世の中には、お金に恵まれている人もいれば、お金に見放されてしまったかのように、いつでもお金がないと口にしている人もいる。ちょっとしたお金の扱い方がわずかな差を生み、やがて大きな違いとなって現れてくるのだろう。では、その違いとは何か、どこにあるのだろう。

以前、お金持ちといわれる方数人に、お金や仕事に対する考えをおうかがいしたことがある。インタビューの結果を分析して、金運のいい人の共通項を洗い出してみるという企画だった。お金持ちに共通することって何か。調べた結果は比較的納得のいくことが多かった。中でも、もっともうなずけたのは「お金」「お金」と貪欲にならないこと。これが意外とお金に好かれるポイントなのである。お金が欲しいと、少しでも自分の取り分を多くしようとしてしまいがちだ。ときには、人と争うとか、ずるいことをしてしまうとか、よろしくない行動に出てしまうこともある。そうではなく、まずはしっかりとやるべきことを懸命に実行してみる。そうすれば、自然と利益は後から付いてくる、ということなのだ。

そのほか、お金が大事だからといって、ケチケチしすぎてまったく使わないのもあまりいいことではないようだ。適度にお金を使うと、使われた相手が潤う。みんなに利益を分ける姿勢がいいのである。とはいえ、おうかがいした人数は数人だし、結論はあくまで仮説の域を出ていない。が、意外と周りを見渡すと当たっているような気がする。

全硬貨対応、遊び心のある貯金箱

そして、もう一つ共通項があった。それは「サイフに小銭をたくさん入れない」ということだ。私がお話をうかがった人は全員、サイフがすっきりしていた。小銭がほとんど入っていないのである。
「小銭でサイフがパンパンになるのがイヤで、コンビニでもらったお釣りは寄付の箱に入れてしまう」
中にはそんな人もいた。お金を独り占めしないで、お金を必要としている人に分ける。寄付した分だけ自分のお金は減ってしまうが、このような考え方をする人のほうがあとから入ってくるお金は大きくなるのかもしれない。

「電車銀行」山手線。中央線や新幹線バージョンもある

そんなわけで、私も小銭をサイフに貯めないことにしたのである。コンビニで買い物をするときは、娘がユニセフなどの募金箱にお釣りを入れている(ただし、50円玉以下だけ)。それでも、小銭でサイフが膨らむことがある。なので、一日に一回、財布の小銭を貯金箱に入れたいと思っていた。しかし、家にある貯金箱は小さくて、すぐ満杯になってしまうのだ。大きい貯金箱が欲しい。さらには、できればお金を入れるたび楽しい反応が返ってくるものがいい。お金を入れることがちょっとした快感につながれば、たくさんお金が貯まるような気がしたのである。

上面からお金を入れる。1円玉から500円玉まで対応

お金を入れるのが楽しい貯金箱の代表格といえば、「人生銀行」が挙げられる。これはお金を入れるたび、人生銀行の中の住民の人生が変わっていくという物語性のある貯金箱だ。トレンド系の雑誌で、2007年度ヒット商品25位に選ばれたので、ご存じの方も多いだろう。しかし、人生銀行の難点は500円玉しか入れられないことである。私は1円玉も5円玉も、硬貨なら何でも入れられる貯金箱が欲しいのである。

細部までこだわった臨場感

楽しくお金を貯められて、全硬貨が入れられる貯金箱を探した。そこで、見つけたのがタルガの「電車銀行」。サイコロ型の電車がかわいい、車両の形をしている貯金箱だ。お金を入れるたびライトが点灯し、駅で流れるメロディが鳴るのである。品川駅の「せせらぎ」、渋谷駅の「花のほころび」、上野駅のベル音など、6種類のメロディが用意されている。仕事でよく使う駅のメロディを耳にすると、ドアが閉まる前に乗り込もうという気持ちになってしまうのは私だけだろうか。「駆け込み乗車はおやめください」のアナウンスこそ流れないが、まるで駅にいるようなリアルな感覚になることは確かだ。それもそのはず、メロディは原盤使用。本物を使っているから、臨場感たっぷりに聞こえるのだ。ランダムに曲が選択されるので、次は何の曲が出てくるのか楽しみになってしまう。娘はわざわざ一度入れたお金を取り出して何度も入れて遊んでいる。「光った」「鳴った」の快感がクセになるのである。

お金を入れるたびライトが点灯

裏面のドアはスライドさせて開閉する

リアルな感覚にさせてくれるのはメロディの音だけではない。車体のプリントに、「クハ E231-501」「東トウ」といった表示まで再現している。このような細部にまでこだわるところはさすがだ。運転席の計器もしっかり作られている。 満杯になると、入れる硬貨の種類によって異なるが10万円前後貯まるという。いっぱいになったら、何を買おうか。考えるのも楽しみである。

お金は裏側のドアを開けると取り出せる

細かい文字にもこだわりが

私の周りには、「鉄道が好き」という人が少なくない。いわゆる「鉄子」という女性の鉄道マニアもいる。彼女は日本全国くまなく旅して回るのが好きなようだ。そういえば、私はマニアというほどではないが、小さい頃はプラレールで遊ぶのが好きだった。親にねだった記憶はないが、なぜだか家にはNゲージもあった。だからなのか、この「電車銀行」にとても親しみが湧くのだ。鉄道が好きという人には特におすすめしたい「電車銀行」。価格はマイコミジャーナル(2009年3月20日現在)で3,880円~5,197円となっていた。単4形乾電池3本は別売、自分で用意する。山手線のほか、中央線のバージョンも出ている。選ぶにあたっては、通勤沿線でないほうを求めたほうが正解かもしれない。メロディがリアルだから、ついつい仕事に行くときの少しでも早く目的地に着きたいという、急いた気分になるのである。

イラスト:YO-CO