先日、怪しい電話があった。
「不動産の物件を紹介しているのですが、通常価格よりもお安くします」
電話口の男性は私に言った。話を聞くと、物件は自分で住むためのものではなく、投資用のものだという。

前回のコラムにも書いたある経営・経済に詳しい人は、不動産投資に走る人たちの購買行動を見て、バブルの時の繰り返しだと指摘していた。私の遠縁にもバブル経済の頃、投資で不動産を購入している人がいた。その後、どうなったかはご想像の通りである。素人が投資をするときは慎重にならなければならない……などと思いながらも、ぐうたら主婦には随分前から安くなったら買おうと思っていたものがある。それは米ドルである。なぜなら、60歳を過ぎたら長期休暇を取って、ニューヨークに滞在するのが私の夢だからだ。前から行きたいと思っていたライブハウスに行って、音楽を堪能したいのである。

アメリカに行くには米ドルが必要。どうせなら安いときに米ドルを買っておきたい。買った後、円安が進んだら一部日本円に変えれば差益もいただける。などと夢見心地なことを書いたが、いざ出発しようとしたときに1ドル80円くらいになっていたら目も当てられない。為替はリスクが高い。稼ごうと思ったら、地道に本業で働くほうが確実なのは言うまでもない。とはいえ、外貨を買っておきたい気持ちは変わらない。ただし、問題はいつ買うかだ。ここ10年間の円高は1999年の101.25円などがある。今度、101円を切り、99円になったあたりが買いなのではないかと思っていた。

2008年3月13日、ついに安値が99.77円になった。買い時が来たのだ。しかしだ。翌週の3月17日になっても、ぐうたら主婦はドルを買わなかった。なぜかというと、数日間のドルの落ちっぷりを目にしながら、損額をシミュレーションしたらビビッてしまったのである。1ドル100円、98円、95円……。ドル安が進むといくら損をするのか。そんな計算もカシオの金融電卓「BF-750」ならば簡単にできる。操作がラクな分、良くも悪くもいくら損をするのかもすぐわかってしまう。

為替の計算もできる。文字が大きくて見やすい

ドル建ての定期預金の計算が面倒くさいのは、定期預金の金利までを考慮しないといけないところだ。例えば、1ドル100円で定期預金を10万円(1,000ドル)作ったとする。利率が5%(税引き後4%)、1年間預けると、利息が40ドルつくのだ。受取額が1,040ドルになっているので、円高で1ドル99円になったとしてもマイナスにはならない。このように利息と為替差損益をいちいち計算していたら、時間がかかって仕方がない。そんなときも、BF-750の出番である。「外貨預金」のボタンを押し、円相場、定期預金の利率、金額などを入力すると、受取額と損益が出てくるのだ。そのほか、損益分岐点の計算などもしてくれるので、為替の計算には手放せない。

借り換えの計算も簡単!

前回、住宅ローンの話をしたが、BF-750はマンションを購入した後も活躍する。それは、繰上返済だ。例えば、一度に300万円を繰り上げして返済をすると、月々の返済額がいくら安くなるのか。これもまた、手計算をするとなると、面倒くさいのだ。人によっては、返済期間を短縮したい人もいる。そんなときには、「繰上返済」のボタンを押し、必要事項を入力するだけ。かなり、オススメである。借り換えの計算も簡単にできる。

iPod nanoと比べた大きさ。コンパクトサイズなのも魅力

ぐうたら家がマンションを購入したのは1997年。住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の借入れのほかに、今は繰上返済をしてしまって残っていないのだが、民間の銀行からの住宅ローンもあった。一般の住宅ローンは固定金利と変動金利を選べるようになっている。変動金利のほうが月々の返済額は安くて済むのだが、金利が高くなったら返済額もぐっと上がる。金利が1%あがったら、月々の返済額がいくら変わるか、知っておくことは重要だ。BF-750は、そんな計算にもあっという間に対応できる。

当時の私は、手計算でコツコツと計算し、変動金利の怖さを目の当たりにし、ここは手堅く固定金利だと判断した。ところが、その後、しばらく金利は低くなる一方だった。最初から変動金利にしたほうが断然おトクだったのだ。思うに、人生は計算どおりには行かないものなのである。性能の良い計算機はその条件のもと、一番良い選択肢を提示してくれる。でも、条件が変わったときは、結論が逆になる。結局、どちらに進むのかは人間が自分で考えなければならないところなのである。

価格はマイコミジャーナル価格情報で5,500円~9,330円となっていた(3月下旬)。かなり幅があるので、価格を比べながら選んだほうが良さそうだ。それにしても、この電卓を使うと計算がラクなことには驚いた。金融関係の電卓をひとつ持っておきたい人はぜひオススメである。折りたたみだから、大きさは従来の電卓よりも小さめの手帳サイズ。バッグに入れて持ち歩いても邪魔にならないのがいい。液晶は大きめで文字は見やすく使い勝手の良さも魅力だ。