【コラム】
今回は題名からして、先週のIntel Developer Forum Japan(IDF-J) Fall 2002のネタだと思う人が大半を占めるだろう。最初にお断りしておくが、今回のIDF-JではノートPCに関してはほとんど新しいネタは出ていない。Banias関連の情報についても、9月に米国で行われたIDFですでに発表された程度の情報しか出てこなかったし、正直なところ筆者も肩透かしを食らった気分だ。
ただ、そのIDF-JのノートPC関連セッションで繰り返し出てきた文書名がひとつある。それが今回ご紹介する「Mobile Platform Vision Guide(MPVG)2003」だ。これはIntel自身による「2003年のノートPCはこうあるべき」という指針を記した文書で、9月のUS IDFに合わせて発表されたものなのだが、あまり日本のメディアでは取り上げられていないように感じる。そこで今回はこのMPVG 2003の内容をダイジェスト的に追いつつ、IDF-Jの発表内容も交えて、来年以降に登場するノートPC像をイメージしてみたい。
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| Intelが推定するノートPCのフォームファクタ別売り上げ比率の推移 |
○2004年には米国でもThin & Lightクラスが主流に
今回発表されたMPVG 2003は、基本的にBaniasを搭載したノートPCのデザインガイドであるという関係もあって、基本的にいわゆるA4 Thin & LightクラスからB5ミニノートクラスあたりのノートPCがターゲットとなっている。日本のユーザとしてはこのターゲット設定にあまり違和感はないが、世界的に見るとノートPCの需要は今のところいわゆるフルサイズノートがメインであり、MPVGがターゲットとするセグメントのPCの売れ行きは良いとはいえない。ではなぜIntelはMPVGのターゲットにこのセグメントを選んだのか。
この理由は簡単、「このセグメントが今後主流になると考えているから」だ。IDF-Jのセッション中に示されたグラフを見てもわかるように、Intelは2004年には米国を含む全世界でA4 Thin & LightクラスがノートPCの売り上げの約50%を占めるようになると見ており、いわゆるフルサイズノートの人気は衰退すると考えている。一般的にBaniasは「Crusoeキラー」として見られがちだが、このグラフを見るとBaniasを出してきた真の理由は「マーケットの主流がThin & Lightクラスに移行する以上は、それに適したCPUを出す必要がある」とIntelが考えたため、と見て取ることもできる。
○Bluetooth搭載が推奨、ハードウェアセキュリティも標準装備へ
それではMPVGの具体的な内容を見てみよう。まずCPUはBanias、チップセットにOdemもしくはMontara-GMを採用し、IEEE802.11a/bのデュアルバンドサポートといったあたりは、従来Baniasの概要として語られてきている内容の通り。
それ以外でまず目を引くのはBluetooth搭載が「Recommended(推奨)」になっていることだろう。Bluetooth搭載時にはIEEE802.11bとの同時動作が可能であることが条件となっており、IEEE802.11a/bと合わせて3つのプロトコルを同時サポートすることになる。無線関連ではGPRSやCDMA 1x、WCDMAといった携帯電話による接続サポートも推奨項目に入っているが、MPVGに詳細規定があるのは今のところGPRSのみとなっているため、日本では携帯電話の接続インタフェースの内蔵化は今のところあまり期待しない方がよさそうである。有線LANでは10/100Baseとの選択式ながらもGigabit Ethernetの搭載が「Target(ほぼ必須)」となっているのも目に付く。
またMPVGでは、ハードウェアベースのセキュリティキー(内蔵・外付けは問わない)の搭載も来年後半には「Target」となっている。ハードウェアキー機能は現在、一部の企業向けモデルにのみ搭載されている程度だが、既にIDFレポートでお伝えしているようにIntelとVeriSignがBaniasのセキュリティ機能について提携を結んでいることなどを合わせて考えると、来年の冬モデルあたりからはほぼ全てのノートPCに何らかのハードウェアキーが搭載されることになりそうだ。
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| ノートPCにおける今後の消費電力削減のための取り組みを説明した図 |
○気になるバッテリ持続時間は?
ところでノートPC、特にMPVGがターゲットとしているセグメントのPCで最も気になるのはやはりバッテリの持続時間だろう。これについてMPVGでは機能別(CPU、チップセット、液晶…)に詳細な消費電力のガイドラインを定めているのだが、細かく書くと紙面がとても足りないので、今回は来年後半の全体像を中心に紹介していこう。
まずA4 Thin & LightクラスのPCでは、来年後半モデルで消費電力を約13W(以下全てMobileMark2002での測定値相当)以下に抑えるよう求めている。これに対しバッテリ容量を8セルのリチウムイオンバッテリで74.0Whまで向上させることで、約5.7時間の連続使用を可能にするというのがMPVGの目標だ。同様にB5ミニノートクラスでは消費電力が約9W、バッテリ容量が41.3Wh(12セルリチウムポリマー)で約4.6時間の連続使用が可能なことが要求される。
またMPVGには書かれていないが、IDF-Jでの発表によれば2004年にはThin & Lightクラスでも消費電力を10W以下に抑えることを目標にしているという。そのためIntelではノートPCでも消費電力の激しい「ディスプレイ」「HDD」「電源」の3つについて電力を抑えるための研究を行っているとのことだ。また他に、バッテリに銀亜鉛電池、あるいは燃料電池を採用する可能性についても検討を行っているという話もIDF-Jでは聞かれた。
ただ、ミニノートでバッテリ持続時間が5時間弱というのは、現状でもCrusoe搭載マシンに大容量バッテリをつなげばそれくらいの時間は持つことを考えると、個人的にはやや不満が残る。もちろんIntelもそれは自覚しているからこそ、段階的に消費電力を引き下げる目標を打ち出しているのだろう。「1日電源入れっぱなしで無線LANが使えるノートPC」があれば筆者も相当取材が楽になるだけに、Intelにはもう一頑張りを期待したいところだ。
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