「Sleeptracker PRO」(スリープトラッカー・プロ)は目覚まし機能がついた腕時計である。睡眠中に「ほぼ起きている状態」を検知する機能を持っているのが特徴だが、それだけではない。睡眠の中で、「いつほぼ目覚めている状態を検知したのか」というデータを表示してくれるのがもうひとつの特徴だ。しかも、そのデータをパソコンに取り込むことができる。

睡眠と精神状態には関係があるといわれている。ストレスがかかる、心配事がある、といったことが原因で、良く眠れなかったという経験をお持ちの方は多いだろう。以前、私は聖路加国際病院の心療内科を取材させてもらったことがある。先生はうつ病の症状のひとつに睡眠障害をあげていた。もちろん、人によってばらつきはあるので、うつ病=睡眠障害ではない。が、自分がぐっすり眠れているのかどうか、自分の睡眠を意識しておくことはメンタルヘルスの面で大切なのだろう。

【写真1】パソコンに表示される画面

Sleeptracker PROを使って、自分の睡眠データをパソコンの画面に表示してみた。写真1のような画面が現れる。6月3日(火)を見てみると、「TO BED」が午前1時。アラームの時刻は6時30分に設定してある。Sleeptracker PROが私の睡眠状態を検知して、アラーム音を鳴らしたのは6時10分である。

縦に小さく刻まれているのが、私がほぼ目覚めている状態になった時刻だ。5月24日なら、2時23分、2時35分……、と全部で7回あった。取説によると、重要なのは、ほぼ目覚めている状態を一晩のうち何回迎えたかということ。その間隔が長ければ、ぐっすり眠れているのだという。写真1の右のほうにData Aという欄がある。これはほぼ目覚めている状態の平均間隔を示す。だいたい20分~35分とされているが、人によってばらつきがあるようだ。私は20分台が多いが、ときには52分という時もあった。

睡眠は正直だ

睡眠の間隔が狭かったのは、5月30日(金)のデータだ。つまり、睡眠は29日(木)の夜。29日何かストレスになるようなことがあったかというと……。思い当たる節があった。実は、このコラム「ぐうたら主婦でごめんあそばせ」の締め切りがあったのだ。通常ならば締め切りの当日は推敲も終わって、若干の手直しをしておしまいということになる。しかし、今回は違った。最初に使用方法を誤り、思ったように睡眠のデータが取れなかったので、製品の評価期間が長引いてしまったのだ。私は時間的には余裕あり、問題ないと思っていたのだが、睡眠のデータを見ると、内心ではプレッシャーを感じていたようである。この週は月、火、木、金に締め切りがあったが、事前に書きあがっていた原稿の締め切り日はぐっすり眠っている。かなり正直である。

時計からパソコンにデータを取り込んでいるところ

注意したいのは、データを取り込む手順である。写真のように、時計の裏面にある穴にクリップ状になった接続部を差し込みパソコンにつなぐのだが、この穴が浅いのだ。つまり、ズレやすい。少しでもズレると、データは取り込めないので要注意だ。また、データを取り込むとき、時計の画面が「Data」表示画面になっていないといけない。ついつい、時刻表示の画面のままでつないでしまうとデータの取り込みに失敗してしまう。

時計についた穴にぴったり差し込まないとデータは取り込めない

さらに注意点がある。データは上書きされてしまうため、パソコンに取り込み忘れてしまうと消えてしまうのだ。面倒くさくても睡眠データを保存するためには毎日パソコンに接続しなければならない。写真1における5月27日のデータがないのはそのためである。

使用上の注意をもうひとついうなら、二度寝が最大の敵である。アラームが鳴った時は目が覚めていても、その後起きられず眠ってしまったら意味がない。いずれにしろ、この時計は睡眠不足を解消するものではない。起きるには自分の意思が必要なのだ。

購入は公式サイトから。Sleeptracker PRO は24,480円。Sleeptracker PROはバイブ機能がついている。アラームを鳴らすとき、設定によってバイブ機能を付けることも可能だ。オンに設定すると、携帯電話と同じようにブルブルと振動が伝わるようになっている。下位機種であるSleeptrackerはバイブ機能とPCへの取り込み機能がない。価格は19,425円である。両者とも睡眠時だけでなく、昼間は時計としても使えるので、便利ではある。

ただし、気になる点が一点。この時計の効果は私自身の暗示によるものかもしれないということだ。以前、取材でお話をうかがった精神科の医師は、暗示の効果がいかに高いか力説していた。私達は「偽薬」の効果について耳にすることが良くある。たとえ効き目が弱い薬でも、ベテランの先生が「この薬を飲むと良く眠れますよ」と言うと、患者はぐっすりと眠るケースがあるらしい。それと同じように、「この時計をすると目覚めが良い」と暗示にかかると本当にスッキリと目覚められるのかもしれない。でも、たとえ暗示でも起きられれば良いと私は思う。早起きは三文の得なのだから。

イラスト:YO-CO