東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+1122円12銭となりました。

今週の高値は10月31日(金)の1万6533円91銭、一方、安値は10月28日(火)の1万5263円36銭。高安の値幅は1270円55銭でした。

週末の日経平均株価は1万6413円76銭(+755円56銭)となり、9月25日につけた年初来高値を更新し、2007年11月2日以来7年ぶりの高値となっています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

10月27日(月)の東京株式市場は続伸しました。ダウ工業株30種平均株価に採用されている銘柄の好決算などを受けて前週末の米国市場が上昇した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行しました。日経平均株価は後場中ごろに一時、+132円まで上昇する場面もありました。ただ、FOMC(米連邦公開市場委員会)や、7-9月期の米国のGDP(国内総生産)発表といった注目イベントを前に様子見ムードが強まり、その後は伸び悩むなか大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、電気・ガス、空運、鉄鋼、陸運、建設など全33業種が上昇。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。

10月28日(火)の東京株式市場は3日ぶりに反落しました。FOMCを前に米国市場が方向感に乏しい展開となり、手がかり材料難から東京市場も小幅安のスタートとなりました。前場中ごろに岩田日銀副総裁が2%のインフレ目標達成について「電車の時刻表のようにはできない」などと発言したと伝わると、デフレ脱却には時間がかかるとの見方も出始め、先物主導で売りが広がり日経平均株価は下げ幅を拡大させました。終盤は下げ渋ったものの、戻りは限定的となるなか、大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、電気・ガス、食品、鉄鋼、証券など13業種が上昇、一方、非鉄金属、鉱業、建設、機械、輸送用機器など20業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反落となっています。

10月29日(水)の東京株式市場は反発しました。前日の米国市場が上昇したことに加え、東京市場の寄り付き前に発表された9月分の鉱工業生産指数が市場予想を上回ったことが支援材料となり、朝方から堅調な展開となりました。午前9時30分頃から先物にまとまった買いが入り始め、後場に入ってからも日経平均株価は一時、+265円まで上昇するなど、堅調な展開が続き、結局+224円と大幅高で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、証券、鉄鋼、鉱業、石油・石炭など全33業種が上昇。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

10月30日(木)の東京株式市場は続伸しました。FRB(米連邦準備制度理事会)が10月でQE(量的金融緩和第3弾)を終了することを決定したことで、米国景気が回復基調にあるとの見方から、為替が円安に振れ、東京市場も朝方から輸出関連株などを中心に買いが先行しました。後場に入ってから、日経平均株価は一時、3週間ぶりに1万5700円台を回復する場面もあり、堅調な展開となりました。終盤はやや伸び悩んだものの、10月7日以来、約3週間ぶりの高値で終了しました。

TOPIX業種別指数では、不動産、銀行、その他金融、電気機器、精密など29業種が上昇。一方、水産・農林、証券など4業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。

10月31日(金)の東京株式市場は3日続伸となりました。前日の堅調な米GDPの結果を受けて、米国市場が上昇した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが広がりました。為替が円安に振れたことに加え、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)について「31日にも、新しい運用比率の目安を発表する」と伝わったことから、先高期待が膨らみ、前場の日経平均株価は、終始、1万6000円手前の水準で推移しました。

後場に入り、日銀が追加金融緩和を賛成多数で決定し「年60兆~70兆円のペースで増やすとしていたマネタリーベース(資金供給量)を約80兆円まで拡大する」と伝わると、想定外の内容に、日経平均株価、TOPIX、JPX日経インデックス400いずれも急伸しました。日経平均株価は9月25日につけた年初来高値を更新し、2007年11月2日以来7年ぶりの高値を付けました。上げ幅は2008年10月30日(817円86銭)以来、6年ぶりの記録となっています。売買高は40億株超、売買代金は4兆円超と、大商いとなりました。

TOPIX業種別指数では、不動産、その他金融、証券、倉庫、保険、陸運、銀行など32業種が上昇。一方、空運の1業種のみが下落。

日経平均株価、TOPIXともに大幅に3日続伸となっています。

来週の予定です。11月3日(月)は東京市場は休場です。11月4日(火)には10月分の百貨店売上高と新車販売台数が発表されます。11月5日(水)にはトヨタ自動車が4月―9月期決算を発表します。11月6日(木)には欧州でECB(欧州中央銀行)理事会の結果発表があります。11月7日(金)には米国で雇用統計が発表されます。

いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。