エコポイントの盛況ぶりを、以前こちらのコラムで紹介したことがある。7月は天候不順のため、エアコンの売れ行きがいまひとつだったらしいが、それでも開始した時までさかのぼれば、エコポイントに背中を押されて対象商品の購入を決断した人は少なくない。最近、何かと「環境」に関する話題を耳にすることが増えた。ここ何ヶ月かで、私が取材させていただいた企業などを思い浮かべてみてもそうだ。「風力発電」「炭素繊維」「バイオ燃料」「排出量取引」など環境関連が圧倒的多数だ。その中で、ぐうたら主婦が以前から着目していた商品で、ある理由から実際に我が家で使ってみたいと願っていたものがある。

それはLED電球で、「次世代照明」などともてはやされている。何が次世代なのかというと、従来の白熱電球と比べて消費電力が圧倒的に少ないことが一つ。電球の中でも、白熱灯は蛍光灯と比較して消費電力が多いため「悪者」扱いされているフシがある。その点、LED電球は省エネに加えて、一般の電球に比べて寿命が長いことからゴミ削減にも貢献。環境性能でみると優等生なんである。使う側としては、電球交換の面倒が少なくてすむというメリットもあり、天井灯や階段灯などの高い場所、電球の交換が容易ではないところに向いているという特徴もある。ただし、難点は価格。家庭用のものも売り出されていたが、1万円を超える高級品ばかり。一般家庭にとって、家中の電球をLEDに換えようというのはいささか無理な話であった。

低価格のLEDで身近に

日本のメーカーってすごいと思う。便利だけど高くて買えない商品も開発を重ね、必ず価格を下げて、私たちのもとに提供してくれる。LED電球もそうだ。ここに来て、価格が従来の約半分以下のものが売り出されるようになった。今回紹介する東芝ライテック「E-CORE(イー・コア)」LED電球一般電球形6.9Wは従来のLED電球よりかなりの低価格。近所の家電量販店に足を運んでみたら3,880円で出ていた。従来品の価格から比べたら驚きである。

「E-CORE(イー・コア)LED電球」一般電球形6.9W

しかも、LEDの特徴である省エネ、長寿命もそのまま。寿命は40,000時間、一般電球の約40倍だという。ということは、一般電球の価格は百円ちょっと。LEDは40倍もの寿命があるのだから、4,000円でももとが取れる計算になる。しかも、面倒なランプ交換の手間やゴミ出しの苦痛も減る。そう考えると、断然、お得な商品だといえる。しかも、消費電力は8分の1(同社ホワイトランプ60W形「LW100V54W55」比)、電気代がお得にもなる。この不況下、少しでも電気代を減らしたいと願う主婦は少なくない。LED電球購入にかかる初期費用の負担はあるが、長い目で見たら損はない。

従来の白熱電球。部屋の隅々まで明るい

ただ、私がLEDを実際に我が家で使ってみたいと思ったのは、明るさがどうなのか気になっていたからだ。ショールームで見るLED電球は、セッティングに工夫があるから、明るく見える傾向にある。それは、ブティックの試着室で来たワンピースがとても似合って見えるのと同じだ。店員の「お似合いですわ、すてき~」の声と、適度に暗い照明にだまされて購入してしまう。ところがだ。家に帰って着てみたらガッカリさせられたということは多くの女性が経験しているのではないだろうか。敵地(お店やショールーム)で感じた商品の魅力は、疑ってかからなければいけない。見た目を鵜呑みにしてはいけないのだ。

明るさの秘密は形状に

そんなわけで、我が家で試してみた。ここなら、店員の甘い声も何もない。LED電球の実力が試せるのだ。取り付けに当たっては、特別LED用の照明器具を購入する必要はない。従来の照明器具にそのまま工事なしで取り付けられる。色は白熱灯のような温かみのある色「電球色相当」と、蛍光灯に近い白い色「白色相当」の二種類。最初に、電球色相当を取り付けた印象では、大きくLEDが暗いという感じはなかった。宣伝文句の「6.9Wは一般電球の60W形相当に置き換えられる明るさ」というのに嘘はないと言える。ただし、LEDの弱点は明かりがスポットライトのようになってしまうことにある。一般の電球は点灯したら、部屋の隅々まで同じように明るく照らす。LED電球はスポットライトのように直下は明るいのだが、部屋の隅になると暗くなってしまうと言われていた。たしかに、明かりの真下と少し離れたところとでは、明るさに差はあった。でも、そんなに目くじらを立てて、暗くなったと批判するほどのものではない。白色相当も同様だ。そんなに暗いという印象はなかった。

白熱電球のような色合いの「電球色相当」。比較すると部屋のすみは暗くなる

蛍光灯のような色合い「白色相当」。比較的明るく感じられる

それには、理由がある。東芝ライテックの方によると、このE-CORE LED電球一般電球形は形状に明るさの秘密があるという。よくよく見ると、コーンにのったアイスクリームのような形をしている。さらに、注意深く眺めると、電球とアルミ台の境目にくびれのようなものが入っている。これらは白熱電球と同じように光を発散させるための工夫なのだという。どうしても、従来のものだとスポットライトのようになってしまう。そこで、形状を工夫することで、光を方々に拡散させて、部屋の隅々にまで明るさがいくように設計したという。さすが、家庭用LED電球の老舗、東芝ライテックである。技術の蓄積が違う。

従来の白熱電球と比べて、電球の形と電球台が異なる

今回の家庭用LEDは我が家の電球では、娘の部屋の照明に合うサイズのものだった。私の部屋の照明は、もっと取り付け口が小さなタイプのもので、今回の電球は大きさが合わない。今後、さらにたくさんのラインアップを期待している。できれば、家中の照明をLEDにしてしまいたい。電気代は安くなるし、あの面倒なランプ交換の頻度が少なくなる。これは魅力である。