「内食」ブームの背景には、節約したいから外食しないということが一つとしてあるのだが、毎日、家でみすぼらしい食事ばかりしていると心も貧しくなりそうだ。そんなとき、簡単で豪華な雰囲気を楽しめるIHホットプレートは頼れる調理器具だといえる。

IH調理器具の特徴はキメの細かい温度設定が可能な点にある。これは何より、お米料理で実力を発揮する。お米を炊くときは、最初は熱く高温で、次は中火、最後はちょろちょろと弱火にするのが理想だ。これは、従来のサーモスタットで温度制御していたホットプレートよりも、細かく設定できるIHのほうが得意とする分野である。そこでパナソニックのIHホットプレート「KZ-HP2000」の実力を試すため、パエリアに挑戦してみた。

IHホットプレート「KZ-HP2000」

まずは、200℃に設定して、チキンにエビ、イカ、あさりと次々と炒め、具材を取り分けておく。肉、魚介類、野菜と、一通り具材が炒め終わったら、硬いままの米をホットプレートで炒め、スープを投入。あとは温度を230℃→140℃→90℃と変えて加熱して終了。簡単だけど、味はかなりおいしい。見た目もレストランで食べているものと変わらず豪華だ。パエリアは華やかだし、味もよく、節約がみじめにならない「内食」メニューだといえる。

パエリアづくり。炒めた米にスープを注ぎ、後はふたをして温度を設定する。魚介類をふんだんに使えるのも「内食」だから

子どもの「すぐ食べたい!」に応えてくれる

ところで、話は変わるが、従来のシーズヒーター式ホットプレートを使っているとき、不満に思っていることがあった。それは余熱時間が長いことだ。パナソニックのデータをひかせてもらうと、230℃設定の場合、シーズヒーター式ホットプレートでは予熱完了時間が約11分も要していた。その点、KZ-HP2000はIH加熱だから高火力、立ち上がりが早いのである。なんと、余熱時間は約5.5分。従来の半分くらいの時間ですむ。

鉄板焼き。高火力でおいしく焼ける

鉄板焼きをするとき、ホットプレートの前で、「お腹がすいた」と訴える子どもに、「プレートが熱くなるまでもう少し待ってね」、となだめた経験のある親は少なくないだろう。子どもがいる家庭では、余熱時間短縮はうれしいことなのである。

さっそく、鉄板焼きをしてみた。従来のシーズヒーター式のホットプレートはサーモスタットで温度を制御しているので、熱くなるとカチッと音がして加熱が切れる。IHの場合は、より細かく温度制御ができるので、火力は安定している。牛肉を買って焼肉をするのもいいが、意外とチキンが安くておいしく、おすすめである。

ずーっと前、母と一緒に行った高級レストランで出されたチキンは表面の皮がカラッとしていて、中がジューシーだった。家のフライパンで焼いたものは、ここまできれいに表面が仕上がらない。素揚げしているのかとも思ったが、店の人に聞くとグリルしているだけだという。私はずっと、あのレストランで食べるチキンの味が家でもできないものかと思っていた。IHは火力が高く、安定しているせいだろうか。チキンを焼いてみると、レストランで食べたのと同じように表面がカリッと中はジューシーに焼きあがった。安いのにおいしい。驚きである。

使い勝手への気配りも十分

このコラムでは、以前IHクッキングヒーターを紹介したことがある。そのとき、IH調理器の魅力を存分に味わった。何がいいかって、汚れ拭きがラクである。IHは上面が平ら。だから、さっと拭くだけで、汚れが落ちるのである。KZ-HP2000も同様、表面を拭くだけで、汚れが落ちる。

IHの部分はラクなのに、プレートの手入れは、取扱説明書に「食器洗い乾燥機には入れない」と書いてあった。この時点でぐうたら主婦はかなりがっかりしたのだが、プレートを洗ってみると、表面のコーティングのおかげで、汚れはスポンジでサッと落とすことができた。実に簡単である。

その他、便利な機能は、従来品にも搭載されている「味しみこみ」コース。煮物のおいしさを決めるポイントはいかに味が素材にしみこんでいるかである。煮たあとすぐに器に盛らないで、少しおいておくといい。おいしい煮物を作りたいのなら、煮くずれせず、味がしみこむ「味しみこみ」コースを選択するといい。

もうひとつ、利用していて気付いたのは、音が静かであること。「静音設計」が施されていて、最小では約33dBになっている。そのほか、時間の経過がわかる「カウントタイマー」、設定時間にあわせて自動で切れる「切タイマー」など、便利な機能がついている。

パネルが横側についている

使い勝手のよさも細かいところで配慮が行き届いている。我が家は娘と二人で夕食をとるので、我が家の卓上IH調理器を使用するときは、電源のオンオフスイッチや温度設定のパネルは私の前に来るように向けている。でも、大人が複数いる食卓は、みんながパネルに手が届くと便利だ。KZ-HP2000はパネルがサイドに付いている。したがって、自分も向かい側の人も両方ともが設定に手が届くようになっている。

価格はマイコミジャーナル価格情報(2009年12月22日現在)で、19,500円~34,800円となっていた。KZ-HP2000はプレートと鍋がセットの商品だ。IH対応鍋は持っているからいらない、プレートのみでいい、という人は「KZ-HP1000」(プレートのみで鍋がつかない)がおすすめだ。こちらは15,500円~25,800円である。このほか、別売のてんぷら鍋は1554円~3150円、たこ焼きプレートは2415円~3150円で出ていた。用途ごとに上手に組み合わせると、収納と支出を抑えるという両方でメリットが出てくる。

イラスト:YO-CO