に導入してから継続して使用しているので、今回はその原理等を解説しつつ、どの程度の効果があるのかについてレポートしてみたい。

    ○原理は昔からある「IPアドレスによるフィルタリング」

    まずこのプラグインがどのような形でspamフィルタを行っているかというと、基本的には「spamを送信してくるメールサーバのIPアドレスをデータベース化してユーザ間で共有し、受信したメールについてそのデータベースとIPアドレスが一致するものがあればそれをspamとみなす」という手法を取っている。

    この発想自体は決して新しいものではない。以前からspamメールを送信、もしくは中継してくるSMTPサーバをリスト化するプロジェクトは複数存在し、中でもORDB(Open Relay DataBase)やSpamCopなどは業界でも有名なプロジェクトとして多くのサーバ管理者に知られているし、これらのプロジェクトが提供するサーバリストを元にメールサーバレベルで自動的にメールの受信をブロックするよう設定することも容易に可能だ。

    ただ、これらのリストによるフィルタリングはspamでないメールの受信までもブロックしてしまうことがあるほか、ユーザによっては何らかの理由であえてspamを受け取りたいというケースもある。特にプロバイダ等のメールサーバは多くの人間が利用するために、全てのユーザが満足するようなspamブロックを行うのは難しいことから、これらの機能の利用を見送っていることが多い。それに対しメールソフトレベルでのフィルタリングなら使うのは個々のユーザであり、自分の好みに応じたspamのフィルタリングを設定することも容易だ。メールソフトにspamフィルタ機能を実装するケースが増えているのはこのような背景があるというわけだ。

    今回のBecky!以外にも、海外では昨年あたりからOutlookやOutlook Express向けに複数の企業から同様の発想に基づくspamフィルタソフトがリリースされており、今後こういった手法が日本でも広まってくるのではないだろうか。

    ○現在の認識率は7~8割程度、誤認識も週に数通あり

    では実際にどの程度のspamが届いていて、そのうち何割程度がきちんとspamとして自動認識されているのだろうか。

    その前に今回の環境を説明しておくと、現在筆者が持っているメールアカウントは仕事用・個人用合わせて全部で7つ。その中には、ずいぶん前に海外の無料WebホスティングでWebページを開設した(現在は既に閉鎖)際に転送メールの受け取り用として設定した関係で、今でも届くメールのほぼ全てがspam(しかも海外もの)というアドレスなども含まれている。7つのアドレスを合わせると平均で1日200通程度のメールが届くという環境だ。

    筆者の環境における1週間のメール受信状況。お盆期間中ということもありややメール数は少なめ。

    BkASPilには受け取ったメールとspamメールの数を自動でグラフ化してくれる機能があるのでそのグラフを見ると、だいたいspamメールの数は平均して1日30~40通程度。ただこれには当初spamとして認識されず、手動でspamメールとして登録したメールも含まれるため、実際に自動でフィルタされたメールはそのうち7割程度といったところだ。傾向を見ていると、前述の「ほぼ全てspam」アドレスに届くメールはほぼ9割の確率で自動フィルタの対象となっているが(518通中、フィルタされなかったのは51通)、某ISPで個人用に持っているアドレスに対するspam(やはり海外からのものが多い)ではその率が5割程度に下がっており、利用環境によってフィルタの効果にやや差が出るようだ。

    気になるのが、spamでないメールを誤ってspamとして認識してしまう誤認識の確率だが、これは週に数通といったところ。主にメーリングリスト経由で配信されるメールがメインだが、中には仕事の打ち合わせでやり取りしていた個人メールが誤認識されてしまったケースもあった。

    このようにまだフィルタ精度については改良が必要と思わせる部分もある。このあたりは今後システム面の改良も進むだろうが、何よりリスト共有型というシステムを採用している以上、同じシステムを利用するユーザ数が増えないことにはベースとなるデータベース精度が上がらない。このプラグインにはフィルタから漏れたspamがあった場合にデータベースへ登録申請を行う機能もついているので、もし日頃spamに悩まされている方がいたら、ぜひこのプラグインを使ってspam情報の収集に協力して欲しい。

    個人的にはBecky!だけでなく、前述した海外のspamフィルタソフトなどとも協力した形で総合的なspamデータベースの構築がなされるのが理想だと考えるが……。

    BkASPil for Becky!2 総合案内
    http://b2antispam.s33.xrea.com/

    Becky!InternetMail
    http://www.rimarts.co.jp/becky-j.htm

    バックナンバー
    http://pcweb.mycom.co.jp/column/hitech.html

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