3月になって私はあることで悩んでいた。何に困っていたかをひと言でいえば、電話機の買い換えである。それまで、ぐうたら家の電話はTEL/FAX兼用タイプの商品を使用していた。FAXにコードレス電話の子機が一台ついているタイプであった。新たに買い換えの必要が出てきたのだが、条件を整理すればするほど、何を買ったらいいのかわからない。そんな状態が続いた。

なぜ買い換えなければならなくなったか。理由は子機にある。数分、通話していると、自動的に回線が切れるようになったのだ。なんて便利な! 長電話せずにすむわっ…ではなく、これはある意味恐ろしい壊れ方である。

なぜなら、事情を知らない電話の相手は、私が悪意で回線を意図的に切ったと捉えかねない。私は誤解されるのを恐れて、通話は親機を使っていた。が、コードレスでないので不便なんである。娘は何も事情を知らずに子機で電話をとってしまい、最初の犠牲者になっていた。友だちに、再度かけ直して、悪いのは電話機だとひたすら弁明している姿を見て、ちょっとかわいそうになった。そして、私は電話を買い替えるときが来たことを悟った。

通話はコードレス電話がいい

この状況を読んで、電話機を買い替える前に、子機のどこが壊れているのか、チェックすべきだと思った方もいるかもしれない。子機は実は壊れているのではなく、電池を交換すればいいだけの話かもしれない。でも、私としては、新しい電池を買って、それでも結果が同じだったら、電池代金がムダになる。これは避けたい。時間ももったいないし、ちまちま原因究明するよりも、この際、新しいものを買ってしまうほうが賢いだろう。

なにより、これまでは、コードレス電話が子機1台のみ。親機のFAX兼電話は私の仕事をする場所に置いてあるが、コードレスでないので話すとき親機の前から離れられないのが不便だと感じていた。次に買うなら、コードレス電話が2台ついたものがいい。

シャープ コードレス電話機「JD-S10CW」。仕事部屋のFAXの近くに置いている

ところが、コードレス電話機が2台ついたFAXの値段を調べてみると、1台のみのものと比較して1万円程度高くなっている。メーカーにもよるが、コードレス電話機が1台のみのFAXが約1万7,000円なのに対して、2台ついたものは2万6,000円である。1万円の差は大きい。でも、コードレス電話は2台欲しいのである。

駄々をこねるこの状況を見て、安くしたいのならばFAXを捨てて、コードレス電話機を買えばいいじゃないかと思う方もいるだろう。たしかに、FAXを使うことはここ数年、ずっと減った。画像を受け取るときは、ほとんどがメールにファイル添付になっている。しかし、ライターにFAXは必要品である。編集者にもよるが、雑誌などのラフをFAXで送る人はいるし、取材の申し込みのとき、インタビューを受ける会社によっては、企画書をFAXで送るように指定してくるところもある。結局、FAXは捨てられないのである。安く、FAXを捨てずに、家中どこで電話を受けても、コードレスで通話がしたい。この欲張りな願いを満足することは可能か。

解決策が見えた

あれこれ考えた末、私が出した結論は、「コードレス電話機2台を買う」だった。もちろん、FAXは捨てない。今あるFAXはそのままで、不具合が生じている子機のみ捨てる。そして、新しく買った電話機は、FAXについている外部電話接続用のモジュラージャックに接続して使う。そうすれば、コードレス電話機2台分の出費で済むし、FAXはそのまま使える。しかも、どの部屋で電話を受けても、コードレスで通話ができる。
そこで、シャープのコードレス電話機「JD-S10CW」を買うことにした。

「JD-S10CW」子機。リビングに置いている。本体は幅が狭く、スリムで持ちやすい

さっそく、近所の量販店に行き、目あての商品を手に入れたぐうたら主婦。浮かれ気分で家についた。しかし、問題が勃発。ちょうど娘の卒業式関連のイベントが目白押しの時期で、電話機をゆっくりセッティングしている時間なんてとれないのだ。なにせ、寝る時間も十分とれず、曜日の感覚がずれるくらい忙しい。一度だけ、木曜日に締め切りの原稿を、間違えてあわてて水曜日に出してしまったこともあるくらいだ。その中でのセッティングである。どうも落ち着かない。

せっかく買ったのだから、細かい設定はともかく、電話を使えるようにだけはしておきたい。それには、子機に電池を入れなければならないのだが、まずはそこでつまずいた。電池を入れるには、コードレス電話機の電池部分のふたを開けなければならないのだが、これが簡単に開かないんである。取扱説明書には、ふたを押して下に引くとあるが、力を込めているが動かない。しばらく、ふたと格闘していた。だが、このふたはまるで「知恵の輪」のようだ。理由はよくわからないが、「押して引く」を繰り返していたら、スコンと簡単に開いた。

画面も見やすい。LCDのコントラストは設定で変えられる

電池が入れば、通話は可能だ。細かいセッティングは後でいいではないか。ということで、日付は1月1日0:00のまま。なんか、しっくりこないけれど、そのまま使い続けた。 前の電話機では、受話音量を最大に設定していたせいもあり、新しい電話は声がよく聞こえにくい。受話音量を上げたいのだが、やり方がわからない。まったく、情けないユーザーである。が、しかし、娘の卒業式が終わったら、時間にゆとりができたので、しっかりと機能を設定できた。次回は、具体的な機能を紹介する。

イラスト:YO-CO