東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+20円60銭となりました。

今週の高値は9日(月)の1万5206円57銭、一方、安値は13日(金)の1万4830円99銭。高安の値幅は375円58銭でした。週末の13日(金)は国内外で大きなニュースが市場を揺るがし、前場と後場では相場内容が一変する展開となりました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

9日(月)の東京株式市場は小幅高。前週末の米国市場で、5月分の米雇用統計の内容が量と質ともに改善したことから、ダウ工業株30種平均株価やS&P500種株価指数が過去最高値を更新しました。その流れを引き継いだ東京市場も買いが先行し、日経平均株価は序盤に1万5200円台を回復する場面もありました。ただ、5月下旬から急上昇してきたことから、買い一巡後は戻り売りに上値を抑えられ、終盤は失速しています。TOPIXは引け際に一時、マイナスに沈む場面もありました。

TOPIX業種別指数では、倉庫、不動産、海運、電気機器など18業種が上昇。鉄鋼、電気・ガス、銀行、小売など15業種が下落。

日経平均株価は反発、TOPIXは続伸となっています。

10日(火)の東京株式市場は反落。前日の海外市場では、ダウ工業株30種平均株価やS&P500種株価指数、ドイツDAX指数が過去最高値を更新。この流れを引き継いだ東京市場も序盤から買いが先行しました。ただ、その後はこれまで上昇が目立っていた小型株や新興市場銘柄に利益確定売りが増え、徐々に上値が重くなりました。後場は先物主導で一段安となり、節目の1万5000円を約1週間ぶりに割り込んで大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、陸運、銀行、鉄鋼など5業種が上昇。一方、その他金融、証券、情報・通信、医薬品、小売など28業種が下落。

日経平均株価は反落、TOPIXは3日ぶりの反落となっています。

11日(水)の東京株式市場は反発しました。欧米市場が堅調な展開だったこともあり、東京市場も買いが先行し、日経平均株価は序盤から節目となる1万5000円を上回る展開となりました。ただ、SQ(株価指数先物・オプションの特別清算指数)算出を週末に控え、先物の動きもよみにくく、その後はこう着感を強めました。終盤は、中小型株を中心に買いが広がり、日経平均株価、TOPIXともに上げ幅を拡大して大引けを迎えています。JPX日経インデックス400や東証2部株価指数は高値引けとなっています。業種別指数では鉱業、保険、銀行、情報・通信など32業種が上昇。一方、不動産のみ1業種のみが下落。日経平均株価、TOPIXともに反発。

12日(木)の東京株式市場は反落しました。世界銀行が今年の世界経済の経済成長率を下方修正したことなどをきっかけに、前日の海外市場が軟調に推移したことから、東京市場も売りが先行しました。前場に日経平均株価の下げ幅は一時、200円を超えたものの、その後は下げ渋る展開となり、方向感に乏しいなか、中小型株を中心とした取引が続きました。翌日のメジャーSQ算出を前に、積極的な売買は手控えられ、結局、日経平均株価も節目の1万5000円近辺まで値を戻して大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、証券、銀行、海運など12業種が上昇。一方、不動産、金属製品、その他金融、保険、精密など21業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

13日(金)の東京株式市場は反発しました。前日の米国市場は、イラクで過激派武装組織が勢力を拡大させたとの報道を受けて地政学リスクが高まり、為替が円高に振れ、株価も大幅下落しました。その流れを受けた東京市場も朝方から売りが先行し、SQ算出に絡んだ売りも広がりました。ただ、SQ算出後は手掛かり材料が見当たらず、前場の日経平均株価の高安の値幅はわずか53円ほどとなりました。しかし、後場に入り「安倍総理が法人実効税率の引き下げについて方針を発表する」との報道が伝わると、相場は一変し、一気に買いが膨らみました。後場は総じて上げ基調の展開が続き、結局、日経平均株価は+124円で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、鉱業、証券、繊維、情報・通信、医薬品など28業種が上昇。一方、空運、石油・石炭など4業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

来週の予定です。来週は18日(水)に主なイベントが集中しています。まずは国内で5月分の貿易統計や百貨店売上高が発表となります。また、日銀金融政策決定会合の議事要旨も公表されます。海外では、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表、FRB(米連邦準備制度理事会)イエレン議長の会見があります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。