【コラム】

3Dグラフィックス・マニアックス

75 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(4)~SH Log演算とSH Log次元における遮蔽の統合

 

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SH Log演算とSH Log次元における遮蔽の統合

SHEXP技法の根幹となるテクニックであるSH Log演算とSH Exp演算について、今一度着目してみることにする。

数学的な導出は省略するが、イメージ的にはSH LogとSH Expは球面調和関数空間における対数、指数の計算ということになる。

行列の対数や指数の計算は、まず、その行列を、ペアとなる直交行列、対角行列に分解し、その対角行列の各成分に対数や指数の計算を行った値になるという性質がある。球面調和関数空間における対数や指数の計算もこの性質を応用して行う。

SH Logの求め方

行列の対数や指数の計算は、まず、その行列を、ペアとなる直交行列、対角行列に分解し、その対角行列の各成分に対数や指数の計算を行った値になるという性質がある

遮蔽係数ベクトルの対数はこのようになる

ところで、繰り返しになるが、欲しいのは任意の方向のLog空間における遮蔽係数ベクトルだ。

実際の実装では、前段でも少し振れた、事前計算を行ったZH係数テーブルに対してLog(対数)を取っておく(Log ZH係数テーブル)。こうすることで、任意の方向のLog空間の遮蔽係数ベクトルは、その方向の球面調和関数の値に、Log ZH係数テーブルを掛け合わせるだけで求まってしまう。

任意の方向のLog空間における遮蔽係数ベクトルの求め方は、理論や導出は何回だが実装はそこまで難しいものではない

SH Log空間での遮蔽係数ベクトルが求まったら、今度はその遮蔽の統合を行うステップへと移る。

頂点単位の処理となるのはこれまでのPRTと同じ。ある頂点におけるSH Log空間における遮蔽係数ベクトルは、以下のような流れになる。

まず、その頂点から対象とする球の中心へと伸びる線分と、その頂点から対象とする球への接線とが織りなす角度をキーにして、Log ZH係数テーブルを参照する(図)。前述した「一定距離ではなく角度をキーにしたテーブル作成」はここで便利に利いてくるのだ。このLog ZH係数にその角度の球面調和関数を掛けてやれば、その頂点におけるSH Log空間の遮蔽係数ベクトルが求まる。

そして、このSH Log空間の遮蔽係数ベクトルの統合は、前述したようにLog空間でのメリットを活かして和算だけで計算できる。

最終的な総和が求まったら、通常空間に戻すために、対数(Log)の逆関数である指数(Exp)を行ってやる必要がある。そう、SH Exp演算だ。(続く)

SH Log空間での遮蔽係数ベクトルの統合処理。この処理を全ての球に対して行う。角度をキーにしたテーブル作成はここで利いてくる

(トライゼット西川善司)

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インデックス

連載目次
第99回 3D立体視の解体新書 - 立体視という知覚(4)~単眼立体視と両眼立体視の有効範囲の考察
第98回 3D立体視の解体新書 - 立体視という知覚(3)~両眼立体視
第97回 3D立体視の解体新書 - 立体視という知覚(2)~単眼立体視(2)
第96回 3D立体視の解体新書 - 立体視という知覚(1)~単眼立体視(1)
第95回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(19)
第94回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(18)
第93回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(17)
第92回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(16)
第91回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(15)
第90回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(14)
第89回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(13)
第88回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(12)
第87回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(11)
第86回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(10)
第85回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(9)
第84回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(8)
第83回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(7)
第82回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(6)
第81回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(5)
第80回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(4)
第79回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(3)
第78回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(2)
第77回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(1)
第76回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(5)~SH Exp演算の大胆な近似による高速化
第75回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(4)~SH Log演算とSH Log次元における遮蔽の統合
第74回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(3)~帯域調和関数(Zonal Harmonics)の導入
第73回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(2)~SH LogとSH Expとは?
第72回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(1)~3Dモデルの変形に対応した動的PRT技術の台頭
第71回 限定条件付き動的PRT(2)~PSF技法におけるライティング
第70回 限定条件付き動的PRT(1)~動的PRT第一段階PSF技法とは?
第69回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTの基本。静的PRT(4)
第68回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTの基本。静的PRT(3)
第67回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTの基本。静的PRT(2)
第66回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTの基本。静的PRT(1)
第65回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTとは?
第64回 表面下散乱によるスキンシェーダ(8)~表面下散乱とスキンシェーダ(6)
第63回 表面下散乱によるスキンシェーダ(7)~表面下散乱とスキンシェーダ(5)
第62回 表面下散乱によるスキンシェーダ(6)~表面下散乱とスキンシェーダ(4)
第61回 表面下散乱によるスキンシェーダ(5)~表面下散乱とスキンシェーダ(3)
第60回 表面下散乱によるスキンシェーダ(4)~表面下散乱とスキンシェーダ(2)
第59回 表面下散乱によるスキンシェーダ(3)~表面下散乱とスキンシェーダ(1)
第58回 表面下散乱によるスキンシェーダ(2)~ハーフライフ2で採用の疑似ラジオシティライティング(2)
第57回 表面下散乱によるスキンシェーダ(1)~ハーフライフ2で採用の疑似ラジオシティライティング(1)
第56回 水面の表現(5)~大きな波
第55回 水面の表現(4)~水面のライティング(2)
第54回 水面の表現(3)~水面のライティング(1)
第53回 水面の表現(2)~動的なさざ波
第52回 水面の表現(1)~水面表現の歴史
第51回 HDRレンダリング(11)~トーンマッピング
第50回 HDRレンダリング(10)~HDRブルーム/グレア処理
第49回 HDRレンダリング(9)~HDRテクスチャ
第48回 HDRレンダリング(8)~HDRレンダーターゲット
第47回 HDRレンダリング(7)~HDRレンダリングのプロセス
第46回 HDRレンダリング(6)~HDRレンダリングの歴史と動向(2)
第45回 HDRレンダリング(5)~HDRレンダリングの歴史と動向(1)
第44回 HDRレンダリング(4)~HDRレンダリングの第三の効能
第43回 HDRレンダリング(3)~HDRレンダリングの第二の効能
第42回 HDRレンダリング(2)~HDRレンダリングの第一の効能
第41回 HDRレンダリング(1)~HDRレンダリングとは?
第40回 ジオメトリシェーダ(11)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(7)
第39回 ジオメトリシェーダ(10)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(6)
第38回 ジオメトリシェーダ(9)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(5)
第37回 ジオメトリシェーダ(8)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(4)
第36回 ジオメトリシェーダ(7)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(3)
第35回 ジオメトリシェーダ(6)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(2)
第34回 ジオメトリシェーダ(5)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(1)
第33回 ジオメトリシェーダ(4)~ジオメトリシェーダのアクセラレーション的活用(4)
第32回 ジオメトリシェーダ(3)~ジオメトリシェーダのアクセラレーション的活用(3)
第31回 ジオメトリシェーダ(2)~ジオメトリシェーダのアクセラレーション的活用(2)
第30回 ジオメトリシェーダ(1)~ジオメトリシェーダのアクセラレーション的活用・ステンシルシャドウボリューム技法の影生成を加速する
第29回 影の生成(10)~改良型デプスシャドウ技法(5)
第28回 影の生成(9)~改良型デプスシャドウ技法(4)
第27回 影の生成(8)~改良型デプスシャドウ技法(3)
第26回 影の生成(7)~改良型デプスシャドウ技法(2)
第25回 影の生成(6)~改良型デプスシャドウ技法(1)
第24回 影の生成(5)~デプスシャドウ技法
第23回 影の生成(4)~ステンシルシャドウボリューム技法(2)
第22回 影の生成(3)~ステンシルシャドウボリューム技法(1)
第21回 影の生成(2)~投射テクスチャマッピング技法
第20回 影の生成(1)~3Dグラフィックスにおける2つのカゲの存在
第19回 バンプマッピングの先にあるもの(3)~セルフシャドウ付き視差遮蔽マッピング
第18回 バンプマッピングの先にあるもの(2)~視差遮蔽マッピング
第17回 バンプマッピングの先にあるもの(1)~視差マッピング
第16回 微細凹凸表現の基本形「法線マップ」(3)
第15回 微細凹凸表現の基本形「法線マップ」(2)
第14回 微細凹凸表現の基本形「法線マップ」(1)
第13回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(5)
第12回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(4)
第11回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(3)
第10回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(2)
第9回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(1)
第8回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(8)
第7回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(7)
第6回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(6)
第5回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(5)
第4回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(4)
第3回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(3)
第2回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(2)
第1回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(1)

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