【コラム】

3Dグラフィックス・マニアックス

48 HDRレンダリング(8)~HDRレンダーターゲット

 

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互換性とパフォーマンスを重視するならば疑似HDRレンダリング?

DirectX 10世代/SM4.0対応GPUでは、FP16-64ビットのレンダーターゲットをただ利用すればよい。幅広いダイナミックレンジを、FP16-64ビットならば特別な小細工無しに絶対値でレンダリングが行える。

それ以前のDirectX 9世代/SM2.0~3.0対応GPUでも、互換性やパフォーマンスの問題がクリアできるのであれば、FP16-64ビットバッファを利用することになる。

そうでない場合は、int8-32ビットの整数LDRバッファを利用した疑似HDRレンダリングの採用が適しているとされる。

8ビット整数であれば0~255の値が表現できるわけだが、通常は、これを0.0~1.0の値に対応付けた輝度表現になる。これを例えば0~255を0.0~2.0までの値に対応することにして、通常時の2倍のダイナミックレンジ(表現域)を持つと見なすようにするのだ。つまり、イメージ的には色表現の分解能を半分にする変わりに、輝度表現を2倍にする……と見なしてレンダリングをするのだ。つまり、通常のLDRレンダリングで最大に明るい255がこの疑似HDRレンダリング技法では128となるわけだ。

このまま全ての疑似HDRレンダリングを終えて、後段のブルーム/グレア生成を終えてトーマッピングを行った際には幅127の範囲が0~255の範囲に戻されることになる。

もちろん、0~255を0.0~4.0まで……というようにダイナミックレンジをさらに広げることもできなくはない。しかし、後段のトーンマッピングの処理で、幅63の範囲が0~255に戻されることになり、分解能は前述の0.0~2.0のケース以上にさらに低下してしまう。

そのため、この手法を使う場合には「0~255→0.0~2.0」とする利用が多いようだ。

前節で紹介した疑似HDRレンダリングの開祖的存在である「DOUBLE S.T.E.A.L」や、「ヴァルキリープロファイル2」(トライエース,2006)などでも、「0~255→0.0~2.0」とした疑似HDRレンダリングを採用している。(続く)

左から0.0~1.0(通常)、0.0~2.0(2倍の輝度まで対応する疑似HDR)、0.0~4.0(4倍の輝度まで対応する疑似HDR)。2倍ではやや、4倍ではひどく疑似輪郭(マッハバンド)が目立つ

上の図に画像テクスチャを適用したケース。画像テクスチャを適用すると疑似輪郭は視覚上、大部目立たなくなる。特に2倍ではよく見ないと分からないくらい
(画像出典=トライエース/Practical Implementation of SH Lighting and HDR Rendering on PlayStation 2/Yoshiharu Gotanda/Tatsuya Shoji/Research and Development Dept. tri-Ace Inc.)

(トライゼット西川善司)

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インデックス

連載目次
第99回 3D立体視の解体新書 - 立体視という知覚(4)~単眼立体視と両眼立体視の有効範囲の考察
第98回 3D立体視の解体新書 - 立体視という知覚(3)~両眼立体視
第97回 3D立体視の解体新書 - 立体視という知覚(2)~単眼立体視(2)
第96回 3D立体視の解体新書 - 立体視という知覚(1)~単眼立体視(1)
第95回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(19)
第94回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(18)
第93回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(17)
第92回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(16)
第91回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(15)
第90回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(14)
第89回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(13)
第88回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(12)
第87回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(11)
第86回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(10)
第85回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(9)
第84回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(8)
第83回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(7)
第82回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(6)
第81回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(5)
第80回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(4)
第79回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(3)
第78回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(2)
第77回 人工知性でコンテンツを生成するプロシージャル技術(1)
第76回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(5)~SH Exp演算の大胆な近似による高速化
第75回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(4)~SH Log演算とSH Log次元における遮蔽の統合
第74回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(3)~帯域調和関数(Zonal Harmonics)の導入
第73回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(2)~SH LogとSH Expとは?
第72回 3Dモデルの変形までが可能な動的PRT(1)~3Dモデルの変形に対応した動的PRT技術の台頭
第71回 限定条件付き動的PRT(2)~PSF技法におけるライティング
第70回 限定条件付き動的PRT(1)~動的PRT第一段階PSF技法とは?
第69回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTの基本。静的PRT(4)
第68回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTの基本。静的PRT(3)
第67回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTの基本。静的PRT(2)
第66回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTの基本。静的PRT(1)
第65回 事前計算放射輝度伝搬(PRT)~PRTとは?
第64回 表面下散乱によるスキンシェーダ(8)~表面下散乱とスキンシェーダ(6)
第63回 表面下散乱によるスキンシェーダ(7)~表面下散乱とスキンシェーダ(5)
第62回 表面下散乱によるスキンシェーダ(6)~表面下散乱とスキンシェーダ(4)
第61回 表面下散乱によるスキンシェーダ(5)~表面下散乱とスキンシェーダ(3)
第60回 表面下散乱によるスキンシェーダ(4)~表面下散乱とスキンシェーダ(2)
第59回 表面下散乱によるスキンシェーダ(3)~表面下散乱とスキンシェーダ(1)
第58回 表面下散乱によるスキンシェーダ(2)~ハーフライフ2で採用の疑似ラジオシティライティング(2)
第57回 表面下散乱によるスキンシェーダ(1)~ハーフライフ2で採用の疑似ラジオシティライティング(1)
第56回 水面の表現(5)~大きな波
第55回 水面の表現(4)~水面のライティング(2)
第54回 水面の表現(3)~水面のライティング(1)
第53回 水面の表現(2)~動的なさざ波
第52回 水面の表現(1)~水面表現の歴史
第51回 HDRレンダリング(11)~トーンマッピング
第50回 HDRレンダリング(10)~HDRブルーム/グレア処理
第49回 HDRレンダリング(9)~HDRテクスチャ
第48回 HDRレンダリング(8)~HDRレンダーターゲット
第47回 HDRレンダリング(7)~HDRレンダリングのプロセス
第46回 HDRレンダリング(6)~HDRレンダリングの歴史と動向(2)
第45回 HDRレンダリング(5)~HDRレンダリングの歴史と動向(1)
第44回 HDRレンダリング(4)~HDRレンダリングの第三の効能
第43回 HDRレンダリング(3)~HDRレンダリングの第二の効能
第42回 HDRレンダリング(2)~HDRレンダリングの第一の効能
第41回 HDRレンダリング(1)~HDRレンダリングとは?
第40回 ジオメトリシェーダ(11)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(7)
第39回 ジオメトリシェーダ(10)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(6)
第38回 ジオメトリシェーダ(9)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(5)
第37回 ジオメトリシェーダ(8)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(4)
第36回 ジオメトリシェーダ(7)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(3)
第35回 ジオメトリシェーダ(6)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(2)
第34回 ジオメトリシェーダ(5)~ジオメトリシェーダを活用した新表現(1)
第33回 ジオメトリシェーダ(4)~ジオメトリシェーダのアクセラレーション的活用(4)
第32回 ジオメトリシェーダ(3)~ジオメトリシェーダのアクセラレーション的活用(3)
第31回 ジオメトリシェーダ(2)~ジオメトリシェーダのアクセラレーション的活用(2)
第30回 ジオメトリシェーダ(1)~ジオメトリシェーダのアクセラレーション的活用・ステンシルシャドウボリューム技法の影生成を加速する
第29回 影の生成(10)~改良型デプスシャドウ技法(5)
第28回 影の生成(9)~改良型デプスシャドウ技法(4)
第27回 影の生成(8)~改良型デプスシャドウ技法(3)
第26回 影の生成(7)~改良型デプスシャドウ技法(2)
第25回 影の生成(6)~改良型デプスシャドウ技法(1)
第24回 影の生成(5)~デプスシャドウ技法
第23回 影の生成(4)~ステンシルシャドウボリューム技法(2)
第22回 影の生成(3)~ステンシルシャドウボリューム技法(1)
第21回 影の生成(2)~投射テクスチャマッピング技法
第20回 影の生成(1)~3Dグラフィックスにおける2つのカゲの存在
第19回 バンプマッピングの先にあるもの(3)~セルフシャドウ付き視差遮蔽マッピング
第18回 バンプマッピングの先にあるもの(2)~視差遮蔽マッピング
第17回 バンプマッピングの先にあるもの(1)~視差マッピング
第16回 微細凹凸表現の基本形「法線マップ」(3)
第15回 微細凹凸表現の基本形「法線マップ」(2)
第14回 微細凹凸表現の基本形「法線マップ」(1)
第13回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(5)
第12回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(4)
第11回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(3)
第10回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(2)
第9回 3Dグラフィックスの概念とレンダリングパイプライン(1)
第8回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(8)
第7回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(7)
第6回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(6)
第5回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(5)
第4回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(4)
第3回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(3)
第2回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(2)
第1回 GPUとシェーダ技術の基礎知識(1)

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