前回のカレーでの失敗を踏まえ、今回はナショナルの電気圧力なべ「SR-P32A」で骨まで柔らかな煮魚を作ることにした。魚では成功をおさめたいところだ。さっそく、小ぶりのいわしを4尾ばかり買ってきた。頭を切ってワタを抜く。臭みを取るため、いわしと一緒に梅干を2つ鍋に入れる。高圧モードで10~15分に設定してスタートボタンを押せばおしまい。煮魚も簡単だ。

ところで、この圧力鍋には取り外しのできるパッキンが付いている。このパッキンがないと空気が漏れて鍋の圧力が高くならないのだが、スタートボタンを押した後、セットし忘れたことに気づいた。おっと危ない、今回も失敗するところだった。気を取り直して、セットし直しスタートボタンを押した。

出来上がった魚は骨まで柔らかかった。娘は美味しいと喜んだ。やっと、上手くいったのだ。煮魚に成功したぐうたら主婦は、すっかりいい気分になり、次はたけのこ入り玄米炊き込みご飯に挑戦してみた。搭載されている玄米モードに設定しておくと、自動で鍋が玄米に最適な圧力にコントロールしてくれるという。蒸らしまで終わると、ブザーで教えてくれる。後は、ふたを開けてほぐすだけである。

いわしの梅肉煮。梅干が魚の臭みをとってくれる

圧力鍋で出来上がったところ

野菜好きになる方法

煮魚、ご飯と成功したのだから、やはり煮込み料理でひとつ勝ちを取っておきたい。そこで、ポトフを作ることにした。ポトフはルーを使わないので、味付けの調整がしやすい。水を多くしてしまったときは、塩とこしょうを増やせばいいのだ。

ポトフを作りたかったのには、煮込み料理という理由のほかにもう一つわけがあった。子育てをしている親の中には、「ウチの子は野菜が大好き!」と言い切る人を見かける。うらやましい限りである。以前にも書いたが、娘は野菜が苦手なのである。

野菜嫌いの娘にも好評だったポトフ

随分前になるが、私は友人達と野菜料理を出すレストランに行ったことがある。トマトやキュウリだけでなく、ナスまで生で食べさせる店だ。素材が新鮮だから、生ナスが美味しいのである。れんこんやたまねぎを鉄板で炒めたものも美味だった。同席した中の一人は子どもを連れ家族でこの店に来ると言っていた。私も娘を連れて、この店に来たいと思った。こんなに美味しい野菜を食べたら、たちまち娘は野菜好きになるだろうと思ったのだ。しかし、私の提案は即却下され、娘の野菜嫌いは続いた。

そんな娘も給食のおかげで少しずつ野菜を食べられるようになった。野菜好きではないが、口にできるものが増えたのだ。そこで、ポトフの柔らかな野菜を食べさせたら、以前よりも野菜が好きになるのではないかと私はもくろんだ。
「このニンジン、舌でとろける~」
娘の感想はとても良かった。やはり美味しい野菜なら、誰でも積極的に食べるのだ。野菜嫌い解消は美味しい野菜を食べさせることなのである。この調子なら、野菜料理のレストランに娘と行く日も遠くない。

子育てはラクではないけれど

この圧力鍋の魅力は時間の節約というよりは、柔らかい野菜や肉、魚料理を作れるところにあると思う。しかも、火加減などの心配も不要。水の量など、最初の設定を間違わなければ、後は放置しても自動で料理が出来上がるのだ。心をこめた料理を作った後の満足感が手軽に味わえる。なんだか、ズルをしたような気分になるのだが、要領良く時間を使うことに文句を言われるスジ合いはない。オススメである。

米も炊けるので、炊飯器のように使うこともできる。置き場所は炊飯器と同じくらいのスペースがあれば大丈夫だ。お手入れは、取説に詳しく書かれている。むずかしいことは何もない。

玄米炊き込みご飯。たけのこと油揚げとの相性がいい

調理時間は正確に言うと、トータルではそんなに短くはならない。確かに、鍋が素材に圧力をかけている時間は3分、10分などと短い。でも、鍋の中の圧力が高くなるまでには、10分くらい別の時間がかかる。さらに、圧力をかけ終わった後に、圧力ピンが下がるまで待っていなければならない。ポトフなら、鍋の中が高圧になるまで10~15分、圧力時間は高圧モードで20分、圧力ピンが下がるまでに10~20分。最長で55分かかる。通常の調理よりも時間が短くなることはあまりない。でも、圧力鍋を使わなかったら、これほどまでに柔らかく煮るには3倍は時間がかかるだろう。そういう意味での時間短縮は期待できる。

ナショナル電気圧力なべ「SR-P32A」

どうしても、圧力ピンが下がるまでの時間を少なくしたい人には裏技がある。加圧が終わり、気圧が下がるのを待っているとき、中の鍋だけを取り出して、水につけると良い。そうすると冷やされ、中の気圧はいつもよりも早く下がっていくのだ。

ただし、この方法はオススメしたくない。なぜなら、気圧が下がるまでの時間にも意味があるからだ。この間、鍋の中では、素材に味がしみこんでいるのだ。はやく気圧を下げてしまったら、充分に味がしみこまない可能性もある。時間がかかってもいいから、無理に気圧を下げない方がいい。スタートボタンを押した後は手がかからないのだから、放置しておけばいいのだ。

ところで、前回の最初の質問に戻ってみる。子育てと仕事の両立は大変か? 答えは、大変といえば大変。なぜなら、どっちみち画期的な時間短縮なんて存在しないのだから、時間がかかるものはかかる。でも子どもは可愛いし、子どもから学ぶことは沢山ある。だからこそ多少大変な部分があったとしても、私は子どもがいてよかったなと思うのだ。

イラスト:YO-CO