【コラム】

ゲーム超特急

115 (最終回) 三國志IXに緊張感とシビアな選択をプラス!「三國志IX パワーアップキット」

    阿久津良和  [2003/08/29]

    こんにちは、阿久津です。唐突ですが今回で本連載は最終回。そこで取り上げるのは国産メジャーシミュレーションゲーム「三國志」シリーズの最新拡張キット「三國志IX パワーアップキット」。魏・呉・蜀それぞれに用意されたステージクリア型のシナリオモードである"トライアルストーリー"や、有能な兵士を抜擢してオリジナルの武将として育て上げる"兵士抜擢システム"など面白い機能拡張が用意されているのです。


    まずシステム面で今回改良されたのは3ポイント。まず1つめの注目ポイントが"トライアルストーリー"。魏・呉・蜀それぞれに用意されたステージクリア型のシナリオで、たとえば蜀ならば関羽・張飛亡き後、私怨に燃えた劉備が呉討伐に進軍する"夷陵の戦い"や、諸葛亮が南蛮を平定するために出陣する"南蛮平定戦"など、語り継がれてきた各勢力のターニングポイントを舞台にしています。

    これが「トライアルストーリー」。画面は蜀の劉備で始めたところで、最初は、呉へ関羽・張飛亡き後の雪辱戦を挑む"夷陵の戦い"。プレイ中には関興が父の敵を討つといったイベントも用意されています

    たとえば"夷陵の戦い"ならば、6カ月間内に特定の城を制圧するのが目的ですが、シナリオによっては「武将を特定の都市まで退却させる」といった様々な目的が用意されていました。ちょうど筆者も「三國志IX」から今回の「三國志IX パワーアップキット」をプレイするまで数カ月のブランクがあったため、ゲームシステムや雰囲気を思い出すのにちょうどいいリハビリとなりました。

    またユニークなのが、クリア条件などで展開が変化する点でしょう。戦闘での勝利の仕方や特定のイベントを発生したことによって、次のステージが枝分かれしていく仕組みになっています。とりあえず一通りプレイしてみましたが、その条件はプレイ中に台詞などから読み取るしかなさそうなので、すべてのシナリオをチェックするには何度もプレイしなければならなさそうです。

    クリア方法やイベントを発生させることにより、次のシナリオが異なるマルチシナリオ形式が採用されています。ちなみにクリア条件が2種類以上ある場合は分岐シナリオである可能性が高いようです

    2つ目の注目ポイントは"兵士抜擢システム"。これは都市を攻略した際などに、任意の武将が有能な兵士を発見して武将として取り上げるというもの。資料によると、指導(発見)する武将の能力や方針によって兵法や能力を身につけ、オリジナルの武将として自勢力を手助けしてくれるらしいのですが、何度やってもこの場面がなかなか出てきませんでした。本当のところはわかりませんが、この有能な兵士を発見するタイミングはランダムのようなので、実際に読者諸兄がプレイしてその魅力を味わってください。

    そして最後は"勢力統合システム"。「三國志」のような国盗りシミュレーションでは、ゲーム後半になると自勢力が拡大するのと比例して対抗勢力が弱体化してしまいますが、その退屈さを軽減するために弱体化した勢力同士が同盟して敵対してくるというもの。ちょうど以前の「三國志」にも同様のシステムが用意されていましたが、今回は単なる共同戦線を打ってくるだけでなく、志願兵の加入や(同盟を組んだ君主の)信望が上昇するなど特典が多いため、最後まで緊張感を維持してプレイできるでしょう。

    自他を含む特定の勢力が抜きん出て拡大すると、弱小勢力が共に手を取り合う「勢力統合システム」。それぞれがひとつの勢力に統合されるため、突如巨大なライバルが発生する危険性も

    ゲームシステム的には、この3つが大きな変更点ですが、このほかにも細かい改良点が用意されています。まずプレイして感じたのがAI思考の向上でしょう。たとえば敵勢力が自陣に攻め込む際、複数の施設から連携して出陣したり、危機に陥った施設に救援部隊が出てくるようになりました。そのため、「許昌から部隊を出陣させる際もある程度の兵力を残しておけば攻め込まれないし、敵勢力下にある宛に攻め込む際も武関や長安からの援軍はないから2万ぐらいの兵で大丈夫だろう」といった以前のような戦略は通用しなくなっています。

    これまでひとつの経路しか選べなかったが、中継点を選ぶことで別経路を選択できるようになりました。これで途中の関を回避する迂回コースを選ぶことも可能です

    よく三國志ユーザーからは、「ある程度プレイすると歯ごたえがなくて飽きてしまう」という声を耳にしますが、これを踏まえてか、先の改良点に加えて新たに「エキスパートモード」というものが用意されています。具体的には、「コンピュータの戦力設定」「他勢力部隊の命令の表示・非表示」「他勢力部隊の兵法の表示・非表示」「武将の討死あり・なし」などゲームスタート前の細かいカスタマイズが可能です。

    敵勢力をあらかじめ強くしたり命令や兵法を非表示にできる「エキスパートモード」の設定画面。特に一騎打ちに負けると武将が死亡するかもしれない「武将の討死」はプレイに緊張感があるためお薦めです

    たとえば「コンピュータの戦力設定」では、「金」「兵士」「兵糧」「士気」「内政」「強さ」と6つのパラメータが用意されており、それぞれ任意の数値を設定することで、敵勢力にハンデキャップを与えることが可能。命令や兵法の非表示は、今まで手の内が見えていた部分が隠されることになります。そして最後は、一騎打ちなどの戦闘シーンで手持ちの武将が簡単に死んでしまうようになりました。そのため、「どの場面にどの武将を派遣するのがベストなのか」といったシビアな選択をうながされるようになります。

    プレイ中には武将や都市、施設のパラメータ編集が可能ですが、正直ゲームが面白く無くなるのであまりお薦めできません……

    このように「三國志IX」をより面白くする要素がふんだんに盛り込まれた拡張キットですが、確かに同社の「本編を出した後に改良版とも言える拡張キットを別売する」という姿勢には賛否両論があるでしょう。しかし、AI思考の改良などを踏まえると、同タイトルのユーザーにはお勧めの一本と言えるでしょう。

    さて、最後にPCゲームについて少々述べさせてください。どうもここ10数年は「○○の続編!」「シリーズ第○弾!!」というタイトルか、「新機軸!」と言いながらどこかで見たようなゲームシステムばかり。確かに改良に改良を加えた良作品となっていますが、どうにも新鮮味がないものばかり。もちろん"普遍的な面白さ"というものが存在するため、一概に言い切れませんが、ここ数年におけるPCゲームは前述のような理由で盛り下がっているような気がします。

    もちろん国内だけでなく海外のPCゲームシーンも緩やかにですが盛り下がってきているものの、海外ではMMORPGをはじめとするPCゲーム独自の面白さを演出できるゲームタイトルが増えてきました。様々なPCゲームを紹介してきた本連載は今回で終了ですが、PCゲームにはまだまだ魅力的な要素や側面が隠されています。是非、今後ともPCゲームに対する興味を失わず応援してください。

    ○三國志IX パワーアップキット
    価格 5,800円
    ○環境
    OS
    Windows 98/Me/2000/XP
    CPU
    Pentium II 333MHz(Pentium III 700MHz以上推奨)
    メモリ
    128MB(256MB以上推奨)
    HDD 800MB以上の空き容量(「三國志IX」が既にインストールされている状態)
    ビデオ DirectX 8.1b以降に対応するカード
    ※「三國志IX」が必要

    (C)2003 KOEI Co.,Ltd.

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    http://pcweb.mycom.co.jp/column/game.html

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