デジタルカメラ・xiao(シャオ)「TIP-521」。プリント機能がついたカメラである。売り出しているのは玩具メーカー。だからといって、おもちゃのカメラだろう、などと侮ってはいけない。こんなことまで、できるのか! などと驚いてしまう機能もある。かといって、さすがおもちゃのメーカー、タカラトミーだ。使いやすさや楽しさも忘れない。いい意味で、シャオは危ない。さわっていると、面白くって、やめられなくなってしまうのである。

機能を使い出だすと楽しくて止まらない

何にハマるのかといえば「プリント・編集」機能だ。撮った写真をただ印刷するだけでなく、加工するのが楽しいのである。私が最もおすすめしたい機能が「フレーム」。5種類のフレームが用意されていて、好みのものを選べるようになっている。「新聞」では、空いたスペースに見出しをいれ、下の部分に文を入れても面白い。

デジタルカメラ xiao「TIP-521」 ※iPodとの大きさ比較

フレーム機能の「新聞」による画像 ※「モザイク」のエフェクトをかけた状態

ただし、写真のような「新聞」フレームを選択したとき、右側のワクの部分にうまく被写体を収めなければならない。また、普通に撮影する写真も被写体が左右片方に中途半端に寄っていると納得できる写真に仕上がらないこともある。そんなときは、「照準撮影モード」をオンにしておくといい。新聞フレームの場合、画面に表示された右中央のワクのなかに、被写体が入るようにしてシャッターを押すと、顔が半分隠れてしまうようなこともない。そのほかコメントを入れられるフチありの印刷をしたいときも、照準撮影モードは便利だ。

繰り返しになるが、このカメラの特徴はプリントができることだ。もちろん、1枚だけ普通にプリントすることもできる。が、1枚のシートを1/2/4/8/16/32/64で分割してプリントすることもできる。4を選択したら、印刷したい画像が上段2つに下段2つ、合計4つ印刷されてくる。

さらに楽しいのは、シャッフル機能だ。すでに撮影した写真の中から、シャオが12枚、ランダムに画像を選んで1枚のシートにプリントしてくれる。シャオが選んだ写真は画面に表示されるので、気に入らなかったら、「OK」ボタンを押す。すると、別の写真を選び直し、再度表示してくれる。何度、「OK」ボタンを押してもシャオは機嫌を損ねることはない。なんて、健気なカメラなんだ! 何回かシャオにダメだしをした末、気に入ったものが出てきたらそれを選ぼう。シャッフルした画像がプリントできる。

1枚のシートに4つ印刷

「セピア」のエフェクトをかけたもの

シャッフル機能はもう一つある。シャッフル2という機能は、4枚の画像を3種類の大きさで組み合わせて1枚のシートにプリントするというものだ。こちらも、「OK」ボタンを押して、納得いく組み合わせを選択できる。

大きさは普通のデジタルカメラよりもプリント機能がある分、やや大きめ。だが、一眼レフカメラよりは小さく、重量も軽い。4倍のデジタルズームを装備しているので、画面を眺めながら、拡大・縮小を調節してシャッターを押す。ズームとは別に、フォーカススイッチまでもついている。近距離(60cm~145cm)の時は「標準」を選択。風景などの145cmよりも遠い被写体を写したいときは「風景」を選ぶといい。

撮影した風景などにエフェクトをかけるのも楽しい。写真は「セピア」のエフェクトをかけたもの。このほか、白黒、ネガ、カットアウト、スタンプなどがある。モザイクも遊ぶと楽しい。娘と一緒になって、撮った写真にモザイクをかけるのである。「こんな写真ができた!」などと、親子で「キャッキャッ」と騒ぎながら作っていく。かなり遊べる。

ケータイの画像もプリントできる

ここまでできるのか! とびっくりさせてくれる機能に「赤外線通信」がある。携帯電話のカメラで撮影した写真を赤外線通信によってシャオが受信するという機能だ。シャオには赤外線ポートがついている。送り側のポートと合わせることで、相手の写真画像を受けることができる。4MBを超える容量のデータは受信できない。が、携帯電話で撮った写真こそ、プリントアウトせずに消えていく運命にあるものだといえる。なかには、ブログにアップして日の目をみる画像もある。が、今、ケータイに入っている写真画像のほとんどは、誰にも見られることなく機種変更とともに消えていくのだろう。そんな画像たちもプリントアウトの機会を与えてあげるべきなのだ。こちらの機能は携帯電話の機種や画像のサイズに制限があるのであらかじめ確認が必要だ。

フタをあけたところ

プリント用紙は専用の「xiao ZINKフォトペーパー」をセットする。1パック10枚入りだ。セットはフタをあけて、10枚の紙を所定の位置に方向を間違わないようにして入れるだけ。電源は充電式バッテリーを利用。何度でも使える。

価格はマスコミジャーナル価格情報(2009年1月31日現在)で、24,300~65,455円。ペーパーは専用のものが780~880円(10枚入り1パック×2)だ。本体色はブラック、マゼンダ、マリーンの3色。カメラ部有効画素数は500万画素。ホワイトバランス、露出修正などの設定やセルフタイマー、サイズ、日付スタンプなどの機能もついている。カメラとプリンターの両方でこの値段、プリンターに必要性を感じている人には、高くない価格だといえる。

ライターになって、仕事で写真を撮るようになった。そこで初めて、写真って撮るのが楽しいと思えるようになった。そして何より、娘と加工して遊ぶのって、とても楽しいのである。

イラスト:YO-CO