近年は、多くの学生が奨学金制度を利用しています。読者の方にも利用している方がいるのではないでしょうか。奨学金には、各大学が設置しているものと、日本学生支援機構による奨学金、企業が設置している奨学金などの種類がありますが、多くの学生が日本学生支援機構の奨学金を利用しています。

日本学生支援機構の奨学金の貸与型を利用すると、卒業後に有利子で返済しなければなりません。しかし、利子がつくということはそれだけ返す額も大きくなってしまいますよね。第3回では、そんな奨学金の返済について取り上げていきます。

奨学金は後先を考えて使おう(画像はイメージ)

通常の返済は元利合計

通常奨学金は、元利(元金と利息)合計での返済になります。利率は、「利率固定方式」と「利率見直し方式」のどちらかを選択します。利率固定方式は貸与終了時に決定した利率が返済完了まで適用されます。つまり、将来、市場金利が上昇若しくは下降した場合も変動しません。

対して利率見直し方式では、返済期間中、おおむね5年ごとに見直された利率が適用されます。したがって将来市場金利が上昇した場合は貸与終了時の利率よりも高い利率が適用されます。反対に市場金利が下降した場合、貸与終了時の利率よりも低い利率が適用されます。いずれかを第二種奨学金を申し込む際に選択します。

奨学金は後先を考えて使う

奨学金を借りているけど日々の生活に余裕がある場合はむやみに使わず必要なときまで貯蓄しておくことをお勧めします。理由としては、留学や資格の学校など大きいお金が必要なときに役に立つからです。お金が理由で断念するのはとてももったいないので、金銭面の不安を解消するために貯蓄しておくことが望ましいのです。

またもう1つ理由があります。それは、もしも使わなかったときは、卒業時に返還できることです。このことについて次で詳しく解説します。

早めの返済で利子負担を減らす

むやみに使わずに貯蓄しておく最大の利点は、卒業時に早めに返済することで利子の負担を軽減させることができることです。日本学生支援機構の奨学金は卒業から半年後に返済がスタートします。この据え置き期間中にも繰り上げで返済が可能になっています。返済は、全額、または一部の繰り上げ返済も可能です。

繰り上げ返済をする場合は事前に申し込む必要があり、スカラネットパーソナル、郵送、FAX、電話で申し込むことができます。それぞれ申込期間が異なるため注意が必要です。なお、据え置き期間に繰り上げ返済する場合は、4月1日以降全額返済する日までの利子はかかります。

したがって余裕があるのであれば、少しでも早く返済することが利息軽減につながるのです。

将来困らないために計画的な利用を

このように繰り上げの返済ができるのであれば早めにすることで、実負担額を減らすことができます。また学生のうちに将来のための自己投資に使うこともとても有効ですね。卒業後数十年かけて返済していく奨学金、少しでも早く少しでも利子を少なく返済していくことが理想です。在学中だけではなく卒業後のこともよく考えて利用しましょう。

※画像は本文とは関係ありません

執筆者プロフィール : 堀口薫


獨協大学経済学部在学。独立系FPを目指し、大学2年時に2級FP技能士、AFPを取得し、現在CFP取得のために勉強中。自身の身の周りの学生のマネーに関する知識不足を実感し、学生に向けたマネー関連記事にて情報を発信している。