東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週1週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-24円60銭となりました。1週間のうち、プラスとなったのは200円を超える上げ幅となった25日(火)のみ。週末にかけて3日続落となっています。今週の高値は25日(火)の1万5094円54銭、一方、安値は24日(月)の1万4658円14銭。高安の値幅は436円40銭でした。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

24日(月)の東京株式市場は反落しました。先週、米国で発表されたマクロ経済統計の内容が強弱まちまちの結果となり、米国景気の現状や先行きの見通しが立てづらいなか、東京市場も手掛かり材料難から、軟調なスタートとなりました。しかし、株価指数先物の思惑的な売買に揺さぶられる形で、日経平均株価はマイナスから一気にプラスへと浮上し、一時、100円を超える上げ幅となる場面もありました。その後は次第に伸び悩み、後場に入ると、中国市場の下落につれてまとまった売りが入って下げに転じ、結局、小幅安で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では電気・ガス、ゴム製品、情報・通信など11業種が上昇。一方、保険、証券、銀行、その他金融など22業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

25日(火)の東京株式市場は大幅に反発しました。日経平均株価の終値は1月30日以来、約1カ月ぶりに1万5000円台を回復。前日の海外市場では、ドイツ企業景況感指数の改善を好感し、欧米市場が上昇しました。英FTSE100種株価指数が1999年以来の高値を付けた上、米S&P500種株価指数も取引時間中の最高値を更新したことから、東京市場も朝方から買いが先行しました。前場中ごろに、「ソフトバンクがネイバー傘下のLINEの株式取得を目指す」とのニュースが市場に伝わると、日経平均株価への寄与度の高いソフトバンクが上昇し、相場の押し上げ要因となりました。後場に入ると、一段高となり、日経平均株価は一時256円高まで上げ幅を拡大する場面もありました。その後は、米国や中国の景気に対する不透明感やFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長の上院での議会証言を前に、様子見ムードも漂い始め、買いの姿勢は限られました。

TOPIX業種別指数では、全33業種が上昇。値上り率上位は情報・通信、石油・石炭、その他製品、陸運など。

日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

26日(水)の東京株式市場は反落。前日の米国市場が反落した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から売りが先行し、日経平均株価は取引開始直後に150円を超える下げ幅となる場面もありました。後場に入ると、一時、プラスに転じる場面があったものの、前日に節目の1万5000円を回復したことから、戻り一巡感も台頭。様子見ムードのなか、小口の売り買いが交錯し、日経平均株価は1万5000円を挟んで小幅にもみ合う展開となりました。主力株の動きも限られ、売買高は19億2102万株と、昨年12月17日以来、約2カ月ぶりの20億株割れとなっています。

TOPIX業種別指数では、海運、電気・ガスなど4業種が上昇。一方、石油・石炭、小売、証券、銀行、機械など29業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落しました。

27日(木)の東京株式市場は続落しました。前日の米国市場がほぼ横ばいの動きにとどまり、手がかり難から東京市場も売り先行でスタートしました。取引開始直後に日経平均株価の下げ幅が120円を超える場面もありましたが、下値を売り込む材料にも乏しく、その後は持ち直し、プラスへ転じる展開となりました。しかし、1万5000円を超える水準では戻り売りに上値を抑えられ、後場中ごろには、株価指数先物に断続的な売りが出始め、日経平均株価も今一度下げに転じました。次週に米国で発表される雇用統計を始めとした経済統計に関心が向かうなか、売買は手控えられ、売買代金は1兆9778億円と3日続けて2兆円を割り込んで大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、電機、精密、医薬品の3業種が上昇。一方、不動産、その他金融、保険、銀行、建設など30業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

28日(金)の東京株式市場は3日続落となりました。前日の米国市場が上昇したものの、政情不安が深刻化しているウクライナ情勢を懸念する向きもあり、前場の東京市場は前日の終値を挟んでプラスとマイナスを行ったり来たりする展開となりました。後場に入ると、上海や香港市場の下落や、為替がやや円高にふれたことから、売りが優勢となりました。日経平均株価の下げ幅は後場中ごろに、200円近くまで拡大する場面もあり、軟調な展開となりました。とは言え、その後は下落一辺倒という流れにもならず、終盤は下げ幅を縮小する形で大引けを迎えています。

2月の最終日となった28日(金)の日経平均株価(終値)が1万4841円07銭となり、1月31日(金)の1万4914円53銭と比べ、-73円46銭となったことから、2月も月間ベースでマイナスとなりました。

TOPIX業種別指数では精密、鉱業、保険、医薬品など6業種が上昇。一方、紙・パルプ、銀行、小売、倉庫、不動産、鉄鋼、証券など17業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに3日続落となっています。

来週の予定です。3月3日(月)には国内で10月~12月期の法人企業統計調査が発表となります。4日(火)には米国でオバマ大統領が2015年度予算教書を公表します。5日(水)に中国で全国人民代表大会が開幕し、欧米では10月~12月期のユーロ圏のGDP改定値が発表されます。6日(木)にはECB(欧州中央銀行)理事会の結果発表、7日(金)には米国で雇用統計の発表があります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。