新型インフルエンザのおかげという表現には不適切な匂いが漂うが、ともかく売れている三洋電機の加湿空気清浄機。前回、目玉となる要素、電解水技術について解説した。新型インフルエンザまで、抑制してくれるのだから、頼りになるヤツである。

「三洋電機が最初に電解水技術を利用したのは、自動販売機の洗浄でした」
このように語るのは、三洋電機 コンシューマエレクトロニクス 家電商品企画部の新 秀樹(あたらし・ひでき)氏だ。自動販売機、洗濯機、エアコン、加湿器に空気清浄機。三洋製品のいろんなものに電解水技術は利用されている。どこがそんなに魅力なのかという問いに新氏は次のように答えた。

薬剤を使用せず、水道水を利用する「電解水」は、人や環境にもやさしいという

「電解水は一般の家庭の水道水を利用して生成される。日本では、蛇口をひねれば水が出てくるわけで、水道水はたいていの家にあるものです。薬剤みたいに、ドラッグストアに行かなくても簡単に手が入るところがメリットの一つ。くわえ、安全性への要求を満たしていることが強みでもあります」。ABC-VWK14Bなどの加湿空気清浄機は、ミストを部屋中に噴霧する。私たちはそのミストを吸うのだ。安全なものでなければならないのは言うまでもない。電解水はすでに野菜の洗浄などにも利用されているという。

電解水に含まれる活性酸素種が有機物を分解してくれて、安全。だれでもが簡単に手に入る水を利用していて、特別な薬品などを用意する必要はない。そう考えると、電解水技術は搭載できるものには、何よりも搭載したい、となるのもよくわかる。

加湿フィルターが新しくなった

さらにABC-VWK14Bでは、加湿フィルターが従来機種と比べて進化した。これまでは、ディスクといって円盤状のものが利用されていた。交換は不要だったけれども、一枚ずつフィルターを外して洗うのが大変だった。今回のABC-VWK14Bでは、丈夫で保湿性の高い素材を利用している。簡単に着脱できて、手でもみ洗いできるのもいい。二重になっていて、しかも丈夫。交換は10年間不要だ。

この新しいフィルターがすごいのは、除菌スピードが速いところだ。何と従来品よりも1.5倍ものスピードで除菌してくれるという。そしてもう一つ、強くなったのは脱臭機能だ。カーテンや衣類に染みついたニオイの脱臭についても、力を発揮する。脱臭強度という基準があるのだが、これが3.8から2.5と低下している。三洋電機によると、この値が1下がると、ニオイを感じるのが90%下がるといわれている。1.3も下がったのだから、相当脱臭は効いているといえる。

保湿性の高い新フィルターを採用

いたずら防止のために「チャイルドロック」機能も装備する

まだまだ、加湿空気清浄機ABC-VWK14Bには新機能がある。光センサー搭載なんである。光を感知するとどんないいことが起こるかというと、運転モードを変えることができるのだ。部屋が真っ暗になったら、少なくともそこにいる人は寝ているはずだ。暗くなるとABC-VWK14Bは運転モードを下げて「おやすみ自動運転」に入り、睡眠の邪魔をしないようにしてくれるという。しかも、省エネにもなるので、おトクな機能でもある。

集団感染の防止も必要

前面にフィルターを装備

家電製品を選ぶとき、サイズは大きなポイントだ。せっかく魅力的な製品でも、大きすぎて、部屋にはそぐわないものもある。家電は大きければいいというものではない。とくに床に置くタイプの空気清浄機は小さなほうが部屋を広く使えて便利だ。でも、その大きさを比較するとき、単にスペックを比較するだけでいいのか。ほかにも考慮すべき点が実はある。

このABC-VWK14Bがもつ、主婦にとってうれしいところは、前面にフィルターがある点だ。フィルターの位置によって、そんなにうれしくなれるのかと思う方もいるだろう。前面にフィルターがあるということは、背面にはフィルターがない。つまり、後ろから空気を取り込まないので、背面を壁に近付けて設置することができるのだ。せっかくコンパクトサイズの加湿空気清浄機でも、壁から大きく前に出さないと使えないのでは、部屋が狭くなってしまう。だから、縦、横、奥行きの寸法だけでなく、壁からどのくらい離れて設置させるのかまで、しっかりと確認してから買いたい。

奥行き205mmで、床置き・卓上兼用となっている

ウイルスを抑制してくれるのはいいけど、子どもは学校や塾で感染することが少なくない。だから、個々の家で加湿空気清浄機を運転させても意味がないのではないか、という人もいるかもしれない。結局は公共の場での集団感染を防がなければならないのだ。そこで、11月にはウイルスウォッシャー機能を搭載した大容量タイプの加湿器「RH-VWX12C」が登場する。

加湿空気清浄機ABC-VWK14Bの価格はマイコミジャーナル価格情報(2009年9月11日現在)で、31,300円~38,800円になっている。子どもの健康のためなら高くないと感じる人も少なくないだろう。とくに、受験生をお持ちの家庭は、あと何カ月かで受験シーズンに突入だ。子どもが学校や塾でインフルエンザに感染してしまえば、防ぎようがないけれど、とりあえずは備えておきたい家電の一つだといえる。ちなみに、11月1日に発売される大容量加湿器は94,500円。ぐうたら家はさほど広くないので大容量は不要だが、塾や病院などで利用してもらえると、安心である。