「マメモ」という電子メモをお使いになったことはあるだろうか。紙のメモをデジタルにしただけだろ? などと、小馬鹿にしてはいけない。小さいのに、結構使える電子メモなのである。メモにまつわる悩みは人それぞれ、いろいろある。

ずいぶん昔のことだが、取材の準備で、ある企業に電話をかけた。大代表番号しかわからなかったので、代表から広報部につないでもらった。話の流れの中で、相手の方は、広報部の直通番号を教えてくれた。直通番号ならば、残業時間でも電話がつながりますよと相手の方は言った。

数日後、直通番号に電話しようとして、私は焦った。メモがないのである。バタバタしたせいで、うっかりメモを捨ててしまったようだ。それ以来、取材先とのやりとりはメモではなく、ノートに書くことにした。ノートならばうっかり捨てることはない。ただ、ときどき、ノートが本や資料の下に埋まって、すぐ取り出せないことがある。

キングジムのデジタル卓上メモ「マメモ」

マメモは最大99枚まで自動保存できる。ゴミ箱機能がついていて、メモを捨てることもできるが、わざわざ捨てなくても99枚保存が可能ならば、不要メモを整理して書く場所を確保することもない。

邪魔にならない大きさ

マメモがあれば、わざわざメモパッドを買う必要もない。マメモに会うまで、ぐうたら主婦はA4サイズの裏紙をメモ代わりにしていたのだが、これが大きくて邪魔なのである。小さく切るのも手間だし……。そんな悩みもマメモは解決してくれるのであった。単4電池3本(別売)で動くので、電源コードが邪魔になることもない。電池はアルカリ乾電池だけでなく、エネループにも対応している。

裏側。単4電池3本使用。エネループもOK

解像度は縦159×横256dot。抜群の解像度とはいえないが、メモを読み書きするには十分の性能だ。なにより、机の上にちょこっと収まった姿がかわいい。色はビビッドオレンジのほか、オフホワイトとダークグリーンがある。

このような製品はタッチペンの書き心地が使用した満足度を左右するけれど、マメモのタッチペンは単なる棒型ではなく、首の近くが太く、先端が細くなっているので、たいへん持ちやすい形状になっている。タッチしたときの反応もいい。ここに、電話番号や、日にちなど、必要なものを書き込んでいく。一つ書いたら、「新規メモ」マークをタップすれば、新しいメモが画面に現れる。また、矢印マークをタップすれば、前に書いたメモを見ることができるのである。

画面の下に、アイコンが表示され、タップして機能を選ぶ

「これは便利!」と感じた機能はタイムスタンプだ。メモを表示させたまま、時計表示をタップすると、現在時刻が自動的にメモの右上に書きこまれる。たとえば、前回の原稿では、このマメモの価格をマイコミジャーナルで調べて、メモとして書き込んだ。すぐに原稿に書くようなときはいいのだが、後で原稿のなかで使うとき、いつのデータか、という情報が必要だ。そんなとき、タイムスタンプを押しておけば、正確な日時を刻むことができる。

線の太さや画面のコントラストも設定でき、たいていの要望にはこたえられるよう、機能を取りそろえている。そのほか、前回も触れたが、さまざまな場面を想定して、きめ細かな仕様になっているところがこのマメモの隠れた魅力でもある。その具体例を紹介しよう。

画面の右上にある□で囲まれた部分がタイムスタンプ

細かい気配りが隠れた魅力

一つは、たまたまユーザーが席を外した時に、アラームを鳴らす時刻となった場合、マメモはどう動作するべきか。単に、アラームを鳴らすだけだと、席を外しているユーザーは気づかない。せっかくのアラームを見落とすのではないか、という心配が出てくる。

こんな場合でも大丈夫なようにマメモには工夫がある。未読の「To Doメモ」があるときはアラーム表示を点滅させるのである。後で知らなかったと後悔することはまずないだろう。アラーム表示をタップすれば、「To Do」を設定した未読のメモが表示される。なんとも親切である。

アラームマークが点滅して未読の「To Doメモ」を知らせる

もう一つは、今、メモを書いているときに、アラームの時刻になった場合、表示はどうするのがいいのか。本来の仕様では、アラームの時刻になったなら、「To Doメモ」を表示することになっている。ただ、今、メモを書き込んでいるときに、「To Doメモ」が表れたら、今書きかけのメモがかき消されてしまうことになる。これでは意味がない。そこで、マメモはユーザーが書き込み中のときは、アラームだけを鳴らすようにしているのである。そして、メモを書き終わった後で、ゆっくりと「To Doメモ」を見ればいいようにしてある。

また、タスクのなかには期限がきっちり決まっていないものもある。そんなものには、アラームをオフにすることも可能だ。こんな感じで、あらゆる場面を想定して、仕様を考えた痕跡がある商品にぐうたら主婦は魅力を感じる。細かいことだけど、細部にまでこだわってものづくりする姿が好きなんである。

メーカーはキングジム。ファイルやテプラ(ラベルプリンター)といえば、すぐおわかりになるのではないだろうか。ユーザーから愛される商品を多発するキングジムの便利なメモ。マメモは、メモについて、悩みのある人にとって、きっと手助けになるのではないだろうか。

イラスト:YO-CO