東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末(20日)比+471円80銭となりました。今週の高値は28日(金)の1万4713円45銭、一方、安値は27日(木)の1万4227円81銭。高安の値幅は485円64銭でした。

日経平均株価が下落したのは25日(火)のみ、TOPIXは一週間全て上昇し、今年に入って初めて(昨年10月8日~15日以来)5日続伸となりました。では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

24日(月)の東京株式市場は反発。3連休中の外部環境が落ち着いていたことに加え、為替が円安に振れたことから、朝方から幅広い銘柄に資金が向かいました。HSBCが午前に発表した3月のPMI(中国製造業購買担当者景気指数)は48.1と、2月確報値(48.5)から悪化し、日経平均株価は一時、上げ幅を縮小する場面があったものの、中国景気の減速は織り込み済みとの見方もあり、買い戻しや押し目買いの勢いは衰えませんでした。後場に入ると、日経平均株価は290円高まで上昇し、この日の高値圏でもみあうなか、大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では精密、倉庫、証券、小売、電気機器など28業種が上昇。一方、石油・石炭、ゴム製品、鉄鋼など5業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

25日(火)の東京株式市場は高安まちまちの展開となりました。前日の米国市場が軟調な展開だったことから、この流れを受けた東京市場も序盤から売りが先行し日経平均株価の下げ幅は、一時、160円を超える場面もありました。その後、後場に入ると先物にまとまった買いが入り、プラスに切り返して堅調に推移。しかし上値は重く、結局、売りに押される形で大引けを迎えています。権利取り狙いと思われる小型株の上昇から(TOPIX)全体は押し上げられ、TOPIXは小幅ながら続伸となっています。TOPIX業種別指数では鉱業、繊維製品、陸運、海運など19業種が上昇。一方、その他金融、情報・通信、証券、不動産、精密など14業種が下落。

日経平均株価は反落、TOPIXは続伸。

26日(水)の東京株式市場は上昇。米国で発表された3月の米消費者信頼感指数が市場予想を上回り、ダウ工業株30種平均株価が3日ぶりに反発。その流れを引き継いだ東京市場も序盤から幅広い銘柄に買いが先行しました。日経平均株価の上げ幅は、一時、146円高まで上昇。翌日は3月期末の配当や株主優待の権利付き売買の最終日に当たることから、高配当利回りの銘柄を中心に、権利取りを狙った買いも入りました。ただ、その後は上値追いの手掛かり材料に乏しく、戻り待ちの売りに押され、200日移動平均線で上値を抑えられる形で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、保険、機械、精密、輸送用機器、電気機器など26業種が上昇。一方、水産・農林、その他金融、情報・通信など7業種が下落。日経平均株価は反発、TOPIXは3日続伸となっています。

27日(木)の3月期決算企業の配当を受ける権利がなくなる最初の売買日、権利落ち日の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場が下落した流れを引き継いで始まった東京市場は、配当落ちの影響(日経平均株価は104円程度)も重しとなり、前場は軟調に推移しました。日経平均株価の下げ幅は、一時、249円安まで下落。ただ、後場に入ると相場はガラリと変わり、為替が円安にふれるなか、先物や値がさ株に断続的な買いが入り、大幅に上昇する展開となりました。結局、日経平均株価は配当落ち分を(104円程度)を吸収し、上値抵抗ラインとなっていた200日移動平均線も上回って大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では小売、精密、電気・ガス、鉄鋼、不動産など22業種が上昇。一方、証券、保険、卸売など11業種が下落。

日経平均株価は続伸、TOPIXは4日続伸となっています。

28日(金)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場が軟調に推移したことから、東京市場も下落してスタート。しかし、前場中ごろにアジア市場が総じて堅調な展開を見せると、東京市場も上昇に転じ、前引けも小幅高で取引を終えました。

後場に入ると、序盤から日経平均株価は上げ幅が拡大し、その後はやや下押す場面があったものの、終盤には、国内の機関投資家による買いが銀行株や証券株に入り、日経平均株価はほぼこの日の高値圏で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数ではその他金融、空運、証券、倉庫、銀行など26業種が上昇。一方、精密機械、繊維、石油、紙・パルプなど7業種が下落。日経平均株価は3日続伸、TOPIXは今年に入ってから初めて5日続伸となっています。

来週の予定です。31日(月)には米国でFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が講演します。4月1日(火)には国内で、消費税が5%→8%へと引き上げられます。また3月の日銀短観(日銀企業短期経済観測調査)が発表されます。4日(金)には米国で雇用統計が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。