東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-1103円72銭となりました。

今週の高値は7日(月)の1万4895円58銭、一方、安値は11日(金)の1万3885円11銭。高安の値幅は1010円47銭でした。

日経平均株価が終値ベースで約半年ぶりに1万4000円を割り込みました。

TOPIXは一週間で一日もプラスになる日がないまま6日続落となっています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

7日(月)の東京株式市場は大幅続落。米国で発表された3月分の雇用統計がほぼ市場の予想通りの結果だったものの4日(金)の米国市場は、大幅安の展開となりました。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が-2.6%と急落し、約2カ月ぶりの水準まで下落。この流れを受けた東京市場も序盤から売りが先行しました。日銀の金融政策決定会合の結果公表を翌日に控え、買いも限定的なものとなり、後場に入り為替が円高に振れると、日経平均株価も下げ幅を広げ、終盤も軟調な展開のまま大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、鉱業のみ1業種が上昇。一方、その他金融、証券、情報・通信、不動産、銀行など32業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

8日(火)の東京株式市場は大幅続落となりました。米国市場がネット関連やバイオ関連銘柄を中心に下落したほか、為替が円高に振れたことから東京市場も朝方から売りが先行しました。昼休み時間中に、日銀の金融政策決定会合で現状維持が決定されたとの報道が伝わると、大方の予想通りであったことから、反応は限定的なものとなりました。後場の中ごろに発表された、3月分の景気ウオッチャー調査で、先行きの判断指数が前月比-5.3ポイントの34.7と、震災時の2011年3月以来の低水準となったことから下げ幅を広げ、日経平均株価、TOPIXともにこの日の安値圏で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下がり率上位は証券、鉱業、医薬品、ゴム製品など。日経平均株価、TOPIXはともに3日続落となっています。

9日(水)の東京株式市場は大幅続落。為替相場が1ドル=101円台の円高・ドル安水準になったことを嫌気し、東京市場は序盤から売りが先行しました。円高につれて主力の輸出関連株に売りが膨らんだほか、日銀による追加の金融緩和期待の後退が改めて意識されたことから、不動産株や金融株を中心に軟調な展開となりました。先物や主力銘柄の断続的な売りが続くなか、後場に入ると、さらに下げ幅は広がり、トヨタやKDDIなどTOPIXコア30銘柄が相次いで年初来安値を更新。為替が102円台へと、やや円安に戻しても、売り優勢の展開が続きました。TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下がり率上位は不動産、海運、紙・パルプ、銀行、証券など。日経平均株価、TOPIXともに4日続落となっています。

10日(木)の東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録を受けて金融引き締め観測が後退したことから、米国市場は大幅に続伸。この流れを引き継いだ東京市場も、序盤は幅広い銘柄に買いが入り、一時、日経平均株価の上げ幅は200円を超える場面もありました。ただ、その後は利食い売りに押され伸び悩むなか、午前11時に発表された3月分の中国の貿易統計で米ドルベースの輸出が2カ月連続で減少するなど、市場予想を大きく下回ったほか、日銀の早期緩和観測が後退したことも先物中心の売りを誘いました。後場に入り、為替が円高に振れると、先物安につれて日経平均株価も一時、-65円まで下落する場面もありました。その後、終盤にかけては断続的な買い戻しが入り始め、結局、大引けの日経平均株価は+43銭と、わずかながらプラスに持ち直して終了しています。TOPIX業種別指数では非鉄金属、卸売、電気機器、精密、機械など17業種が上昇。一方、電気・ガス、保険、輸送用機器、情報・通信など16業種が下落。

日経平均株価は5日ぶりの反発、TOPIXは5日続落となっています。

11日(金)の東京株式市場は大幅安となりました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が266ドル安と急落した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から幅広い銘柄に売りが先行しました。SQ(株価指数オプションとミニ日経平均先物4月もの)算出に絡んだ現物株の売りも膨らむなか、為替が円高に振れたこともあり、前場後場を通して、全面安の展開となりました。東証1部全体の8割超が下落、2割に相当する371銘柄が年初来安値を更新。

日経平均株価は昨年10月8日以来、約半年ぶりに1万4000円を下回って大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下がり率上位は証券、精密、紙・パルプ、保険、情報・通信など。

日経平均株価は反落、TOPIXは6日続落となっています。

来週の予定です。16日(水)には、中国で1月~3月期のGDP(国内総生産)、3月分の工業生産高、3月分の小売売上高の発表があります。夜(日本時間の17日3:00)には、米国でベージュブック(地区連銀経済報告)が発表されます。17日(木)には国内で日銀支店長会議が開かれます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。