10月になった。この時期になると、ちょっとだけ幸せを感じさせてくれるものがある。それは「赤」。何の赤かというと、自動販売機の表示の赤い文字だ。冷え症の女性にとって、この「温かみ」が増える現象がうれしいのである。暑がりの人にとっては、どうでもいいことなのかも知れないけれど。

缶コーヒーは便利だ。カイロにもなる。寒くてしょうがないときは、1缶買って、ポケットに入れる。手で缶を握りながら、温かさに感謝するのである。この缶コーヒーがもたらす幸福感は、何度味わってもいいものだ。しかも、かじかんだ手が少しだけ温かくなったころ、缶のふたを開け、少しだけぬるくなったコーヒーを飲む。これって、お寿司屋さんで出されるアイスクリームみたいに、最初はなくてもいいのにと思うのだけれど、口に入れるとおいしくて、幸せな気持ちが倍増するものなのである。

手が届くところに置ける電子適温ボックス「HR-D204B」

しかしながら、この幸せを家で味わおうと思っても、いつでも再現できるものではない。自動販売機で缶コーヒーを買った場合、家で放置しておくと冷たくなってしまう。冷蔵庫などに入れてしまったら、飲もうと思う頃にはほどよく冷えていて温かさはどこにもない。あの幸せがいつでも自宅で味わえたらどんなにいいだろう。ということで、この時期欲しくなるのが、温め機能のある保温器だ。電子適温ボックス「HR-D204B」は、5℃の保冷と55℃の保温、そして15℃の保存の3つが選べて設定できる。缶ビールや冷たいお茶などは5℃で、温かい缶コーヒーや缶入りのポタージュを飲みたいなら、55℃に設定すればいい。

コンパクトだけど機能はしっかり

幅はわずか22.5cm、奥行き32cm、高さが38.5cmとコンパクト。ちょっとしたすき間に置けてしまうのである。しかも、特徴的なのは、上向きに置くこともできる点だ。ホームパーティなどのみんなが集まる場では、上向きに置いて飲みたい人が飲みたいものを自由に取り出せるようにしておくといいかもしれない。

上向きに置いてみた ※左は扉を開いたところ

350mlのペットボトルは立てられる

さっそく使ってみた。常温から庫内が温かくなるまでに、1時間以上を要し、さらに缶コーヒーが熱くなるまでには、おおむね数時間かかる。中に入れた缶コーヒーの数や温度によって、温まるまでの時間には違いがあるが、すぐに熱いコーヒーを飲みたいのなら、缶をあけてコーヒーをマグカップに移しチンしたほうが早い。でも、前日から、この電子適温ボックスに缶コーヒーを入れておき、ぐびっと飲んで幸せ気分に浸る。これが最高なんである。

置き場所を選ばないので、仕事しているすぐ横に置いてもいい。飲みたいときに手を伸ばせば、わざわざキッチンまで出向いてコーヒーを入れる手間も省ける。使い方はそれぞれ、自由なのだ。

ところで、55℃というと、低く感じる方もいるかもしれない。でも、触るとアツアツ。自動販売機と同じように、手で囲むとカイロのように温まる。これ以上熱かったら、むしろやけどしてしまうだろう。55℃がちょうどいいのである。

意外と使える常温モード

ただし、この適温ボックスには難点が一つある。大きさが小さいのはありがたいのだが、そのせいでたくさんのものが入らないのである。ペットボトルは500ミリリットルの大きさのものなら入るが、1リットルのものは入らない。缶コーヒーは200ミリリットルものが10本(詰めすぎはよくないので8本が理想)、350ミリリットルの缶ビールなら6本が限界だ。さきほど、ホームパーティにいいなどと書いたが、大勢の人を呼ぶパーティには残念だが向かない。それも仕方ないことだろう。部屋に置ける保冷保温ボックスが欲しい、キッチンに行かずに飲み物を得たいなどと、要求の多いぐうたら主婦。そのうえたくさん収納できるのがいいというのは、いささか欲張りすぎだろう。どうせ一人でそんなにたくさん飲めるわけでもないし。このくらいがちょうどいいのである。

設定温度は5℃、55℃、15℃の3つ

温かいコーヒーをどうぞ

この適温ボックスの設定温度は3種類。「5」「15」「55」という数字の上にランプがあり、設定されている温度が点灯するようになっている。ただ、私はこの設定に対して疑問があった。保冷5℃と保温55℃はなくてはならない。でも、真ん中の15℃に意味はあるのか。あったとしたら、どのような使い方ができるのか。そもそも、5℃と55℃の二種類で十分、15℃は不要なのではないかしらと思っていた。そこで、取扱説明書を読んでみる。すると、〈化粧品の保管に適しています〉と書いてある。なるほど。化粧品などの多くは保管に関して、「暗所への保管をお勧めします」とか、「直接日光のあたる場所、高温多湿の場所、温度変化の激しい場所を避け、常温の室内に保管してください」といった注意書きがある。今使っている化粧水もそうだ。でも、出し入れが面倒だから、ぐうたら家では化粧台の横に出しっぱなしにしている。そんなとき、この適温ボックスを収納庫として利用すれば、暗所への保管ができるわけだ。

この適温ボックスは飲み物の保冷器、保温器として利用するのもいいが、中に入れるものはなにも飲み物だけとは限らない。冷所に保管しておきたいものを収納する箱としても利用できる点がユニークだ。

価格はマイコミジャーナル価格情報(2009年10月16日現在)で8,280円~26,500円、平均は16,000円になっていた。お小遣いでちょこっと買える価格。手頃である。部屋で温かな缶コーヒー。ここに幸せを感じる人にはぜひおすすめである。

イラスト:YO-CO