東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+552円64銭と、今年に入って初めて週間ベースでプラス(+3.9%)となりました。今週の高値は18日(火)の1万4900円24銭。一方、安値は17日(月)の1万4214円60銭。高安の値幅は685円64銭となっています。今週は週初から堅調な展開が続いたものの、週半ばには続落し軟調な展開に一変、しかし週末21日(金)には400円を超える大幅高となり、落ち着きを取り戻す兆しを見せつつ、一週間の取引を終えています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

17日(月)の東京株式市場は3日ぶりの反発。前週末の米国市場が上昇したものの、朝方に発表された国内の10-12月期GDPが前期比年率換算1.0%増と市場予想(2.7%増)を大幅に下回ったことを受け、前場の序盤は株安・円高が進行しました。日経平均株価は一時、100円近く下落する場面も見られました。その後は、翌日に日銀による金融政策決定会合の結果発表を控えていることから、全体的に様子見ムードが強まり、方向感の定まらない展開が続きました。後場に入ると、追加の金融緩和期待から持ち直し始め、プラス圏で推移し、押し目買いも優勢となるなか大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、紙・パルプ、電気・ガス、証券、卸売、鉄鋼など29業種が上昇。一方、情報・通信、精密など4業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反発となっています。

18日(火)の東京株式市場は大幅に続伸しました。前場は、為替が円安に振れたのにつれて買いが先行したものの、その後は伸び悩み、狭いレンジの値動きで午前の取引を終えました。しかし、後場に入ると、日銀が金融政策決定会合で「貸出増加支援の資金供給」と「成長基盤強化の資金供給」の規模を2倍に増やすことを決めたのを受けて、一気に上昇ムードに。株価指数先物に大口の買いが入り始め、日経平均株価の上げ幅は、一時500円を超える場面もありました。結局、大引けは450円13銭高となりこの上げ幅は今年最大、昨年8月2日(460円39銭)以来、約6カ月半ぶりの上昇幅を記録しました。

TOPIX業種別指数では全33業種が上昇。値上がり率上位は銀行、その他金融、不動産、情報・通信など。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。

19日(水)の東京株式市場は3日ぶりに反落。日銀が金融機関の貸出支援制度の拡充を決めたことを受けて大幅高となった前日の反動もあり、前場は幅広い銘柄に売りが先行しました。日経平均株価は取引開始直後に一時、164円安まで下落。その後は下げ渋る場面も見られたものの、日本時間20日未明に公表される1月28~29日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨や20日にHSBCから発表される2月分のPMI(中国製造業購買担当者景気指数)などを見極めたいというムードも強く、戻りは限定的なものとなりました。東証1部の売買代金は概算で1兆8994億円と、2日ぶりに2兆円を割り込み、今年3番目の薄商いとなっています。

TOPIX業種別指数では、鉱業、その他製品、卸売など9業種が上昇。一方、ゴム製品、鉄鋼、その他金融、証券、輸送用機器など24業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりに反落しました。

20日(木)の東京株式市場は大幅続落。住宅関連指標の悪化などから下落した前日の米国市場の流れを引き継ぎ、東京市場も軟調な展開で始まりました。午前10時45分にHSBCが発表した2月のPMI(中国製造業購買担当者景気指数)が48.3と、市場予想(49.5)を下回ると、一段と売りが加速。その後も先物にまとまった売りが続くなか、景気敏感株も下げ足を速め、後場に入ると、日経平均株価は一時337円安まで下げ幅を広げました。結局、軟調な流れは変わらず、300円を超える下げ幅のまま大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下り率上位は、その他金融、海運、機械、精密、証券など。

日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

21日(金)の東京株式市場は大幅に反発しました。前日の米株式相場が上昇したことや、為替がやや円安に振れたことを受けて東京市場も朝方から幅広く買いが入りました。前日までの二日間で、日経平均株価が400円近く下落していたことから、値ごろ感からの買い戻しも入り、後場に入ると、さらに一段高となりました。結局、東証1部に上場する銘柄のうち9割以上が上昇し、日経平均株価は416円49銭(2.88%)高の1万4865円67銭と1月31日以来、約3週間ぶりの高値を付けて大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では全33業種が上昇。値上がり率上位は、石油、電気・ガス、非鉄、証券、その他金融、その他製品、食料品など。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

今後の注目は、まず週末の22日(土)23日(日)に豪のシドニーで開催されるG20(財務相・中央銀行総裁会議)となります。週明けは27日(木)<日本時間28日0時>に米上院がFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長に対する公聴会を開きます。28日(金)には国内で1月分の全国CPI(消費者物価指数)や失業率を始め、1月分の経済統計が発表となります。また米国では10月~12月のGDPが発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。