その日、私はオフィスビルにあるセミナールームにいた。およそ30名くらいだろうか、私たち聴講者は講師の話に耳を傾けていた。部屋の横に並べられた家電製品。数名の若手スタッフ。そして、マイク片手に離し続ける女性講師。こう書くと、なにやら怪しいセミナーに参加してみたのではないかと心配なさる方がいるかもしない。だが、実はそうではない。

私が参加したのは、ダイキン東京支社で開催されたセミナー「ダイキン空気の勉強会」である。場所は品川。テーマは「花粉対策」で、講師が今年のスギ花粉の飛散状況やあまり知られていない花粉事情について語るのである。ご存じ、今年のスギ花粉の飛散量は昨年の猛暑の影響で、圧倒的に多いと予想されている。

このセミナーは「今年の花粉はすごいですよ」と参加者の不安をあおり、空気清浄機を買わせるようなものではないか。ならば怪しいセミナーと変わりないじゃないかとお思いの方もいるかもしれない。そこは、ダイキンである。講師の方はセールスとは関係なく、上品を絵に描いたような話し方で真摯にスギ花粉について語り、私たちが知っているようで意外とよく知らない、そんなスギ花粉の話をしてくださった。

セミナーでは、花粉症になる子どもの割合が増えていることや、スギ花粉がたくさん飛びやすい年になる条件といったことも説明があったが、読者の皆様が聞いたことのあるような話は、ここではあえて書かない。おそらく皆様――とくに花粉症を患ってらっしゃる方がまず知りたいのは、今年のスギ花粉はいつ飛び始めるのか、ということではないだろうか。

寒さのありがたさを感じるとき

いつから花粉が飛び始めるのか。飛散開始時期は気温が大きなカギとなる。初冬期(11月~12月)と、厳冬期以降(1月~2月の気温の状況によって、飛ぶ時期がきまる。具体的には厳冬期の気温の累積値が一定の値を超えると、飛び始めるという。つまり、厳冬期である今の気温が低ければ、累積値も低いまま。なかなか一定値を超えない。ということは、今年のように寒~い日々が続くと、花粉の飛び始めも遅くなるというのだ。

ダイキン工業 空調生産本部 ルームエアコン商品開発グループ 香川早苗氏

最近の寒さには参っていたが、いいところもあるではないか。そんなわけで、スギ花粉の飛散開始日は地域にもよるが、去年の春よりも、やや遅く、例年並みか例年より5日前後遅くなる可能性が高いと見込まれているという。

そして、もう一つ、スギ花粉で確認しておきたいのは、地域によって花粉量が違うので、自身の住まいの近辺の飛散量は多いか少ないか、ということだ。今年のスギ花粉の飛散量はなかでも水戸や宇都宮、大津などが多いといわれている。だが、日本全国、地域によって飛散量にバラツキがあり、ところによっては例年よりも少ないと予想される場所もあるのだ。期待して資料を見たが、残念ながらぐうたら家のある東京は去年の倍以上の飛散量が予測されていた。そのなか、例年地よりも少ないと予測されているのは、中国、四国、九州。場所によっては例年の半分くらいだと予測されているところもある。

これからの時代は、避暑ではなく避粉である。春になったら、花粉の少ない地域に避難して生活するのである。今は、仕事、とくに会議のことを考えると、実現不可能かもしれない。でも、何年か後に、いまよりも電話会議システムが進化して、遠いところにいても、リアルに顔を合わせるのと同等の打合せができるようになったら、もしかすると「避粉」も実現するかもしれない。セミナーで話を聞いているうちに、すっかり私は妄想モード、心は5年後、10年後に飛んで行ってしまった。

ダイキンの加湿空気清浄機「うるおい 光クリエール」(MCK75L)

妄想はさておき、このようなセミナーの開催は、メーカーにとってどんなメリットがあるかということだ。花粉対策には空気清浄機が効果的なわけだから、花粉に関するセミナーの意味はないわけではない。でも、空気清浄機の効用はみんなが知っているわけだし、他社からも空気清浄機はたくさん発売されている。だから、いまさら花粉に関するセミナーを開催しても、開催企業であるダイキンにとって、あまりメリットがないのではないか、とも思った。とろろが、である。そうではないことが、講義を聞いているうちに徐々に明らかになっていった。

もっとも伝えたかったことは「アジュバント」だ

今回、セミナーで初めて耳にした言葉に「アジュバント」というものがある。同じ花粉でも、田舎と都会では違いがある。市街地の花粉はNOx(窒素酸化物)やディーゼル粉塵などの「アジュバント」がくっついており、これがアレルギー症状を悪化させる。つまり、花粉症の人に適した空気清浄機というのは、この「アジュバント」まで、しっかりとやっつけてくれる能力を有していなければならないということだ。

上部にあるのは交換用のフィルター。下側はひだ型のフィルター

そこで、だ。今回のセミナーのポイントが見えた。ダイキンの空気清浄機は、この「アジュバント」をしっかりと除去できるのである。ダイキンの空気清浄機に用いられているのが、ストリーマ放電だ。これはダイキン独自の技術で、これまで難しいとされていた高速電子を安定的に発生させることに成功したすごい技術なんである。もう少し細かくいうと、一般的なプラズマ放電(グロー放電)と比べて、放電領域が広いため同じ電力を投入した時の破壊力がダントツだという。

この技術が搭載されているから、ウイルスやカビはもちろん、より破壊が大変だとされる「アジュバント」まで、しっかりと破壊し、それで私たちの花粉症のもととなる物質を除去してくれるというのだ。

今回のセミナーは学ぶことがいくつかあり収穫があったといえる。花粉飛散秒読み段階に突入した今、早く対策を打っておかねば。そして、どうせ買うなら、花粉対策効果の高いものがいいなどと、いう気分にさせられた私は、やはり人の話に影響されやすいタイプの人間なんだな、と改めて認識した。自分を知るという意味で、これももう一つのセミナーの収穫かもしれない。

イラスト:YO-CO